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トップページ > 取引・表示指導 > 処分事業者等一覧 > 悪質なパソコン修理事業者に9か月の業務停止命令~公示送達による特定商取引法の業務停止・禁止命令は全国初~

更新日:2019年12月26日

悪質なパソコン修理事業者に9か月の業務停止命令~公示送達による特定商取引法の業務停止・禁止命令は全国初~

令和元年12月26日

  本日、東京都は、特定商取引に関する法律に基づき、パソコン修理の通信販売事業者に対し、業務の一部停止命令、違反行為を是正するための指示並びに代表取締役に対し業務禁止命令を行いました。あわせて、東京都消費生活条例に違反する不適正な取引行為についても、同条例に基づき、情報提供をします。
   事業者は、作業費と部品代のみでパソコン修理ができるとウェブ上でうたいながら、消費者が事業者にパソコンを送付後に、有料の修理コースの詳細を初めて明らかにしたり、修理の内容に納得していない消費者に、裁判になるなどと威迫していました。

                                                          

事業者の概要

事業者名

オルネスホールディング株式会社(以下「当該事業者」という。)

屋号 TOKYO修理、東京修理、とうきょう修理
法人番号 010601042119 ※記載の法人番号は「会社法人等番号」のことです。

代表者名

小杉 諭史(こすぎ さとし)
本店所在地

東京都港区赤坂六丁目16番5号(閉鎖)

事務所

東京都渋谷区南平台町2-12(閉鎖)

栃木県日光市小百2017(現在は営業状況が確認できません。)           

設立 平成20年10月10日
資本金 300万円
業務内容 パソコン修理(通信販売)
 売上高 約7,440万円(平成28年10月~平成29年9月)(事業者報告による。)
従業員数 5名(正社員1名、アルバイト等非正規社員4名)(事業者報告による。) 

※調査過程で、事業者は事務所の閉鎖等を行い、電話や郵便等の連絡に一切応じなくなりました。
※本処分は、公示送達により令和元年12月26日に効力を生じたもので、平成28年に特定商取引法に公示送達の規定が導入されてから行う業務停止・業務禁止命令処分としては、全国初の事例です

広告、契約行為等の特徴

1 ウェブサイトに「データもアプリも設定も残せる」、「作業費+部品代だけ」等と、作業費と部品代のみを支払えば、データもアプリも設定も残してパソコン修理ができると消費者に誤認させる表示をする。

2 消費者からパソコンが届くと、見積書を送り、データを残して修理をするには別途有料のコース契約を締結する必要があることを初めて知らせる。また、修理費が振込まれた後、「見積書に記載以外の部品で障害を確認」などと追加修理の勧誘をする場合において、消費者が詳細を尋ねても、「守秘義務があるので回答できない」等と具体的な修理内容を教えない。

3  修理の予定日を大幅に過ぎてパソコンを納品する。また、修理の内容に納得できず連絡をしてきた消費者に対し、「裁判になります」「謝罪広告を大手全国紙に載せて頂く」などと威迫する。

業務の一部停止命令(法人)の内容

 令和元年12月27日(命令の日の翌日)から令和2年9月26日までの間(9か月間)、法第2条第2項に規定する通信販売に係る次の行為を停止すること。
(1)役務の提供条件について広告を行うこと。
(2)役務提供契約の申込みを受けること。
(3)役務提供契約を締結すること。

業務の一部停止命令の対象となる不適正な取引行為 

不適正な取引行為

特定商取引に関する法律の条項

当該事業者ウェブサイト(以下「当該サイト」という。)において、法第11条第5号に基づく省令第8条第1号に規定する役務提供 事業者の住所について、当該サイトの「特定商取引法に基づく表記」と題するページ内において、「東京都渋谷区南平台2-12」と表示していたが、現に活動している住所を特定しうる情報として不完全な情報を掲載していた。

法第11条 
広告における表示義務違反

当該サイトの「トップページ」に「データもアプリも設定も残せる」と表示し、当該サイトの「修理料金メニュー」と題するページ内に「作業費一律4,980円税別」、「作業費+部品代だけ」、「部品もお得に3,900円税別~」と表示し、消費者が認識しやすい箇所には、あたかも作業費と部品代を支払えば、消費者のパソコンのデータもアプリも設定も残せるかのように表示していたが、

ア 実際にデータやアプリや設定を残したまま修理を行う場合には、別途費用が必要な「パソコン診断データコース」の契約を締結する必要があるが、「パソコン診断データコース」の契約内容の詳細は消費者が本件契約申込み後にパソコンを当該事業者に送付してから初めて提示されるものだった。

イ 当該サイトの「特定商取引法に基づく表記」と題するページ内に「パソコン診断データコース5,980円+税(データが必要な場合に必要な診断費用)」等と記載し、また、「修理料金メニュー」のその他の設定料金・オプション料金には「パソコン診断データコース5,980円※標準コースに加えてパソコン修理の範囲でデータ救出または復旧の調査を行います」と記載しているが、一方で当該サイトの「約款」と題するページ内には「パソコン診断データコース」の費用が記載されていないなど、データやアプリや設定を残したまま修理を行う場合に、実際に消費者が負担することとなる費用について、相反する表示をしていた。

ウ 消費者がデータ回復を希望した場合、別途費用が発生することとなる。

以上のように、当該サイトは本件契約の役務の対価について、実際のものよりも著しく有利であると消費者を誤認させる表示をしていた。
法第12条
誇大広告等の禁止

当該事業者は、パソコン修理の役務提供に先立って、当該役務の対価の一部又は全部を受領したときに通知する、その申込みを承諾する旨の通知において、法第13条の規定に基づく省令第12条第2号に規定する役務の提供者の住所及び電話番号並びに法第13条の規定に基づく省令第12条第4号に規定する当該金銭を受領した年月日について記載していなかった。

法第13条第1項 
承諾等の非通知
当該事業者は、パソコン修理の役務提供に先立って、当該役務の対価の一部又は全部を受領した時に通知する、その申込みを承諾する旨の通知において、「納期予定日」として役務の提供時期を表示していたにも関わらず、納期予定日を過ぎて、「部品の品質不良が確認されたため、再度取り寄せをいたしております」などと告げた上で、「詳細な発注情報等は商社との取り決め上開示できかねます」、「詳細な納品日等はご案内出来かねます」などと繰り返し、納期を不当に遅延させていた。 法第14条第1項第1号 
債務履行の不当遅延
当該事業者は、電子メールによって、追加契約の申込みを受ける場合において、消費者が追加契約の申込みの電子メールを送信したとき、その返信の電子メールにおいて、申込の意思表示を確認するのみで、追加契約の取引条件及び修理の内容を容易に確認し、訂正できるようにしていなかった。

法第14条
第1項第2号、
省令第16条第1項第2号
申込みの内容を容易に確認
及び訂正できるようにしていない。

指示(法人)の内容

(1)業務停止命令を受ける原因となった違反行為の発生原因について、調査分析の上、検証すること。
(2)違反行為の再発防止に向けた、再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築すること。

業務禁止命令(個人)の内容

対象者 業務禁止命令の内容 命令の原因となった事実
小杉諭史 令和元年12月27日(命令の日の翌日)から令和2年9月26日までの間(9か月間)、当該事業者に対して上記業務停止を命じた範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止する。 当該事業者の代表取締役であり、当該事業者の通信販売における業務全般を統括管理し、営業方針等を決定するとともに営業に係る指揮命令を行うなど、当該業務の停止を命ぜられる業務の遂行に主導的な役割を果たしていた。

今後の対応

事業者が業務停止命令等に違反した場合は、下記のとおり罰則があります。東京都は、違反があった場合、関係機関と協議の上、厳正に対処いたします。

(1)特定商取引法に基づく業務停止命令に違反した場合には、同法第70条及び第74条の規定により、法人が3億円以下の罰金、違反行為者が3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されることがあります。

(2)特定商取引法に基づく指示に従わない場合には、同法第71条及び第74条の規定により、法人が100万円以下の罰金、違反行為者が6月以下の懲役又100万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されることがあります。

(3)特定商取引法に基づく業務禁止命令に違反した場合には、同法第70条の規定により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されることがあります。

東京都消費生活条例第27条に基づく情報提供

当該事業者は、特定商取引に関する法律に違反する不適正な取引行為のほかに、東京都消費生活条例及び同条例施行規則に定める不適正な取引行為を行っていたことが判明しました。同条例第27条に基づき、当該事業者が行っていた不適正な取引行為について情報提供いたします。

不適正な取引行為 東京都消費生活条例及び同条例施行規則

 当該事業者は、契約の解除を申し出た消費者に対して、債務不履行、債務   履行に伴う不法行為又は契約の目的物の瑕疵により生じた事業者が負うべき損害賠償責任の全部を不当に免除する条項を付した契約を締結していた。 

条例第25条第1項第5号、
規則第8条第8号
当該事業者は、修理の内容に納得していない消費者に対し、「裁判になります」、「謝罪広告を大手全国紙に載せて頂く」などと威迫して困惑させ、消費者に契約に基づく債務の履行を迫り、又は当該債務の履行をさせていた。 条例第25条第1項第6号、
規則第9条第1号

 

東京都内における当該事業者に関する相談の概要 (令和元年12月25日現在

平均年齢 約49歳(18~79歳)
平均契約額 約35,000円 (最大約85,000円)

相談件数

平成29年度 4件
平成30年度 40件
平成31年度 11件
合計 55件

  消費者へのアドバイス

  • インターネットでサービスや商品を申し込む際には、ウェブサイト上の広告を鵜呑みにせず、費用や契約内容を利用規約や約款等で十分確認し、不明な点は事業者に問い合わせましょう。
  • 同様のトラブルでお困りの方、事業者の対応に疑問を感じた方は、すぐに最寄りの消費生活センターにご相談ください。 

参考資料

東京都消費生活総合センター
03-3235-1155(相談専用電話)

悪質事業者通報サイトへ情報をお寄せください。 <事業者名がわからなくても通報できます!>
すでに解決してしまった消費者相談情報や、窓口に相談するほどでもないけど困った経験をしたことがあるなどの情報をお寄せください。

悪質事業者通報サイト

寄せられた情報は、悪質事業者の指導や処分に役立つほか、都民の皆様への情報提供、啓発につながります。

※PDFに記載の法人番号は「会社法人等番号」のことです。 

お問い合わせ先

東京都生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課取引指導担当

電話番号:03-5388-3073