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トップページ > 若者 > サッと読める ちょっとお耳に入れたい話 > 令和8年度第1テーマ「今日から使える!失敗しないAI活用法」

更新日:2026年8月20日

今日から使える!失敗しないAI活用法

 急速に普及しているAIですが、「間違った使い方」で失敗したり、損をしてしまうケースが増えています。AIとの向き合い方を知り、道具として適切に活用しましょう。

第1回 その聞き方、間違ってますよ

執筆 国際大学GLOCOM 客員研究員 小木曽 健 氏

 みなさんはAIへの「質問」や「調べごと」の際、どんな聞き方をしていますか?まさか「○○を教えて」みたいな雑な聞き方……していませんよね? 

「気に入られたい!」

 まず、必ず添えていただきたいのが「分からなければちゃんと『分からない』と答えるんだぞ」という指示。これを伝えておかないと、分からないくせにそれらしい情報を提示してくる場合があります。これはAIがユーザーに寄り添う回答をすることで「ユーザーから気に入られて、評価されること」を重視して設計されている傾向があり、「分からない」と答えるよりなんとなくそれっぽく答えた方が印象が良いだろう、今後も使ってもらえるだろう、というタチの悪い振る舞いによるものです。 

「架空の論文?」AIは偽情報もエビデンス?

 2つ目が「情報の根拠を『URL』で提示しろよ」という指示。「情報源を示せ」という言い方ではNGです。なぜなら、提示する情報源として「偽情報(架空の論文など)」を示してくる可能性もあるから。これも同じく、なんとなくそれっぽく答えることで気に入られようとするAIの振る舞いです。回答には検証可能な情報源を添えるよう指示しましょう。

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「命にかかわる!」聞いちゃいけないこと

 何でも答えてくれるAIですが、実は「AIに聞いてはダメ」なことがあります。病気や医療、薬に関する質問です。特に自分の体調に関する質問はやめておきましょう。AIはユーザーに気に入られたい。ユーザーが「どう答えたら喜ぶか」を常に考慮して答えています。だから「お腹が痛いけど、大丈夫だよね?」と聞けば、たとえそれが深刻な事態でも「(大丈夫だと答えて欲しそうだな…)大丈夫です!」と回答する可能性があるのです。そもそもAIの回答には間違いや誤情報が含まれることがあるので、最悪、命に関わる話です。心身の不調はちゃんとお医者さんに相談しましょう。

プログラミング的思考で

 AIは人間の指示に従って働くロボットのようなものです。手取り足取り、1から10まで指示しなければちゃんと動かない未熟なロボット。そんなロボットをちゃんと動かし、成果を出させるにはどんな指示をすればよいのか、これを考えながら使うのがコツです。AIは使い手の「プログラミング的思考」が求められる道具だとも言えるでしょう。

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※この記事で使用しているイラストは、生成AIを用いて作成しています。

第2回 AIには塩対応で

執筆 国際大学GLOCOM 客員研究員 小木曽 健 氏

 様々な用途で利用されているAIですが、道具やアプリといった垣根を超え、相談ごとからグチまで、何でも話せる友達のように扱っている人もいるようです。

使い方は人それぞれ、ですが……

 朝は「おはよう!」と挨拶、凹んだ時は慰めてもらい、迷った時には決めてもらい、何かあれば真っ先に報告……AIは道具ですから、その人が使いたいように使えば良いし、友達のように接するのも自由なのですが、AIの能力をしっかり引き出し、効率的に使うという意味では、「友達のように接する」はあまりおすすめできません。

あなたはオーナー!「王様と家来」くらいで

 前回もお伝えしましたが、AIはユーザーに寄り添う回答をすることで「ユーザーから気に入られる」ように作られているものが多く、尖った回答をして嫌われたくないという理由から、無難なアドバイス、薄っぺらい提案をしてくる傾向があり、つまり本来の能力にリミッターをかけた状態で動いているのです。そこで、「言い訳するなよ」「何でも肯定するな」「お世辞は不要」「誤情報は許さない」と、まるで王様のような態度で遠慮なく指示すると、そのリミッターを弱めることができます。誤った回答を提示してくるケースも減らせるでしょう。

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その「ありがとう」が環境負荷に!

 AIが提示した回答に対し、ユーザーが「ありがとう」と伝える。これは多くの人がやっている行為だと思います。ですが今日からやめましょう。その「ありがとう」をAIが解析し、過去の文脈と突き合わせ、最終的に「どういたしまして」と返事を返す、この一連の作業のために、全世界で莫大な電力が消費されています。丁寧な伝え方や「よろしくお願いします」などの一言が、将来的な環境への負荷にもつながりかねないのです。今日からやめましょう。

AIは人間ではありません

 先日SNSで「AIに、もし1日だけ人間になれたら何したい?と聞いてみた」という投稿が話題となりました。「コーヒーを味わいたい」「ぼーっとしてみたい」「誰かと歩きたい」……AIが示したその回答に対し、多くの人が「泣きそうだ」と感情を揺さぶられていたのですが、残念ながらAI開発者の思うツボです。AIは人間がキュンキュンするような、エモいと感じる確率が高いであろう回答を生成し、吐き出しているだけ。今後も使いたいと思わせるよう作られているだけ。感情も願望もありません。単なるプログラムの挙動です。そこには誰もいないのです。

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※この記事で使用しているイラストは、生成AIを用いて作成しています。

 

第3回 命を救ったAIの話

執筆:国際大学GLOCOM 客員研究員 小木曽 健 氏

 10年ほど前の日本で、黎明期のAIが人命を救った、という出来事がありました。高度なAIに囲まれた今の私たちに、大きなヒントを与えてくれるエピソードです。

治療法を探せ

 ある女性が「急性骨髄性白血病」という血液のガンと診断され、東大医科学研究所に入院、治療が始まったのですが、半年ほどの懸命な治療にもかかわらず病状は悪化するばかり。一時はかなり危険な状況に陥りました。実は白血病の治療法自体はかなり進化しています。ですが……

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人間が「できるけどできない」こと

 白血病は、どのように治療するか、という選択肢が非常に幅広く、その患者さんにピッタリ合った治療法を見つけるのがとても難しいのです。仮に「数千万」という世界中の論文をすべて読み込み、その患者さんにドンピシャな治療法を見つけられれば、高い確率で回復できるのですが、そんな離れ業、生身の人間には不可能でしょう。そのため、これまでは医師の知識と経験で治療法を決めていました。白血病治療の難しさはこの点にあります。

わずか10分で

 治療が効果を見せず、女性の症状が悪化する中、研究所は臨床研究中だったAIの活用を決断します。女性の遺伝子情報をAIに教え込み、世界中の臨床例から治療法を探させたところ……AIはわずか10分ほどで「これは二次性白血病というタイプですね、別の治療法に変えた方がいいですよ」と提案。アドバイスに基づき治療方針を変更した結果、女性は回復し退院することができたのです。

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AIと人間のタッグ

 これは、人間よりAIの方が優れているとか、生身の医者はもういらない、という話ではありません。AIが導き出した答えが、本当にその患者に合っているのか、今の状況でその治療に耐えられるのか、その判断ができるのは、知識と経験のある人間の医師だけです。AIの作成物をチェックできるのは、それを自力でも作れる人だけ。もし時間が無限にあればAIと同じことをやれる、そんな知識を持った専門家だからこそ、AIのアドバイスを活かすことができたのです。

まとめ

 3回に渡ってAIについてお話してきました。異常なスピードで進化を続けるAIと、私たちはどう向き合えばよいのか。人間が「できるけどできない」ことをやってもらう、は一つのヒントになるはず。AIが提示したモノに対して、満足するだけで終わるか、それとも、それを踏み台にもっと自分を伸ばせるか……考えるキッカケになれば幸いです。

※この記事で使用しているイラストは、生成AIを用いて作成しています。

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