トップページ > 若者 > サッと読める ちょっとお耳に入れたい話 > 令和7年度第3テーマ「無理しない食生活の整え方 ―無理なく続く、食の“初期設定”を見直す3つの場面―」
更新日:2026年3月18日
食生活を見直したほうがよいと分かっていても、実際の行動を変えるのは簡単ではありません。忙しい毎日の中では、人は無意識のうちに「いつもと同じ選択」を繰り返してしまいます。これは意志が弱いからではなく、誰にでも起こることです。
そこで本シリーズ(全3回)では、「頑張る」「我慢する」ことを前提にせず、無理なく実行できるように初期設定(デフォルト)を少し変えるという考え方を大切にしています。選びやすい形、手に取りやすい形を整えることで、無理なく食生活を整えるヒントを、場面ごとに3回に分けて紹介します。
第1回 朝ごはん、食べないとダメ?―「時間栄養学」から考える、無理しない朝食の話― |
執筆 女子栄養大学栄養学部 教授 林 芙美 氏
朝はギリギリまで寝ていたい。食欲もないし、朝ごはんはコーヒーだけ。そんな生活を送っている若者は少なくありません。朝食は食べたほうがよい、と分かっていても、現実にはなかなか実践できないものです。

最近注目されている「時間栄養学」では、何を食べるかだけでなく、いつ食べるかが体の働きに影響することが示されています。朝食をとることは、体内時計を「朝モード」に切り替える合図となり、生活リズムを整えやすくします。特に朝にたんぱく質を含む食事をとることは、体のリズムを整えるとともに、筋肉量の維持に関係することが報告されています。また、朝食をとる習慣は、エネルギー代謝のリズムと関係し、体脂肪がたまりにくい体の状態づくりにもつながります。
さらに、朝食欠食が続くと、糖尿病や高血圧などの生活習慣病リスクが高まりやすいとの報告もあります。若い世代では実感しにくいかもしれませんが、朝の食習慣は、今の体調管理に重要なだけでなく、将来の健康にとっても無関係ではありません。
とはいえ、毎朝しっかりした食事を用意する必要はありません。重要なのは、完璧な朝食ではなく、体に「朝が来たこと」を知らせることです。バナナと牛乳、ヨーグルト、ゆで卵1個、コンビニのおにぎり1個でも構いません。少量でも、たんぱく質を含む食品を取り入れることで、体は朝のスイッチを入れやすくなります。
朝食は、多様なメニューではなくても、飽きない程度の組み合わせがあれば、続けやすくなります。「これを食べる」とあらかじめ決めておくことで、考える手間が減り、自然と行動につながります。例えば、チーズトーストとゆで卵、温野菜とおにぎりなど、いくつかの型を用意しておくのも一つの方法です。
朝食をとれない日があっても、自分を責める必要はありません。できる日だけ、できる形で。「朝に何かを口にする習慣」を持つことが、体のリズムを整える第一歩になります。

第2回 ちゃんと食べているつもりでも、野菜は足りていない?―無理なく野菜を増やすための、いつもの工夫― |
執筆 女子栄養大学栄養学部 教授 林 芙美 氏
外食や、コンビニで買って食べたり、弁当や惣菜を利用したりする中で、野菜も一応入っているから大丈夫、と安心していませんか?確かに、多くの商品に野菜は使われていますが、その多くは彩り程度で、量としては少ないことも珍しくありません。「食べているつもりでも、実際には野菜が十分にとれていないこと」が起こりやすいのが現実です。

野菜をとったほうがよいと分かっていても、毎回意識するのは難しいものです。量が足りているかを判断するのも難しく、また、最近の物価高の影響で野菜は高いと感じて後回しになってしまうこともあります。野菜不足は、意識や努力の問題というより、今の生活スタイルの中で起こりやすい課題と言えるでしょう。
野菜は毎食しっかりとらなければならない、と思っていませんか。実際には、「1日の中で少しずつ補う」、という考え方でも十分です。朝が難しい日は、昼や夕食で多めにとるなど、できるところで調整すれば問題ありません。
野菜はサラダだけではありません。加熱した野菜、スープの具、冷凍野菜、惣菜に使われている野菜も含まれます。生野菜を用意しないといけないと考えてしまうと、野菜をとるハードルは高くなってしまいます。
外食や弁当・惣菜を利用する場合でも、主食と主菜がそろっていれば、そこに野菜を少し足すだけでバランスが整います。量が少なくても、野菜を「ゼロから1」にすることに意味があります。
野菜を増やすために、特別な工夫や手間は必要ありません。
ポイントは、「考えなくても自然に野菜が選択肢に入る状態」をつくることです。
例えば、冷凍野菜やカット野菜を常備しておくと、下処理の手間がなく、必要な分だけ使えます。カップ麺やレトルト食品に加えたり、買ってきた弁当や惣菜に少し添えたりするだけでも、野菜を増やすことができます。火を使わず、電子レンジで温めるだけで使える点も、忙しい生活には向いています。価格も比較的安定しており、まとめて買っておけるのも利点です。コンビニを利用する場合でも、いつもの組み合わせに野菜系の惣菜やスープを1品足すだけで構いません。
野菜は「頑張って食べるもの」ではなく、「気づいたら入っているもの」に近づけると、続けやすくなります。毎日できなくても問題ありません。できる日だけ、できる形で、野菜を少し足す習慣を続けてみましょう。

第3回 外食やインスタント食品と、どう付き合う?―忙しい毎日でも、食事を整えるための考え方― |
執筆 女子栄養大学栄養学部 教授 林 芙美 氏
学校や仕事、アルバイトなどで忙しい日々の中で、外食をしたり、コンビニで買って食べたり、インスタント食品やレトルト食品を利用したりする若者は少なくありません。時間や手間をかけずに食べられることは、今の生活にとって現実的な選択です。

こうした食事の場面では、「これだけで栄養がとれる」とうたった食品を選ぶこともあるでしょう。手軽さは魅力ですが、これら調理済の食品の多くは、工場で多数の工程を経て作られる超加工食品(Ultra-processed foods:UPF)*1に分類されます。UPFの摂取が多い食生活と健康リスクとの関連については、国内外でさまざまな研究が報告されています。
だからといって、市販の弁当やインスタント食品を避ける必要はありません。忙しい日や疲れている日は、こうした食品に頼るのも自然なことです。大切なのは、使う・使わないをはっきり分けることではなく、「場面に応じて選ぶこと」です。
例えば、時間がない日は、インスタント食品や買ってきたもので済ませても構いません。しかし、その場合でも、組み合わせを少し工夫することはできます。カップ麺をスープ代わりにしておにぎりを食べる場合や、牛丼など主食とおかずが一体になった弁当1つで済ませる場合は、野菜やたんぱく質が不足しがちです。そのようなときは、カップ麺の代わりにいくつかおかずを組み合わせる、牛丼にサラダやゆで卵などの一品を足すなど、選び方を変えるだけで、食事のバランスはぐっと良くなります。

「調理」とは、一から料理を作ることだけを指すものではありません。食材を洗って、切って、フライパンで炒めるといった複数の工程を思い浮かべると、調理は大変と感じてしまう人も多いでしょう。
しかし、カップ麺に冷凍野菜を加える、レトルト食品に野菜を添える、ちぎって和えるだけのサラダや、洗って電子レンジで加熱した野菜をインスタントスープや味噌汁に加えることも、食材に触れる回数を増やす、調理の工夫の一つです。
超加工食品を使う日があっても問題ありません。便利さを手放さずに、量が少なくても、「なるべく素材に近いもの(野菜や豆類など)をとる頻度を増やすこと」に意味があります。
毎日できなくても大丈夫です。できる日だけ、できる形で。自分の生活に合った食べ方を見つけていきましょう。

*1 超加工食品(UPF)とは、食品がどのように作られているか、「加工の度合い」に着目したNOVA食品分類によって定義された、最も加工度が高い食品です。菓子や清涼飲料水、カップ麺、菓子パン、市販の弁当・惣菜のほか、「完全栄養」などを訴求する一部の調理済食品もUPFに分類されます。近年の研究では、UPFの摂取が多い食生活は、肥満や生活習慣病、フレイルのリスクが高まる可能性が指摘されています。
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