トップページ > 相談窓口 > 東京都消費者被害救済委員会 > 紛争処理(直近5年分) > 「全身脱毛エステティックサービス契約に係る紛争」あっせん解決
更新日:2022年6月21日
令和4年6月21日
生活文化スポーツ局
都内の消費生活センターには、若者からの脱毛エステに関する相談が多く寄せられています。
本日、知事が東京都消費者被害救済委員会に付託していた標記紛争について、あっせん解決したと報告がありましたので、お知らせします。
【申立人】 20歳代 【相手方】 脱毛エステティック事業者 【申立人の主張による紛争の概要】
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本件契約は、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)で規定する特定継続的役務提供に該当するところ、相手方が申立人に交付した契約書面は法定記載事項を満たしていないため、申立人の申し出によるクーリング・オフが認められます。よって、委員会は、申立人が相手方に支払った契約金全額(約50万円)の返金を求めるあっせん案を提示したところ、当事者双方で合意が成立しました。
エステのサービスが1年間なのに、支払いが3年も続くのはなぜかという相談があります。これは、サービスの契約と支払いの契約が異なっているからです。消費者はエステ店とは別に、支払いについてはクレジット会社と36回などの長期契約をしています。契約時には、サービス期間と支払期間がどのようになっているか確認する必要があります。
また、本件のようにサービス30回の契約と言いながら、有償回数が4回と少なく設定されている場合、中途解約時の返金額がわずかになったり、支払いだけが残るというトラブルにつながります。
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東京都消費者被害救済委員会(会長 村 千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
(1) 本件は、いわゆるエステティックの契約で、期間が1か月を超え、かつ、金額が5万円を超えるものであることから、特定商取引法の特定継続的役務提供に該当する。
(2) 事業者は、特定商取引法が定める内容を記載した契約書面を消費者に交付しなければならないところ、本件契約書面は、同法で定める要件を満たしていない。そのため、クーリング・オフ期間は進行せず、申立人はいつでもクーリング・オフ権を行使できる。
(3) 相手方は、クーリング・オフについて「書面で行う」旨を伝えず、電話等による問い合わせをしないと解約ができないかのような説明を行っていた。このような行為は、クーリング・オフ妨害に該当する可能性がある。
(1) 本件では、最初の4回までは有料で施術し、5回目以降は無料サービスとして施術するという価格設定がされている。これは、当日キャンセル料が高額になり得る点や、特定商取引法第49条の中途解約時の精算規定に基づくと実質的に提供済み役務の対価が高額になる点で、事業者が高額なキャンセル料を徴収することが可能になり、消費者に著しい不利益をもたらすものである。
(2) 本件の申立人は若年者であり、本件で相手方が行った勧誘行為には若年者への勧誘行為としては特に問題となる点が多数ある。具体的には、1.クーリング・オフをするためには、お客様相談センターに問い合わせなければならないという誤認を与える行為、2.若年者の収入に見合わない高額な商品・役務を勧誘する行為、3.月額が安いかのような印象を与えたり、施術期間が最短3か月であるかのような誤解を与える広告によって、資産や収入が十分ではない若年者を誘引する行為、4.広告や勧誘時の説明で、施術単価や支払総額、支払方法について十分に説明していない、といった点が問題となる。
(1) 施術回数を有料の回と無料の回とで区別し、有料の回数を少なくすることで、中途解約時の返金額を抑えようとする手法が蔓延しているが、行き過ぎると不合理なものとなり、契約の正当性に疑念が生じかねない。
(2) エステティックの集客は、ほとんどが広告に頼っているため、広告表示が行き過ぎたものになりやすい。有利誤認、優良誤認と認められるような表示の場合は、当然違法であり、速やかに改善するべきである。
(3) 脱毛エステティックの顧客は、若年者に偏る傾向がある。したがって、広告、料金体系、中途解約の取り決め、クーリング・オフの説明などは、若年者が理解し適切に行動できるようなものとしなければならない。
(1) 脱毛エステティック事業者は、多数存在する。料金だけではなく、店舗の場所や施術の日時、方法など様々な要素を何店か比べ、自分が無理なく通えるのかどうかも合わせ考慮して選ぶべきである。
(2) 途中で通えなくなったり、他の店舗に変わりたくなったり、中途解約する人は意外に多いため、解約金の扱いがどうなるのか、具体的な金額を確認し、不審なところはないか点検してから契約をするべきである。
(1) 特定継続的役務を巡る問題点として、長期契約を結んでも、その後中途解約を求める割合がかなりある。最初に料金全額を払うと、中途解約時に返金の必要が生じ、事業者の経営も不安定になる。施術の都度料金を支払う形式を基本に据えるなど、料金支払方法の改善がされなければ根本的な解決にならない。
(2) 若年者の多くがスマートフォンで広告を見て、その広告に附属する申込システムを使って契約申込みをする場合が多い。スマートフォンからの契約申込みに対する法定書面のあり方を、早急に検討するべきである。
※本件の詳細は、報告書をご覧ください。
印刷用PDFはこちら(PDF:1,847KB)
全身脱毛エステティックサービス契約に係る紛争(報告書)(PDF:767KB)
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