「定期購入」により美容液・育毛剤を販売していた通信販売・電話勧誘販売事業者(3社)に対し、業務停止命令(3か月)・改善指示
令和6年11月1日
東京都は、美容液・育毛剤等を販売していた3事業者に対して、特定商取引に関する法律に基づき、通信販売業務の一部を3か月間停止するよう命じるとともに、通信販売業務の改善を指示しました。
同時に、3事業者の代表取締役(同一人物)に対し、停止を受けた通信販売業務を新たに開始することを、3か月間禁止しました。また、3事業者に対して、電話勧誘販売業務の改善を指示しました。
事業者の概要
名称
|
株式会社TRIBE(トライブ) |
代表者 |
高橋 史弥 |
本店所在地 |
東京都渋谷区恵比寿南一丁目16番13号PlanexWatt3階 |
設立 |
平成29年9月1日 |
資本金 |
300万円 |
取引類型 |
通信販売・電話勧誘販売 |
取扱商品 |
美容液等化粧品・育毛剤等ヘアケア用品 |
名称 |
LIALUSTER 株式会社(リアラスター) |
代表者 |
高橋 史弥 |
本店所在地 |
東京都渋谷区恵比寿南一丁目16番13号PlanexWatt3階 |
設立 |
平成30年8月1日 |
資本金 |
500万円 |
取引類型 |
通信販売・電話勧誘販売 |
取扱商品 |
美容液等化粧品 |
名称
|
hairju株式会社(ヘアージュ) |
代表者 |
高橋 史弥 |
本店所在地 |
東京都目黒区下目黒二丁目6番10-1001号GraceCourtMeguro |
設立 |
平成30年8月1日 |
資本金 |
500万円 |
取引類型 |
通信販売・電話勧誘販売 |
取扱商品 |
育毛剤等ヘアケア用品 |
- 株式会社TRIBEを「トライブ社」、LIALUSTER株式会社を「リアラスター社」、hairju株式会社を「ヘアージュ社」といいます。
- 消費者は、リアラスター社又はヘアージュ社を契約先と認識していました。トライブ社は、リアラスター社又はヘアージュ社と一体となって、美容液又は育毛剤の定期購入の通信販売や電話勧誘販売の業務を行っていました。詳細については、別添をご覧ください。
- 同名又は類似名の事業者と間違えないようご注意ください。
事業者に対する行政処分の内容
トライブ社、リアラスター社及びヘアージュ社の各社に対して、次のとおり命令・指示をしました。
通信販売に関する業務停止命令の内容
根拠法令:特定商取引に関する法律(以下「法」といいます。)第15条第1項
令和6年11月2日(命令の日の翌日)から令和7年2月1日までの間(3か月間)、次の業務を停止すること。
- 商品の販売条件について広告すること。
- 商品の売買契約の申込みを受けること。
- 商品の売買契約を締結すること。
- 根拠法令:特定商取引に関する法律(以下「法」といいます。)第15条第1項
通信販売に関する指示の内容
根拠法令:法第14条第1項
- 業務停止命令を受ける原因となった違反行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、再発防止策及びコンプライアンス体制について、従業者全員(業務停止命令を受ける原因となった違反行為に係る業務については、業務委託先の従業者を含む)に周知徹底すること。
- これらの実施について、令和7年1月6日までに、東京都知事へ文書により報告すること。
電話勧誘販売に関する指示の内容
根拠法令:法第22条第1項
- 電話勧誘により消費者と商品の販売契約をした際に、消費者に対して速やかに、事業者名等(法人名、代表者名)、契約担当者名、商品名及び商品の商標、商品の数量(継続回数の約束のある場合の総量等)、契約の解除に関する内容等、法第19条第1項に定める事項を記載した書面を交付すること。
- 電話勧誘販売に関する商品の販売業務について、解除の申出を妨げる行為をしないこと。
- 指示を受ける原因となった違反行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、再発防止策及びコンプライアンス体制について、従業者全員(指示を受ける原因となった違反行為に係る業務については、業務委託先の従業者を含む)に周知徹底すること。
- これらの実施について、令和6年12月2日までに、東京都知事へ文書により報告すること。
リアラスター社、ヘアージュ社及びトライブ社の関係
- トライブ社、リアラスター社及びヘアージュ社は、高橋史弥氏(以下「高橋氏」)の出資により設立され、高橋氏が各社の代表取締役に就き、美容液等化粧品及び育毛剤等ヘアケア用品(以下これらを総称して「商品等」)の販売事業に係る業務を執行している。具体的には、高橋氏が商品等の通信販売における定期購入や電話勧誘販売における販売方法、販売条件に関する事項、販売業務における各社の収支、及びその他の販売活動に関する重要な事項について決定している。
- トライブ社は、通信販売における定期購入や電話勧誘販売にかかる広告物流業務及びコールセンター業務等の外注費用等を損金計上し、収益を計上していた。
- トライブ社の本店所在地において、トライブ社の雇用した者が、商品等の企画開発、仕入れ、売上在庫管理、商品等を購入した顧客の管理業務、商品等販売に係る広告・物流に関する業務、商品等に関するカスタマー対応・アウトバウンド獲得等のコールセンター業務に関する業務を行っていた。
- トライブ社とリアラスター社は、美容液等の販売について、通信販売電話勧誘販売において、消費者に対しリアラスター社を販売業者として表示し、トライブ社が販売業務を担っており、実質的に一体であり、連携共同して通信販売・電話勧誘販売を行っていると認められる。
- トライブ社とヘアージュ社は、育毛剤等の販売について、通信販売・電話勧誘販売において、消費者に対しヘアージュ社を販売業者として表示し、トライブ社が販売業務を担っていることから、実質的に一体であり、通信販売・電話勧誘販売を連携共同して行っていると認められる。
不適正な取引行為の内容
【通信販売】
法第11条第5号(広告表示義務違反)
トライブ社とリアラスター社、トライブ社とヘアージュ社は、それぞれ
しばりのない定期購入の申込の承諾表示、しばりのある定期購入の内容、及び申込内容が一連で表示される「サンクスページ」において、しばりのない定期購入の広告である「記事LP」等において何度も強調していた「しばりなし」という条件を「しばりのある」条件に変更する取引について広告していた。
「サンクスページ」において、「記事LP」等で用いた「しばりのない」という表現と対比しやすい「しばりのある」という表現を用いず、「最低〇回(総額〇〇〇〇〇円/税込)のご継続をお約束いただく、・・・」と「しばり」とは別の表現を用いて表示したり、「記事LP」等における「しばりなし」表示で使用した文字の大きさや見やすさと比べ格段に小さな文字で表示するなど、消費者の誤認を惹起する表示を行っていた。
「しばりのない」条件から「しばりのある」条件への変更は、消費者が当初申込を行ったいつでも離脱できるという条件から、離脱に制限が生じることになるから、定期購入の契約の解除に関する事項にあたることから、この事項に関する表示がなかったと認められる。
法第11条第6号、省令第23条第2号(広告表示義務違反)
トライブ社とリアラスター社、トライブ社とヘアージュ社は、それぞれ
「特定商取引法に基づく表記」において、通信販売に関する業務の責任者として、少なくとも令和5年6月1日から同年12月22日までの間、従業者でもなく、通信販売に関する業務を全く行っていない者の氏名を表示していた。
法第12条(誇大広告)
トライブ社とリアラスター社は、
美容液の広告にあたり、品質・効能について実際のものよりも著しく優良であると表示をし、また、商品の価格について著しく有利であると消費者を誤認させるような表示を行っていた。
- 「記事LP」及び「商品LP」において、美容液は、ナイアシンアミド及びグリチルリチン酸ジカリウムの有効成分が含まれる医薬部外品の指定を受けているところ、品質について「ナイアシンアミドの更なる強化に成功!」と「進化系ナイアシンアミド」なる成分が含まれているかのような表示を行っていた。
また、効能について、「深いシワ、隠れシミ、黒い毛穴、国内唯一の薬用成分で改善!」「たるんだフェイスラインごと深いシワを持ち上げる」「深いシワが“真皮から持ち上がる”ので、リフトアップにも高い効果を発揮します」等と表示をしていた。
これらの「進化系ナイアシンアミド」なる成分の内容や含有について、及び広告に表示していた効能について、表示の根拠がなかった。
- しばりのない定期購入の販売サイトにおいて、初回1個1,980円の商品の価格について、定期購入での販売実績のない「通常価格5,600円」を比較対象として表示していた。
- しばりのない定期購入の申込みを行った消費者に対して表示される「サンクスページに」おいて、実際に「お得」になるのは定期購入の2回目以降の美容液2本分7,960円であるにもかかわらず、定期購入での販売実績のない「通常価格5,600円」で13本購入する場合の総額と比較し「31,020円税込もお得!」「いつまでもお得が続く」「長くお得なコースに変更」と表示していた。
トライブ社とヘアージュ社は、
育毛剤の広告をするにあたり、取引先について著しく事実と相違する表示をし、また、品質・効能について実際のものよりも著しく優良であると表示をし、さらに、商品の価格について著しく有利であると消費者を誤認させるような表示を行っていた。
- 「バナー広告」において、「●●●で大ヒット」「2023年●●●で爆売れ」等と記載し、あたかも著名な大規模小売店舗等で取り扱いがあり、売れ行きが大変好調な商品であるように表示していたが、実際は、当該大規模小売店舗における育毛剤の販売実績はなかった。
- 「記事LP」において、育毛剤は、ピロクトンオラミン、酢酸DL-α-トコフェロール及びグリチルリチン酸ジカリウムの有効成分が含まれる医薬部外品の指定を受けているところ、品質について、「①国指定の薬用成分、②黒髪ホルモン(女性ホルモンの一種)、③頭皮リフト成分(ハリ改善)」「これらの有効成分でできた『黒髪育毛剤』を頭皮に投与することで、白髪を黒く戻しながら黒い毛を増やしていく白髪撃退法です。」と「黒髪ホルモン」なる成分が含まれるかのように表示していた。
また、育毛剤には、「自分の髪色が戻る、黒髪矯正剤、この作用から「染めない髪色戻し」とも呼ばれているんですって!」「白髪は〇〇で黒髪に戻る!!」「白髪染めの代用品が凄い」と白髪が元の髪色に戻る効能があるかのように表示していた。
これらの「黒髪ホルモン」なる成分の内容や含有について、及び広告に表示していた効能について、表示の根拠がなかった。
- しばりのない定期購入の販売サイトにおいて、初回の販売価格である1,980円について、当該販売サイトにおいて販売実績のない「通常価格10,780円」を比較対象として表示していた。
- しばりのない定期購入の申込みを行った消費者に対して表示される「サンクスページ」において、実際に「お得」になるのは20,856円であるにもかかわらず、定期購入での販売実績のない「通常価格10,780円」で13本購入する場合の総額と比較し「73,480円税込もお得!」と表示していた。また、しばりのない定期購入としばりのある定期購入との育毛剤1本あたりの価格差は1,738円のところ、定期購入での販売実績のない「通常価格10,780円」と比較し「毎回半額」「1年間ずーっと半額!」と表示していた。
【電話勧誘販売】
法第19条第1項、省令第45条(書面記載不備)
トライブ社とリアラスター社、トライブ社とヘアージュ社は、それぞれ
少なくとも令和5年10月から12月21日までの間において、消費者に交付した書面には、事業者名等(法人名、代表者名)、契約担当者名、商品の数量(回数の約束のある場合の総量等)、契約の解除に関する内容(法26条第5項第1号、省令第47条第4項)等について、記載がなかった。
法第22条第1項第5号、省令第64条第1号(迷惑解除妨害)
トライブ社とリアラスター社、トライブ社とヘアージュ社は、それぞれ
少なくとも令和5年10月から12月21日までの間において、電話勧誘により契約を締結した消費者から、電話によりクーリング・オフの申出を受けた際にクーリング・オフの案内をしないで、商品を受け取り使用するよう勧めたり、受け取らない場合でも商品代金相当額の支払いを求める旨を申し向ける等、解除を妨げる行為をしていた。
代表者に対する業務禁止命令の内容
対象者
高橋 史弥
業務禁止命令の内容
令和6年11月2日(命令の日の翌日)から令和7年2月1日までの間(3か月間)、通信販売に関する次の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員(業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)となることを含む。)を禁止する。
- 商品の販売条件について広告すること。
- 商品の売買契約の申込みを受けること。
- 商品の売買契約を締結すること。
処分の原因となった事実
対象者は、トライブ社、リアラスター社及びヘアージュ社の代表取締役であり、これらの事業者が行う通信販売における業務全般を統括管理し、営業方針等を決定するとともに営業に係る指揮命令を行うなど、当該業務の停止を命ぜられる業務の遂行に主導的な役割を果たしていた。
根拠法令:法第15条の2第1項
都内における当該事業者に関する相談の概要 (令和6年10月22日現在)
LIALUSTER 株式会社(リアラスター)
契約者平均年齢:53.1歳
平均契約額:19,012円
hairju株式会社(ヘアージュ)
契約者平均年齢:64.1歳
平均契約額:29,187円
株式会社TRIBE(トライブ)
同社名を消費者に明示していないため、同社名の相談件数はない。
相談件数
|
2年度 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
6年度 |
合計 |
リアラスター |
0件 |
60件 |
90件 |
94件 |
27件 |
271件 |
ヘアージュ |
16件 |
4件 |
47件 |
712件 |
111件 |
890件 |
2社計 |
16件 |
64件 |
137件 |
806件 |
138件 |
1,161件 |
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