トップページ > 若者 > サッと読める ちょっとお耳に入れたい話 > 令和6年度第1テーマ「あなたのインターネットの使い方、本当に大丈夫?」
更新日:2024年8月30日
皆さんは情報の検索やSNSでの人との情報交換、商品などの通信販売やコンテンツの視聴・配信などでインターネットを利用されているのではないでしょうか?現代社会では、スマートフォンやパソコンなどの電子端末があれば、素早く簡単に世界から様々な情報や商品・サービスを入手できるのでとても便利ですが、その反面、インターネットを安易に利用すると思わぬトラブルに巻き込まれて被害にあったり、逆に他人の権利を侵害しかねないので注意が必要です。
第1回 そのWi-Fi利用、大丈夫? |
執筆: N&S法律知財事務所 弁護士・弁理士 野田 幸裕 氏
今回は、家庭や職場以外の場所でインターネットを利用するときの注意点について説明します。
戸外でインターネットを利用する方法の一つとして、交通機関や飲食店等の店舗などのWi-Fiスポットで、無料の公衆Wi-Fi(いわゆるフリーWi-Fi) を利用する方法があります。この方法は、消費される高速データ通信のギガ数を節約することになりますし、持ち運びできる小型のモバイルWi-Fiルーターのような機器やそのための契約も不要なので、無料で簡便にインターネット利用ができるので魅力的です。
しかし、フリーWi-Fiは不特定多数の人が誰でも利用することができるので、通信内容がのぞき見される可能性や個人情報が漏れる可能性があります。また、正規のWi-Fiを装い、わざと無料で利用させて情報を盗み取ろうとする者もいるので注意が必要です。
このような危険を回避するために、フリーWi-Fi利用時には、以下のポイントに気をつけましょう。
1.スマートフォンの設定でWi-Fiの自動接続はオフにする。また、ネットワークリストでWi-Fi一覧が表示されたときに、ネットワークの名称や鍵マークを確認し、店舗等の掲示ステッカーで接続先の確認をする。
2.フリーWi-Fiを利用している時には、自分の氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどの個人情報は入力しない。
3.フリーWi-Fiを利用している時には、インターネットでの通信販売は利用しない。また、ID・パスワード・クレジットカード情報などの重要な情報は入力しない。
4.自分の情報を入力する場合は、インターネットのブラウザのアドレスバーに鍵マークとhttps://の表示がなされているなど通信が暗号化されていることを確認する。
5.スマートフォンにもウイルス対策ソフトをインストールする。
これらの点に注意してフリーWi-Fiを安全に利用することを心がけましょう。
第2回 知らず知らずのうちに他人の著作権、侵害していませんか? |
執筆: N&S法律知財事務所 弁護士・弁理士 野田 幸裕 氏
今回は、皆さんがインターネットを利用するときの著作権法上の注意点について、事例で説明します。
皆さんがアイドル歌手のコンサートに行って、その様子を自分一人で楽しむためスマートフォンで動画撮影することは許されるでしょうか?
著作権法は作詞・作曲といった楽曲や漫画などの著作物を他人が著作権者に許可なく複製したり、インターネットにアップロードするなどして公衆送信したり、歌手などの実演家の実演を許可なく録音・録画・送信したりすることなどを禁じて、著作権者や実演家等の権利を保護しています。しかし、例外的に、著作権法では個人的又は家庭内といった私的使用の範囲内の録音・録画であれば許可は必要とされていませんので、このようなビデオ撮影なら著作権上は許されます。
しかし、主催者側には本当に私的使用の範囲にとどまるのかどうかは分からないので、事前に録音・録画などの行為を禁止する条件でチケットが販売されており、チケットにもそのように書かれていることが大半です。その場合、私的使用のためのビデオ撮影でも契約違反になるので許されません。
次に、仮に私的使用の録音・録画が主催者側からも許されているとして、その動画をインターネットでアップロードすることは許されるでしょうか?このような行為は、著作権法でも私的使用の範囲を超えるものとされており、作詞家・作曲家の公衆送信権や歌手の送信可能化権を侵害することになるので許されません。
では、このような著作権を侵害してアップロードされた音楽や動画(一般に「海賊版」と呼ばれています。)を第三者がそうと知りながらスマートフォンなどにダウンロードすることは許されるでしょうか?私的利用のためだとしても、これも著作権法により許されない複製行為になります。これは、音楽や動画以外の漫画・書籍・プログラムなどの著作物についても同様です。
著作権法に違反すると損害賠償などの民事責任にとどまらず、懲役刑や罰金といった刑事責任を負うこともあり得るので、くれぐれもご注意ください。
第3回 その投稿、本当に大丈夫? |
執筆: N&S法律知財事務所 弁護士・弁理士 野田 幸裕 氏
今回は、皆さんがSNSに投稿する際の注意点について説明します。
自分の情報にせよ、他人の情報にせよ、投稿者がインターネット上にアップロードした情報を完全に回収することはほぼ不可能です。一度インターネット上に不適切な情報がアップロードされてしまうと、「デジタルタトゥー」(電磁的入れ墨)と言われる深い消えない傷が残され、本人、相手方及びそれらの家族にも大きな不安や不利益を残すことになりかねません。
まず、自分がトラブルの被害者にならないよう氏名や住所などの個人情報はSNSで開示してはいけません。投稿者本人は個人情報をアップロードしているつもりがなくても、学校の制服、自宅、最寄駅、住所表示のある電柱、店舗の看板等が写り込んだ写真などをアップロードしていると、これらをヒントに生活範囲が特定されストーカー行為に遭うなどの危険があります。また、近年では、カメラがより高性能・高画質になっているので、自分の指紋が識別可能な程度に写り込むなどの危険姓があるので撮影・投稿には、より一層の注意が必要です。
次に、投稿に際しては、非公開設定をするなど公開範囲を考え、非公開や短期間の投稿でもその投稿が他人を加害するような不適切なものではないか、投稿前によくチェックしてから投稿するようにしましょう。
投稿者が飲食店の客席にある調味料や皿を舐めるなど悪ふざけの動画をSNSに投稿したりアルバイト先で同様のことをしたりすれば、飲食店から損害賠償請求されたり業務妨害罪で刑事責任を負うなど投稿者自身の傷になるだけではなく、他人の権利の侵害になります。また、そのような投稿を見ても面白がって安易に拡散する行動は、被害を拡大することになりかねないのでやめましょう。
また、投稿者が、友人らを撮影した写真や動画を、承諾を得ないまま勝手にSNSで投稿すれば、友人らの肖像権やプライバシー権の侵害になるのでこのような無断での投稿もやめましょう。また、友達が無断でこのような投稿をしようとしているときは、やめるよう注意してあげましょう。
SNSの利用者の中には、SNSの匿名性の陰に潜み、他人の名誉などを傷つける違法な書き込みをしたり、安易にこれを拡散したりする投稿者もいます。しかし、このような投稿記事は、SNSの運営ルールや訴訟手続により削除を求めることができます。また、法的手続によりSNS事業者や通信事業者(プロバイダ)に投稿者に関する情報を開示させて投稿者を割り出し、最終的に投稿者に損害賠償を求めたり、名誉毀損については警察に刑事告訴することも可能です。また、違法な書き込みがされたときは、一人で悩まず相談や通報できる窓口があるのでぜひ利用しましょう。
(https ://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/hiboutyusyou.html)
他人の権利を違法に侵害すれば法的責任を負うことを自覚し、適切なSNSの利用を心がけましょう。
|
お問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課学習推進担当
電話番号:03-3235-1157