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トップページ > 若者 > サッと読める ちょっとお耳に入れたい話 > 令和4年度第3テーマ「宅配便サービスを上手に使おう」

更新日:2023年4月7日

宅配便サービスを上手に使おう

利用の機会が拡大している宅配便サービス。その一方で、深刻なドライバー不足が生じているなど、宅配危機の恐れがあることを知っていますか?これからも宅配便サービスを快適に利用していくために、宅配便サービスの現状を知り、使い方を考えてみましょう。

宅配受け渡し

 

執筆: 流通経済大学流通情報学部 教授 矢野 裕児 氏

 

生活に欠かせない宅配便サービス

皆さんも宅配便サービスを使ったことがあるかと思います。インターネットで買った商品を届けてもらう、親戚から果物などが届く、旅行に行った時にお土産を届けてもらうなどさまざまな使い方をしているのではないでしょうか。国土交通省の発表(※)によると、2021年度の宅配便取扱個数は、49 億5323 万個となっており、日本の人口で割ると、1人当たりで年間約40個も使っているということになります。
宅配便の市場は大きく拡大し、時代とともにその使われ方は変化してきました。2010年代以降に急拡大したのがネット通販の宅配です。それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大のなかで、店舗に行かなくても、自宅に荷物が届けられるという便利なサービスということで、宅配便の取扱個数はさらに増えました。
宅配便サービスは、私たちの生活にすっかり溶け込み、欠かせないものとなっています。しかしながら、取扱個数が大きく伸びるなか、今後このサービスを持続していくことができるのかという、大きな岐路にも立っています。なぜでしょうか。

宅配(届ける人)

宅配危機 ― これからは宅配してもらえない?

宅配危機という言葉を、聞いたことはありますか。2017年頃から使われ始めたもので、ネット通販市場拡大に伴い宅配便取扱個数が急増するなか、荷物を運ぶドライバーが足りないというものです。宅配便のドライバーは、肉体的にきつい場合もあるなかで、若い人のなり手が少なくなっており、高齢化が進んでいます。
さらに、2024年4月からは、働き方改革の流れのなかで、ドライバーの時間外労働の上限規制が厳しくなることも決まっています。そのため、約3割の荷物が運べなくなってしまうという可能性もあります。
 

 

宅配(繁忙)

今後も、ネット通販市場は拡大し、宅配便の取扱個数が増える一方で、ドライバーの数は減っていくことが予想されます。ネットで商品を注文しても、なかなか商品が届かないということも考えられます。そのような事態を防ぐために、宅配便事業者も、さまざまな方策を検討、実施しており、長距離輸送については連結トレーラの導入、トラックから鉄道や、航空機への転換、地方では鉄道、旅客バスで荷物を運ぶ貨客混載などの取り組みをしています。今後、いかに効率よく荷物を運ぶかが重要となっています。
そして、消費者の皆さんがいかに効率よく荷物を受け取るかも重要です。

 

※国土交通省 令和3年度 宅配便取扱実績について

 https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000255.html

 

執筆: 流通経済大学流通情報学部 教授 矢野 裕児 氏

再配達とその問題点

宅配便サービスを提供する際、問題となっているのが再配達です。国土交通省の発表(※)によると、「再配達」の比率は2018年には15.2%でした。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、在宅率が高まったために、2020年の再配達率は11.4%にまで減少しましたが、最近は、また増加傾向にあります。再配達が発生するということは、ドライバーが足りないなか、追加の仕事が発生することになり、コストもかかり、さらに環境負荷の増大にもつながります。

不在票

※ 国土交通省 宅配便の再配達サンプル調査について
(2018年10月期、2020年10月期)
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/re_delivery_research.html

 

再配達をどのように減らすか~さまざまな受け取り方法~

再配達を減らすための方策の一つとして、受け取り方法を多様なものにしていくというものがあります。どのような方法があるのでしょうか。

1.宅配ロッカー、宅配ボックス(住宅用)

最近は、マンションなどに宅配ロッカーが置かれている場合が多くなっているほか、戸建て住宅用の宅配ボックスも少しずつ普及してきています。
これらは、不在でも受け取れる、利用者にとっては宅配便が来るのを待つ必要がない、対面で受け取る必要がない、自宅の建物内で受け取れるなどのメリットがあります。一方で、集合住宅の宅配ロッカーは利用者が増え、満杯で荷物が入りきらないといった問題が発生しています。利用した時は、できるだけ早くロッカーの荷物を受け取るようにしてください。戸建ての宅配ボックスでは、荷物を1個しか受け取れないという問題もありますのでご注意ください。

宅配ボックス

2.宅配ロッカー(駅、商業施設など)
駅や商業施設に設置されている宅配ロッカーを利用するといった方法もあります。
これらは、受取通知時などに示される暗証番号を用いてロッカーを開錠し、荷物を受け取ることができます。
在宅の必要が無く、施設などの営業時間帯であればいつでも受け取れるというメリットがあります。一方で、ロッカーが満杯で配達がされないときがあったり、施設などの営業時間外には受け取れないことがあります。また、自宅から離れている場合、あるいは重い荷物などは荷物を運ぶのが大変といったデメリットもあります。

ロッカー

3.コンビニ受け取り
コンビニで受け取り番号などを提示して荷物を受け取るサービスです。在宅の必要が無く、24時間いつでも受け取れるなどのメリットがある一方で、宅配ロッカーと同様に、自宅まで運ばないといけません。

コンビニ受け取り

4.置き配
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、利用が拡大したのが「置き配」です。
不在時などに、あらかじめ指定した玄関前、置き配バッグ、車庫、物置などの場所に、荷物を置いてもらう仕組みです。
対面で受け取らなくても良い、特別な設備が不要である、自宅で受け取ることができるなど、とても便利ですが、盗難のリスクや、不在かどうかがわかってしまうなど防犯上の問題もあります。
置き配を利用するときは、このような点に気を付けて置き配の場所を決め、届けられたらできるだけ早く確認するようにしてください。

置き配

皆さんも、さまざまな受け取り方法の特徴をふまえ、自分に合う方法を使って、宅配便サービスをうまく利用してください。

 

執筆: 流通経済大学流通情報学部 教授 矢野 裕児 氏

再配達をどのように減らすか~情報の活用~

再配達を減らすためのもう一つの方法として、利用者と宅配便事業者で受け取り日時の情報交換・情報共有をすることが挙げられます。
国土交通省が実施した、宅配便で再配達をした利用者のアンケート調査結果(※)によると、1回目の配達で受け取れなかった理由は「配達が来るのを知らなかった」が約42%で最も多くなっています。
そのため、配達日時の通知サービスや配達時間指定サービスなどを活用すれば、利用者が配達予定日をあらかじめ知っておくことができ、再配達を減らすことにつながるでしょう。
また、宅配便がいつ来るのかと待ったり、配達予定時間に急いで帰らなくてはいけないといったことは、利用者にとっては大きなストレスになります。このようなサービスを上手に活用して、ストレスを軽減しましょう。
1回目の配達で受け取れなかった理由として、2番目に多かったのは「配達が来るのを知っていたが、用事ができて留守にしていた」が約26%、次に「もともと不在になる予定だったため、再配達してもらう予定だった」が約14%と
「再配達の依頼を前提とした不在」が合わせて4割を占める結果となっています。再配達を減らすために最も重要なのは、利用者の皆さんの意識です。再配達にかかるコストなどを考え、再配達になっても無料だからいい、再配達が当たり前という意識を変えていくことも大切です。

配送伝票

※ 国土交通省「宅配の再配達に関するアンケート調査」アンケート回答の結果について

 http://www.mlit.go.jp/common/001106352.pdf

 

 

宅配便を1回で受け取ろう

宅配便サービスはとても便利で、私たちの生活にすっかり溶け込んだものになっています。その一方で、宅配危機といわれるように、これまでのように宅配便サービスを持続することが難しくなってきています。宅配便サービスをうまく使い続けるため、そして環境負荷を削減するという観点からも、再配達の発生を減らしていくことが重要です。そのためには、「宅配便を1回で受け取ろう」という利用者の意識改革が重要です。利用者は自分に合った受け取り方法を組み合わせ、情報を上手に活用していくことが求められています。

受け取り

 

参考リンク

 東京くらしWEB「置き配?!便利だけどトラブルも起きています~荷物の受取り場所をきちんと定め、早めに確認することが大切です~」

 https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/sodan/kinkyu/20220325.html

 

 

 

 

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電話番号:03-3235-1157