トップページ > 相談窓口 > 東京都消費者被害救済委員会 > 紛争処理(直近5年分) > 「トイレの詰まりをきっかけとした高額な修理契約に係る紛争」 あっせん解決
更新日:2021年10月15日
令和3年10月15日
生活文化局
令和2年度に都内の消費生活センターに寄せられたトイレの詰まり解消等修理に関する相談は、前年度の約3倍と若年層を中心に急増しました。
緊急性の高い修理等自ら訪問を要請した本件のトラブルに関して、法的な考え方や問題点を整理して、今後の同種・類似紛争の解決にも役立てるため、都は、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会から知事に、あっせん解決したと報告がありましたので、お知らせします。
【紛争の概要】 【あっせん解決の内容】 |
東京都消費者被害救済委員会は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
1 本件は特定商取引法の訪問販売に該当する。
インターネットの広告を見て修理を依頼した申立人らに対し、相手方は申立人らの自宅において、作業内容・代金の説明を行い、各工程の都度申立人らから了承を得た上で、作業を開始している。このことから、本件は、営業所等以外の場所で役務提供契約を締結して行う役務の提供に該当するため、特定商取引法第2条第1項第1号の訪問販売に該当する。
2 本件は特定商取引法第26条第6項第1号の適用除外(注)に該当しない。
申立人らは、「950円~」、「980円~」というウェブサイト上の表示を見て修理を依頼したが、広告には総額や上限額、具体的な作業内容が分かる記載はなく、また、電話で修理を依頼した際にもそうした説明はされていなかった。
特に代金は、契約の成立に必要不可欠な要素であるが、申立人が事前に知り得た金額と実際の代金(25万円)との間には、約250倍という相当の開きがある。依頼した段階では契約の主要部分が確定しておらず、申立人らは、安価な金額での修理を依頼したのであって、最終的な作業内容・代金による契約をする意思を有していたとは言えない。よって、特定商取引法第26条第6項第1号で規定する「役務提供契約の申し込みをし」又は「役務提供契約を提供することを請求し」た者には当たらないため、適用除外に該当せず、同法第4条から第10条までの規定の適用を受ける。
(注)販売業者等が自らの意思に基づき住居を訪問して販売を行うのではなく、消費者の「請求」に応じて行うその住居における販売等は、クーリング・オフ等の規定が適用除外となる。
3 本件はクーリング・オフが成立する。
本件は、上記1及び2により、特定商取引法第9条のクーリング・オフの適用を受ける。申立人らは契約を締結した日から8日以内に解約通知を送付していることから、クーリング・オフは成立する。
1 事業者に対して求めること。
(1)緊急性の高い契約については、消費者は冷静に考えることが困難な状況にある。事業者は、不当景品類及び不当表示防止法等法令の規制に則ることはもとより、消費者の目線に立ち、信義則に従った公正な広告表示を心がけることが求められる。
(2)現場に赴く前に、消費者に対して可能な範囲で契約の内容(特に主要部分と考えられる代金や作業内容)を具体的に説明する必要がある。また、現場においても、作業開始前に見積りを口頭で伝えることはもちろん、書面で提示することが求められる。
2 消費者に対して求めること。
(1)不慣れで緊急性の高いトラブルの場合、一刻も早くトラブルを解消したい気持ちになり、想定を遥かに上回った高額な契約をしてしまうことがあり得る。消費者自身が、平時から広告の読み方に気を付けるなど、広告の情報を単純にうのみにしないリテラシーを身に付けていくことが望ましい。
(2)事業者に積極的に作業内容や見積額を確認する、修理前に見積書をもらう、修理の途中経過を見届けるなど、事業者任せにしないことが重要である。日頃から修理を依頼できるところを探しておき、いざトラブルが生じたときに慌てないようにする必要がある。
3 行政に対して求めること。
(ア)修理事業者に対して、消費者との公正かつ適正な契約の締結を促す措置を取るよう注意喚起し、(イ)広告の不当表示が疑われる事業者に対する規制、法執行を強化し、(ウ)トイレの詰まりの修理対応について消費者に必要な注意喚起をするなどして、被害の拡大を未然に防ぐ方策を実施することが求められる。
トイレの詰まりをきっかけとした高額な修理契約に係る紛争(報告書)(PDF:769KB)
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