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更新日:2021年9月22日
令和2年11月18日
生活文化局
都内の消費生活センターには、オーディションを契機としたタレント・モデル契約に関する相談が毎年多数寄せられています。特に本件のように消費者の解約申出にあたり、事業者側が返金に応じないという相談が多いことから、今後の同種・類似事案の解決に役立てるため、都は、東京都消費者被害救済委員会(会長村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会からあっせん・調停不調により終了したと知事に報告がありましたので、お知らせします。
【申立人】 20歳代の男性 【相手方】※同名又は類似名の事業者と間違えないようにご注意ください。 甲:株式会社アクターズステーション 乙:株式会社レアル 【申立人の主張による紛争の概要】 申立人は、アルバイト情報サイトから甲のエキストラに応募しました。電話で甲の事務所まで登録に来るようにと言われ出向いたところ、短編映画出演のオーディションを勧められ受けました。結果を聞きに来るよう言われ、翌日甲の事務所に出向き合格を告げられた際に、映画に出演するには乙とのレッスン契約が必要だと初めて言われ、約50万円のレッスン契約をしてしまいました。解約を申し出たところ、相手方から受講料は返金するが入学金は返金しないと言われ、紛争になりました。 |
委員会は、本件契約は、特定商取引法で規定するアポイントメントセールス(電話等で、販売目的を隠して消費者を呼び出し、商品や役務等の有料の契約を勧誘する手法。以下「アポイントメントセールス」といいます。)に該当し、交付された契約書には同法で定める事項が記載されていなかったことから、同法に基づきクーリング・オフができると判断し、あっせん案を提示しましたが、相手方が応じなかったため、調停案を提示しました。 相手方は、アポイントメントセールスに該当しない、契約書の記載不備もないとして、同意しませんでした。そのため委員会は、あっせん・調停を不調として処理を終了しました。 |
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東京都消費者被害救済委員会とは、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
本件は、甲が申立人をレッスン契約の勧誘目的を明示せずに事務所に呼び出したことが、アポイントメントセールスに該当するかが問題となるが、本件では、乙がエキストラ募集業務をしている甲に対し、本件レッスン契約の締結業務を委託していたとみることができ、甲と乙との間には媒介が成立していると考えられ、消費者契約法第5条により、抗弁の接続が認められる。よって、本件レッスン契約は、アポイントメントセールスに該当する。
申立人は、契約書受領後8日を過ぎてから書面で契約を解約したい旨を申し出ているが、申立人に交付された契約書には記載不備があるため、クーリング・オフが成立する。
本件の入学金は、大学の在学契約における学納金の返還請求に関する最高裁判決(平成18年11月27日)における「大学に入学し得る地位を取得する対価」とは異なり、消費者契約法第9条第1号の平均的な損害とは言えず、入学金全額の返還を拒むことはできない。
(1) 事業者がレッスンを提供する場合は、消費者に何のレッスンを提供し、それにより俳優としてどのような力がつくのか消費者が見極め、契約の締結の可否を判断できるように、予めレッスンの内容を全て確定し契約締結前に開示しなくてはならない。
(2) 継続的に役務提供をする契約の場合、中途解約に関して、支払った対価を合理的に清算できる規定を設けておかなければならない。
(1) オーディションを利用して有料のレッスン契約を結ばせる商法に注意が必要である。
(2) 高額な契約の締結は、長期間レッスンを受け続けることができるのか、支払いは無理せずに続けられるのか、慎重に、周囲に相談するなどしてから締結するべきである。
特定商取引法の特定継続的役務提供に、タレント・俳優育成契約を加え、債権債務の内容を適正に記載した書面交付義務、クーリング・オフ制度、中途解約と契約金の清算に関する規定など、多発する若年者被害を効果的に防止する手だてが必要だと考える。
※本件の詳細は、報告書をご覧ください。
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エキストラ応募後に結んだレッスン契約に係る紛争(報告書)(PDF:706KB)
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