トップページ > 若者 > サッと読める ちょっとお耳に入れたい話 > 大事なスマホが突然発火? スマホの事故に注意
更新日:2020年4月24日
スマートフォン(以下、「スマホ」)は身近で便利なデバイスです。しかし、毎日使用していると、つい雑に扱ってしまったり、何かの拍子に手から落としてしまうことも…。
今回は、事故を未然に防止し、安全にスマホを使用するための注意事項を解説します。
執筆: 独立行政法人 国民生活センター 商品テスト部
第1回では、スマホに関する事故事例や取り扱いの注意点などについて解説します。
スマホは今や多くの人が日常的に使用し、生活に欠かせないものとなっていますが、その一方で「スマホを充電していたら充電端子の部分が発熱して溶けてしまった」、「スマホ本体が熱くなり低温やけどを負った」といった事故や相談が寄せられています。
〇充電端子に導電性の異物を挿入したテスト (引用) |
スマホはパソコンと同様に、複数のアプリを起動するなどして内部回路のCPUなどへの負荷が増大すると発熱する性質があります。また、直射日光の下での操作など周囲の環境も発熱の程度に影響することがあります。
一般的にスマホには、本体が一定温度まで上昇すると、負荷の増大を抑えるために、使用中のアプリの動作を制限したり、充電を停止するなどの安全機能が組み込まれています。しかし、使用中や充電中に発熱した本体に長時間触れ続けると、熱いと感じていなくても場合によっては低温やけどに至る可能性があります。
また、スマホが熱いと感じたときは十分に温度が下がるまで使用を控えるとともに、使用する際や充電する際は、肌の同じ部位に長時間直接触れることや、ポケットに入れるなどして肌の近くに長時間密着させることは避けましょう。
次回は、スマホやモバイルバッテリーなど、身近な製品に使われているリチウムイオンバッテリーの事故について解説します。
第2回 リチウムイオンバッテリーの発火事故及び注意点について |
執筆: 独立行政法人 国民生活センター 商品テスト部
第2回ではリチウムイオンバッテリーの事故や取り扱いの注意点などについてお伝えします。
リチウムイオンバッテリーはスマホだけでなく、スマホの充電に使うモバイルバッテリーなど身近にある多くの製品に搭載されています。リチウムイオンバッテリーの登場により私たちが使う製品は、小型軽量化が進み、持ち運べる、充電して繰り返し利用できるなどの利便性がもたらされてきました。
一方で、リチウムイオンバッテリーの普及に伴い、事故の情報も寄せられています。みなさんも電車の中でモバイルバッテリーが発火したといったニュースを聞いたことがあるのではないでしょうか。
一般的に、リチウムイオンバッテリーを使用した製品には様々な保護機能が搭載されており、安全に使えるように作られています。しかしながら、高温環境で使用される、過度な衝撃が加わる、といった状況はリチウムイオンバッテリーの膨張や破裂といった事故につながる可能性が考えられます。
スマホを例にすると、たくさんのアプリを動かしたままカバンの中やポケットの中に入れると、熱がこもり、高温となる状況が考えられます。また、手から落としてしまったり、ポケットに入れたまま転倒することで、バッテリーに衝撃が加わる状況も考えられます。
〇スマートフォンに圧力をかける再現実験の様子 事故の再現映像(youtube) (引用)独立行政法人 製品評価技術基盤機構 |
リチウムイオンバッテリーの事故は、大きな炎や爆発を伴います。膨張するなどの異常を感じたら使用を中止するようにしましょう。
また、最近では、リチウムイオンバッテリーを使用する機器において、純正品より価格が安い互換バッテリーなどがインターネットで多数販売され、簡単に入手、交換することができます。しかし、純正品にて考慮されている安全のための保護機能が省かれている場合もあり、安易に価格だけで判断せず、純正品を使用するようにしましょう。
次回は、リチウムイオンバッテリーを使用している製品を購入・廃棄するときに気を付けてほしいことをご紹介します。
(参考)バッテリーパック「1.電動工具用非純正バッテリーパックから発火」(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/20012301.html
第3回 リチウムイオンバッテリー搭載製品の購入・廃棄時における注意点 |
執筆: 独立行政法人 国民生活センター 商品テスト部
第3回ではリチウムイオンバッテリー搭載製品の購入・廃棄時における注意点について解説します。
リチウムイオンバッテリーはスマホやモバイルバッテリーのほか、電動アシスト自転車、充電式掃除機、ノートパソコン、電動工具、携帯音楽プレーヤー、電気シェーバーなど用途は多岐にわたり、バッテリーの大きさや容量も搭載される商品によって様々です。
リチウムイオンバッテリーは、電気用品安全法によって規制対象品目に挙げられており、これに該当する場合は、法律に基づく技術基準に適合する必要があります。基準に適合した商品にはPSEマークが表示されており、PSEマークの表示がないものは販売することができません。
商品購入の際には、自身の用途に合った仕様なのかを確認するとともに、PSEマークについてもあわせて確認するとよいでしょう。
PSEマーク |
リチウムイオンバッテリーは、充電式とはいえ永久に使えるものではありません。充電を繰り返すことで徐々に劣化して容量が低下し、当初の機能を十分に発揮できなくなるからです。
劣化したバッテリー(バッテリーを搭載した商品を含む)を廃棄する際、可燃ごみや不燃ごみなどとして出してはいけません。これらの収集や運搬、処分の段階でバッテリーに力が加わると、発火することがあり、ごみ収集車やごみ処理施設が火災に至るといった事故が報告されています。
〇モバイルバッテリーがごみ収集車で発火・破裂する事故の再現映像 (引用) 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 |
リチウムイオンバッテリーには様々な希少な金属が使用されているため、法律で回収・再資源化が義務付けられています。お住まいの自治体の指示に従って正しく廃棄(回収・再資源化)するようにしましょう。
また、携帯電話やスマホといった携帯端末については、これらを取り扱うショップの回収サービスを利用するのもよいでしょう。
なお、消費者庁や経済産業省のホームページでは商品のリコール(商品の修理・交換・返金・回収などの措置)に関する情報が掲載されています。リコール対象の商品を使用し続けたことによって事故が発生する可能性もありますので、事故を未然に防止するためにも該当する商品がないか確認しましょう。
全3回をとおして、スマホやモバイルバッテリーの安全な使用方法についてご紹介してきました。身近で便利なスマホですが、精密機械であることを再認識し、正しく使用することで事故を防ぎましょう。
<NITE>
モバイルバッテリーがごみ収集車で発火・破裂する事故の再現映像
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/poster/kaden/19102401.html
<消費者庁>リコール情報サイト
https://www.recall.caa.go.jp/index.php
<経済産業省>
リコール情報
https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/index.html
お問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課学習推進担当
電話番号:03-3235-1157