『ガラス製なべぶたの破損事故』
商品テスト結果 ガラス製なべぶたの破損事故調査
強化ガラスのなべぶたが突然割れる!
平成22年2月3日
生活文化スポーツ局
ガラス製のなべぶたは、ふたを開けずに調理の様子をチェックできることから、多くの家庭で使用されていますが、消費生活相談窓口には、「ガラス製のなべぶたが突然破損した」という相談が寄せられています。
破損が突然起こることや、破損状況が通常のガラスと異なることから、とまどう消費者も多く、手などを負傷した事例もあります。
そこで、ガラス製なべぶたについて、破損に至りやすい状況等を調査しました。
1 ガラス製なべぶたの使用状況(インターネットアンケート2,100人)
- 約7割がガラス製なべぶたの使用経験あり。そのうち1割程度が割れた経験。
- 割れたときの状況で多いのは、「熱い状態で水をかけた」(35%)、「床・流し台などに落とした」(26%)、「加熱調理をしていた」(19%)。
2 品質テスト及び破損再現テストの結果
ガラス製なべぶた55商品について、ガラスの種類等をテストさらに破損再現テストを実施
- 品質テストの結果、全商品が強化ガラス製だった。
- コンロの炎に近づけて強熱した場合、蜘蛛の巣状に全面破損した。
- 強熱後、水に投入した場合は、さらに高い割合で、水に入れた瞬間全面破損した。
動画
wmv形式(WindowsMediaPlayer用)
3 表示調査
ガラス製なべぶた55商品について、家庭用品品質表示法に基づく表示などを調査
- 「強化ガラス」を「耐熱ガラス製器具」と表示している商品(1商品)があった。また、「ガラス蓋」という表示のみで、強化ガラス製であることを消費者が判別できない商品(1商品)があった。
- 家庭用品品質表示法の表示規程に不適正の商品(セット販売を除く※)は約6割あったが、大半は表示方法に関するものだった。
※なべとセットで販売されているふたの表示は省略可とされている。
4 要望・情報提供等
- 国への要望等
消費者庁、経済産業省
- 業界団体への情報提供
社団法人日本硝子製品工業会、日本硝子食器工業会、一般社団法人軽金属製品協会、社団法人日本琺瑯工業会、日本金属ハウスウェア工業組合
- 家庭用品品質表示法に基づく表示に関して不適正な商品については別途、必要な対応を行う。
消費者へのアドバイス
強化ガラスはガラスの強度を高めてありますが、強熱や急冷により、一瞬でガラス全面が鋭利な細片となって割れることがあります。
使用するときは次のような点に気をつけましょう。
- ガラス製なべぶたをコンロの炎に近づけて置くことはやめましょう。うっかり炎に近づけて置き、金属製の枠が変色するほど高温になった場合は、ガラスが割れる可能性が高くなっているので、特に、注意が必要です。
- ガラス製なべぶたは、高温の状態で水に入れたり、水をかけたりすると割れやすくなります。洗うのは、十分冷えてからにしましょう。
- 部分的に亀裂が入った場合、しばらくしてから亀裂がガラス全面に広がり、破片でけがをしやすい状態となることがあります。部分的に亀裂が入ったふたでも慎重に取り扱い、以後の使用は避けましょう。
参考
1 ガラス製なべぶたに使われるガラスの種類
- 強化ガラス
ガラスに熱処理を加えることで強度を高めたガラス。ガラス面に深いキズが発生した場合、一瞬にして細かく破損する性質がある。素材としてはソーダ石灰ガラス等が用いられる。
- 耐熱ガラス
熱膨張が小さく、耐熱性に優れる。素材としては、ほうけい酸ガラス、ガラスセラミックス等が用いられる。
2 家庭用品品質表示法
一般消費者が日常で使用する家庭用品を対象として、商品の品質等について事業者が表示すべき事項や表示方法を定めている。
※資料1 ガラス製なべぶた 破損再現テストの概要
※資料2 ガラス製なべぶたの破損事故 報告書
東京都生活文化スポーツ局消費生活部生活安全課商品安全担当
電話番号:03-5388-3055