トップページ > 若者 > サッと読める ちょっとお耳に入れたい話 > 令和7年度第2テーマ「その「緊急対応」、本当に大丈夫?〜若者が狙われるレスキュー商法の落とし穴〜」
更新日:2026年1月21日
鍵の紛失や害虫駆除など、緊急の事態に直面した際、焦って業者に連絡すると、「レスキュー商法」と呼ばれる悪質な手口の被害にあう危険性があります。若者からの相談の割合が増加しているこのトラブルを防ぐため、事前の確認事項からトラブルにあった後の対処法まで、冷静に対応するためのステップを解説します。

第1回 緊急事態発生!「急いで来て!」と連絡するその前に |
執筆 龍谷大学法学部 教授 カライスコス アントニオス 氏
鍵をなくした!虫が出た!そんなとき、トラブル解決を請け負う業者に焦って連絡していませんか?まずは落ち着いて対応を検討しましょう。

大学生のAさんは、帰宅途中に鍵を紛失してしまいました。夜も遅く、困ったAさんは、スマートフォンで「鍵 開け方」と検索。検索結果の上位に表示された業者のサイトには「出張費無料!! 解錠3,000円〜」と書かれていたため、Aさんはすぐに電話をかけました。
しかし、業者が到着して作業を終えた後、提示された請求額はなんと8万円。驚いたAさんは抗議しましたが、「特殊な鍵なので追加料金がかかる」と言われ、仕方なく支払ってしまいました。
このようないわゆる「レスキュー商法」の被害は、東京都内の消費生活センターに多く寄せられています。緊急性の高いサービスに関する相談のうち、特に、鍵の解錠や害虫駆除サービスに関する相談は増加しており、若者(29歳以下)の相談がそれぞれの相談件数の4割以上を占めています。
被害を防ぐためには、まず「焦らない」ことが大切です。検索結果の上位に表示される業者が必ずしも信頼できるとは限りません。上位に表示されるために広告料を支払っている場合もあり、実際のサービス内容や料金の明確さとは関係がないことがあります。
一息おいて、複数の業者のウェブサイトを比較しましょう。料金体系が明確に記載されているか、出張費やキャンセル料の有無が明示されているかを確認することが重要です。「〇〇円〜」といった表示には特に注意が必要です。実際には現場の状況に応じて高額な追加料金が発生するケースが多く、最終的な金額は事前に分からないことがほとんどです。それにもかかわらず、極端に安い価格(時には実際に提示されない価格)が大きく表示されているサイトもあります。
さらに、広告の形式にも注意が必要です。マグネット広告やポスティングチラシだけでなく、SNSや検索連動型広告など、インターネット上の広告も増えています。特にスマートフォンで検索した際に表示される広告は、見た目が整っていて信頼できそうに見えることもあります。
「急いでいるときほど慎重に」。この言葉を忘れず、冷静に情報を見極めることが、トラブルを未然に防ぐ第一歩です。
第2回 いざ契約!業者との対応で注意するべきこと |
執筆 龍谷大学法学部 教授 カライスコス アントニオス 氏
業者が到着したら、作業を始めてもらう前に、確認すべきことがあります。トラブルを防ぐための対応とは?

Bさんは、部屋にゴキブリが出たため、インターネット検索で見つけた害虫駆除業者に連絡しました。業者はすぐに駆けつけ、「このままだと大変なことになりますよ」とBさんの不安をあおりながら、床下の消毒や防虫処理など高額なオプションを次々に提案してきました。Bさんは部屋にまだゴキブリがたくさんいて大変なことになるのではないかと怖くなり、言われるがままに作業を依頼。作業後に請求された金額は10万円を超えていました。
このような事態を防ぐには、業者が作業を始める前に、必ず「見積書」をもらいましょう。作業内容、料金、出張費、キャンセル料などが明記されているかを確認することが重要です。口頭での説明だけでは、後から「言った・言わない」のトラブルになりかねません。

また、業者の説明に少しでも不安を感じた場合は、その場で契約せず、家族や友人に相談したり、他の業者にも見積りを依頼したりすることが大切です。無理に契約を迫られた場合は、「消費生活センターに相談します」と伝えるのも有効です。さらに、一人での対応が不安なときは、電話や対面で第三者に立ち会ってもらうと、冷静な判断がしやすくなります。
作業中の様子をスマートフォンで写真や動画に記録しておくことも、後日のトラブル防止に役立ちます。業者が作業内容を説明している場面や、実際の作業の様子を記録しておくことで、万が一のときに証拠として活用できます。撮影の際には「記録のために撮ってもいいですか?」と一言確認するのがよいでしょう。これに対して過剰に反応する業者であれば、注意が必要です。

加えて、作業員の名刺や会社名、連絡先なども必ず控えておきましょう。依頼した業者に所属していない作業員が訪問することもあります。中には、会社名や所在地を明かさずに作業を行う業者も存在します。こうした業者は、後から連絡が取れなくなることもあるため、特に注意が必要です。
「その場で決めない」、「第三者に相談する」、「記録を残す」、「不安なときは断る」。このような点を意識することで、冷静な判断ができ、不要なトラブルを未然に防ぐことができます。
第3回 高額請求!?トラブルにあってしまったら… |
執筆 龍谷大学法学部 教授 カライスコス アントニオス 氏
「支払ってしまったから…」とあきらめずに!トラブルにあった後でもできることがあります。冷静に対処しましょう。

Cさんは、鍵の解錠を依頼した業者から7万円を請求され、驚きつつもその場の雰囲気に押されて支払ってしまいました。しかし、納得がいかず、消費生活センターに相談。消費生活センターの助言を受けて業者に連絡したところ、一部の金額が返金されました。
まず大切なのは、「納得できないまま支払わない」ことです。作業や請求額に疑問がある場合は、その場で現金を支払わず、「後日振込にしたい」と伝えるなどして、すぐにお金を渡さないようにしましょう。支払いを保留することで、後の交渉や相談がしやすくなります。
しかし、支払ってしまった場合でも、あきらめる必要はありません。
訪問販売など特定の取引の場合には、一定の期間内であれば無条件で契約の解除ができる「クーリング・オフ」(※)の制度があります。具体的には、業者が自宅に来て契約を結ぶ訪問販売の場合、契約書を受け取ってから8日以内であれば、原則として理由を問わず「クーリング・オフ」が可能です。
他方で、自分から電話して業者を呼んだ場合は、一般的に「クーリング・オフ」が認められないとされますが、例外もあります。例えば、業者のウェブサイトに安価な料金が表示されていたにもかかわらず、実際には高額な請求をされた場合など、消費者が高額な契約をする意思を持っていなかったと判断されれば、「クーリング・オフ」が認められることもあります。
(※参考)
東京くらしWEB「クーリング・オフ」
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/sodan/k_c_off/
業者の説明が不十分だったり、誤解を招くような表示があった場合には、契約の取消しや無効を主張できる可能性もあります。泣き寝入りせず、消費生活センターに相談しましょう。
消費生活センターでは、専門の相談員が状況を丁寧に聞き取り、適切なアドバイスや対応策を提案してくれます。相談は無料ですので、電話でお問い合わせください。お住まいの地域の消費生活センターの連絡先が分からない場合は、全国共通の消費者ホットライン「188(いやや)」に電話すれば、最寄りの消費生活センターにつながります。
同様のトラブルを防ぐために、自分の体験をSNSなどで共有することも有効です。あなたの経験が、他の人の注意喚起につながるかもしれません。
レスキュー・サービスは、私たちの生活にとって心強い存在ですが、悪質な業者によるトラブルも後を絶ちません。普段から緊急時に備えた準備(信頼できる業者を調べておく、防虫剤等の購入など)をしておくこともとても重要です。定額制のレスキュー・サービスを提供する業者もいますので、サービス内容、対象エリア、料金体系やプランについて、必ず詳細を確認して活用するのもひとつの対策です。レスキュー商法に遭ってしまった場合には、焦らず冷静に対応し、万一のときは、消費生活センターに相談することが、トラブルを最小限に抑える第一歩です。
|
|
お問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課学習推進担当
電話番号:03-3235-1157