更新日:2020年3月26日
令和2年3月26日
東京都は、令和2年3月25日付で、大学生等にバイナリーオプション取引*の投資学習用USBメモリーを販売していた3事業者に対し、特定商取引に関する法律に基づき業務の一部停止を命じるとともに、違反行為を是正するための措置を指示しました。また、3事業者の代表者等に対し当該停止を命じた範囲の業務を新たに開始することの禁止を命じました。これらの事業者は、稼げる方法を教えるなどと大学生等を呼び出し、お金が無いと断る消費者に学生ローン等で数十万円の借金をさせて契約締結していました。
なお、本件については、消費者庁と合同調査を行い、同時処分を行いました。
※バイナリーオプション取引とは、為替相場が上がるか下がるかを予想するもので、取引期間終了後(権利行使期限)に事前に定めた権利行使価格を上回った(または下回った)場合に、一定の金銭を受け取ることができる取引です。
事業者名 | 株式会社i tec japan | ||
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代表者名 | 代表取締役 前田 朗 | ||
所在地 | 東京都品川区西五反田二丁目25番9号サンロイヤル五反田401 | ||
設立 | 平成30年2月16日 | ||
資本金 | 100万円 | ||
業務内容 | 「Project advance」と称するバイナリーオプションに係る学習用プログラミングツールが内蔵されたUSB及び「Espresso」と称する当該ツールを稼働させるためのUSBの売買契約 | ||
売上高 | 7億2226万5000円(平成30年3月~平成31年3月) | ||
業務委託契約者 | 795名 |
事業者名 | ファーストこと木村直人 | ||
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代表者名 | 代表者 木村 直人 | ||
所在地 | 東京都世田谷区池尻三丁目30番6号 フェリーチェ池尻601 | ||
設立 | 平成31年4月1日(事業開始日) | ||
業務内容 | 「dmt」と称するバイナリーオプションに係る学習用ツールが内蔵されたUSB及び「Ⅼatte」と称する当該ツールを稼働するために必要なセキュリティUSBの売買契約 | ||
売上高 | 6737万5000円(平成31年4月~令和元年9月) | ||
業務委託契約者 | 148名 |
事業者名 | 株式会社ライズ | ||
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代表者名 | 代表取締役 木村 直人 | ||
所在地 | 東京都世田谷区池尻三丁目30番6号 フェリーチェ池尻601 | ||
設立 | 令和元年6月21日 (商号変更 令和元年7月16日) | ||
資本金 | 100万円 | ||
業務内容 | 「SC」と称するバイナリーオプションを対象とした学習用プログラミングツールが内蔵されたUSB並びに「Latte」と称する当該ツールを稼働させるためのUSBの売買契約及び連鎖販売取引 | ||
売上高 | 2156万円(令和元年7月16日~令和元年9月26日) | ||
業務委託契約者 | 66名 |
※同名又は類似名の事業者と間違えないようご注意ください。
※業務委託契約者とは、当該事業者と本件売買契約をした後、本件商品の販売に関する業務委託契約を結んだ者です。
※売上高、 業務委託契約者数は、いずれも当該事業者報告によるものです。
令和2年3月26日(命令の日の翌日)から令和2年9月25日までの間(6か月間)、特定商取引に関する法律第2条第1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
(1)売買契約の締結について勧誘すること。
(2)売買契約の申込みを受けること。
(3)売買契約を締結すること。
不適正な取引行為 | 特定商取引に関する法律の条項 |
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勧誘に先立って、消費者に対し、「バイト以外にも稼ぐ方法がある。」、「私がやっている投資に関するすごい人がいる。なかなか会えない。芸能人が来るようなカフェで会わせたい。」などと告げるのみで、当該事業者の名称、本件売買契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る本件商品の種類を明らかにしていなかった。 | 第3条 勧誘目的不明示 |
本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、実際には、人工知能が搭載されていないにも関わらず、「AIを利用したシステムに頼ることで、属人的な判断を排除し勝率を上げている」「AIが入ったUSBだから勝てる」「システムには人工知能が入っているから、だんだん強くなる。」などと、あたかも本件商品に人工知能が搭載されているかのように、本件商品の性能について不実を告げていた。 | 第6条第1項第1号 不実告知(商品の性能) |
本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、複数日にわたり3時間以上の勧誘を行うなど、長時間かつ執拗に消費者に対し迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行っていた。 | 第7条第1項第5号 省令※第7条第1号 迷惑勧誘 |
本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、投資経験がなく、その他特段の収入・財産もない学生に対して、難しい投資でリスクも高い取引であるバイナリーオプションに関する本件商品を53万7,000円で販売しており、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。 | 第7条第1項第5号 省令※第7条第3号 適合性原則違反 |
本件売買契約の相手方に対し、本件売買契約に基づく債務を履行させるため、消費者が本件商品の購入資金を貸金業者から借り入れるに際し、奨学金は借りていないことにすること、借入理由は車を買う必要があるためとすること、実際の年収ではなく百何十万円とすること等と事実と異なる理由や年収で申込するよう指示するなどして、本件売買契約の相手方の支払能力に関する事項について虚偽の申告をさせていた。 | 第7条第1項第5号 省令※第7条第6号イ 支払能力虚偽申告教唆 |
※省令とは、特定商取引に関する法律施行規則
(1)当該事業者は、業務停止命令を受けた違反行為の発生原因について、調査分析の上、検証し、その検証結果について、業務停止命令の日から1か月以内に東京都知事宛て文書にて報告すること。
(2)当該事業者は、違反行為の再発防止に向けた、再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築し、当該再発防止策及び当該コンプライアンス体制について、本件業務停止命令に係る業務を再開する1か月前までに、東京都知事宛て文書にて報告すること。
対象者 | 業務禁止命令の内容 | 命令の原因となった事実 |
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前田 朗 | 令和2年3月26日(命令の日の翌日)から令和2年9月25日までの間(6か月間)、当該事業者に対して訪問販売に関する業務の停止を命じた範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止する。 | 当該事業者の設立当初から同社の代表取締役を務めており、同社において、本件売買契約に係る勧誘方法について指示を行っている上、商品管理、同社が訪問販売を実施するための組織編成、営業員に対しての人事について最終決定権を有していたものであり、本件売買契約に係る訪問販売業務全般を監督・指導する立場にあり、当該業務の停止を命ぜられる業務の遂行に主導的な役割を果たしていた。 |
福島 裕基 | 令和2年3月26日(命令の日の翌日)から令和2年9月25日までの間(6か月間)、当該事業者に対して訪問販売に関する業務の停止を命じた範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止する。 | 当該事業者の設立当初から同社の取締役を務めており、同社における営業責任者として、営業行為全般を統括し、営業員に対して営業行為に関する具体的な指示等を行っている上、人事権についても、同社の代表取締役である前田朗と共に最終決定権を有していたものであり、本件売買契約に係る訪問販売業務全般を監督・指導する立場にあることから、当該業務の停止を命ぜられる業務の遂行に主導的な役割を果たしていた。 |
(1) 業務停止命令及び業務禁止命令に違反した場合は、行為者に対しては、特定商取引に関する法律第70条の規定により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれらを併科する手続きを、法人に対しては、同法第74条の規定に基づき、3億円以下の罰金を科する手続きを行う。
(2) 指示に基づく検証結果について、令和2年4月25日までに都知事宛てに報告させる。
(3) 指示に基づく再発防止策及びコンプライアンス体制の構築について、令和2年8月25日までに都知事宛てに報告させる。
(4) 指示に従わない場合には、同法第71条の規定により、行為者に6月以下の懲役又は100万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては、同法第74条の規定に基づき、100万円以下の罰金を科する手続きを行う。
令和2年3月26日(命令の日の翌日)から令和2年9月25日までの間(6か月間)、特定商取引に関する法律第2条第1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
(1) 売買契約の締結について勧誘すること。
(2) 売買契約の申込みを受けること。
(3) 売買契約を締結すること。
令和2年3月26日(命令の日の翌日)から令和2年9月25日までの間(6か月間)、当該対象者に対して訪問販売に関する業務の停止を命じた範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止する。
不適正な取引行為 | 特定商取引に関する法律の条項 |
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勧誘に先立って、消費者に対し、「金が欲しいのであれば、投資とかやってみるといい。」、「今度、すごい稼いでいる人に会わせてやるよ。」などと告げるのみで、当該対象者の氏名、本件売買契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品の種類を明らかにしていなかった。 | 第3条 勧誘目的不明示 |
本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、実際には、人工知能が搭載されていないにもかかわらず、「AIを搭載したシステム」「AIだから強い、学習するから強くなる」などと、あたかも本件商品に人工知能が搭載されているかのように、商品の性能について不実を告げていた。 | 第6条第1項第1号 不実告知(商品の性能) |
本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、契約を検討する消費者及び「お金が用意できないからできません。」等と本件売買契約を締結しない旨の意思表示を行った消費者に対しても、深夜に渡り長時間、執拗に勧誘するなどして、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をしていた。 | 第7条第1項第5号 省令※第7条第1号 迷惑勧誘 |
本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、投資経験がなく、その他特段の収入・財産もない学生に対して、難しい投資でリスクも高い取引であるバイナリーオプションに関する本件商品を53万9,000円で販売しており、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。 | 第7条第1項第5号 省令※第7条第3号 適合性原則違反 |
本件売買契約の相手方に対し、本件売買契約に基づく債務を履行させるため、消費者が本件売買契約に係る購入資金を学生ローン等の貸金業者から借り入れるに際し、アルバイトの稼ぎも預金も少ない学生に対し、社会人であり実際を上回る収入額を申告するよう指示するなどして、本件売買契約の相手方の支払能力に関する事項について虚偽の申告をさせていた。 | 第7条第1項第5号 省令※第7条第6号イ 支払能力虚偽申告教唆 |
※省令とは、特定商取引に関する法律施行規則
(1)当該対象者は、業務停止命令を受ける原因となった違反行為の発生原因について、調査分析の上検証し、その検証結果について、業務停止命令の日から1か月以内に東京都知事宛て文書にて報告すること。
(2)当該対象者は、違反行為の再発防止に向けた、再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築し、当該再発防止策及び当該コンプライアンス体制について、本件業務停止命令に係る業務を再開する1か月前までに、東京都知事宛て文書にて報告すること。
(1) 業務停止命令及び業務禁止命令に違反した場合は、行為者に対しては、特定商取引に関する法律第70条の規定により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれらを併科する手続きを、法人に対しては、同法第74条の規定に基づき、3億円以下の罰金を科する手続きを行う。
(2) 指示に基づく検証結果について、令和2年4月25日までに都知事宛てに報告させる。
(3) 指示に基づく再発防止策及びコンプライアンス体制の構築について、令和2年8月25日までに都知事宛てに報告させる。
(4) 指示に従わない場合には、同法第71条の規定により、行為者に6月以下の懲役又は100万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては、同法第74条の規定に基づき、100万円以下の罰金を科する手続きを行う。
令和2年3月26日(命令の日の翌日)から令和2年6月25日までの間(3か月間)、特定商取引に関する法律第2条第1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
(1) 売買契約の締結について勧誘すること。
(2) 売買契約の申込みを受けること。
(3) 売買契約を締結すること。
令和2年3月26日(命令の日の翌日)から令和2年6月25日までの間(3か月間)、連鎖販売業に係る連鎖販売取引のうち、次の行為を停止すること。
(1) 連鎖販売取引について勧誘を行い、又は特定商取引に関する法律第33条の2に規定する勧誘者(以下「勧誘者」という。)に勧誘を行わせること。
(2) 連鎖販売取引についての契約の申込みを受け、又は勧誘者に契約の申込みを受けさせること。
(3) 連鎖販売取引についての契約を締結すること。
不適正な取引行為 | 特定商取引に関する法律の条項 |
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勧誘に先立って、その相手方に対し、「投資の世界で成功したすごい人がいる。」、「投資の話を聞いてみないか。」などと告げるのみで、当該事業者の名称、本件売買契約(本件連鎖販売取引)の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品の種類を明らかにしていなかった。 | 第3条 第33条の2 勧誘目的不明示 |
本件売買契約(本件連鎖販売取引)の締結について勧誘をするに際し、投資経験がなく、その他特段の収入・財産もない学生に対して、難しい投資でリスクも高い取引であるバイナリーオプションに関する本件商品を53万9,000円で販売しており、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。 | 第7条第1項第5号 省令※第7条第3号 第38条第1項第4号 省令※第31条第6号 適合性原則違反 |
本件売買契約の相手方に対し、本件売買契約に基づく債務を履行させるため、消費者が本件売買契約に係る購入資金を学生ローン等の貸金業者から借り入れるに際し、アルバイトの稼ぎも預金も少ない学生に対し、社会人であり実際を上回る収入額を申告するよう指示するなどして、本件売買契約の相手方の支払能力に関する事項について虚偽の申告をさせていた。 | 第7条第1項第5号 省令※第7条第6号イ 第38条第1項第4号 省令※第31条第8号イ 支払能力虚偽申告教唆 |
※省令とは、特定商取引に関する法律施行規則
(1)当該事業者は、業務停止命令を受ける原因となった違反行為の発生原因について、調査分析の上検証し、その検証結果について、業務停止命令の日から1か月以内に東京都知事宛て文書にて報告すること。
(2)当該事業者は、違反行為の再発防止に向けた、再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築し、当該再発防止策及び当該コンプライアンス体制について、本件業務停止命令に係る業務を再開する1か月前までに、東京都知事宛て文書にて報告すること。
対象者 | 木村 直人 | |
---|---|---|
業務禁止命令の内容 | 令和2年3月26日(命令の日の翌日)から令和2年6月25日までの間(3か月間)、当該事業者に対して連鎖販売業に係る連鎖販売取引の業務停止を命じた範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止する。 | |
命令の原因となった事実 | 当該事業者の設立当初から同社の代表取締役を務めており、同社において、本件連鎖販売取引に係る勧誘方法について指示を行っている上、商品管理、同社が連鎖販売取引を実施するための組織編成、営業員に対しての人事について最終決定権を有していたものであり、本件連鎖販売業に係る連鎖販売取引業務全般を監督・指導する立場にあり、当該業務の停止を命ぜられる業務の遂行に主導的な役割を果たしていた。 |
(1) 業務停止命令及び業務禁止命令に違反した場合は、行為者に対しては、特定商取引に関する法律第70条の規定により、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれらを併科する手続きを、法人に対しては、同法第74条の規定に基づき、3億円以下の罰金を科する手続きを行う。
(2) 指示に基づく検証結果について、令和2年4月25日までに都知事宛てに報告させる。
(3) 指示に基づく再発防止策及びコンプライアンス体制の構築について、令和2年5月25日までに都知事宛てに報告させる。
(4) 指示に従わない場合には、同法第71条の規定により、行為者に6月以下の懲役又は100万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては、同法第74条の規定に基づき、100万円以下の罰金を科する手続きを行う。
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