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トップページ > 消費者教育 > 基礎知識 > 基礎知識「特定商取引法」

更新日:2023年7月11日

特定商取引法

「特定商取引に関する法律(特定商取引法)」は、訪問販売など、特に消費者トラブルを生じやすい取引を指定して、トラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為などを取り締まることで、消費者取引の公正を確保するための法律です。
 高度情報化社会、高齢社会の進展などの社会情勢の変化等に対応して、取引をより公正にし、消費者の利益の保護をより実効性のあるものにするため、令和3年に一部改正されました。

1 特定商取引法の対象となる取引等

取引の種類 説明
訪問販売 自宅への訪問販売のほか、路上や街中で呼びとめ営業所等に同行させて販売するキャッチセールス、販売目的を隠して電話等で呼び出し事務所等で契約させるアポイントメントセールス等
通信販売 新聞、雑誌、インターネット、テレビ等で広告し、郵便、電話、メール等の通信手段により申し込みを受ける取引
電話勧誘販売 電話をかけ又は電話をかけさせて勧誘し、申し込みを受ける取引
連鎖販売取引 個人を販売員として勧誘し、その販売員に次の販売員を勧誘させ、販売組織を拡大して行う商品・役務の取引
特定継続的役務提供 長期・継続的な役務(サービス)の提供をする取引
「エステティックサロン」「一定の美容医療」「語学教室」「家庭教師」「学習塾」「パソコン教室」「結婚相手紹介サービス」の7つのサービスが対象
業務提供誘引販売取引 「仕事を提供するので収入が得られる」などと誘い、仕事に必要であるとして、商品等を販売して金銭負担を負わせる取引
訪問購入 事業者の店舗以外(消費者の自宅等)での事業者による物品の買取り

※以上の取引のほか、ネガティブオプション(いわゆる「送りつけ商法」)として、事業者から一方的に送り付けられた商品の取扱いについての定めも設けています。
令和3年の特商法の改正により、売買契約に基づかずに送付された商品については直ちに処分が可能となりました。

特定権利制

訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の法適用は原則として全ての商品・役務と、指定された一部の権利ですが、平成28年改正で対象権利の範囲が拡大され、名称が指定権利から特定権利に改められました。
特定権利には、「施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち国民の日常生活に係る取引において販売されるもの」(現行の指定権利)のほか「社債その他の金銭債権(CO2排出権等)」「株式や法人の社員権(未公開株等)」があります。

2 行政規制

事業者に対しての規制です。違反した場合は、国や都道府県の、改善指示、業務停止命令の行政処分または罰則の対象となります。業務停止命令を受けても別法人を立ち上げて違反行為を繰り返す悪質事業者が見受けられることから、平成28年改正において新たに業務禁止命令制度がつくられました。 (平成28年改正8条の2等)

  • 氏名等の明示の義務付け:勧誘開始前に、事業者名、勧誘目的である旨などを消費者に告げることを義務付け
  • 不当な勧誘行為の禁止:不実告知(虚偽説明)、重要事項(価格・支払条件・契約解除等)の故意の不告知や威迫困惑を伴う勧誘行為等を禁止
  • 広告規制:
    1. 通信販売や連鎖販売取引で広告をする際には、重要事項を表示することを義務付け 
    2. 虚偽・誇大な広告の禁止
    3. 通信販売や連鎖販売取引で消費者の承諾を得ないでメール広告を送ってはならない
      オプトイン規制 (平成28年改正で通信販売における承諾を得ないファクシミリ広告の送信の禁止を新設)
  • 書面交付義務:契約締結時に、重要事項を記載した書面を交付することを義務付け

3 民事ルール

消費者と事業者の間のトラブルを防止し、その救済を容易にするため、消費者による契約の解除(クーリング・オフ)、取消しなどを認め、事業者による法外な損害賠償請求を制限する等のルールを定めています。

クーリング・オフ

消費者は、冷静に考えたうえで「契約をやめたい。」と思えば、申込み又は契約後、一定期間内は無条件で契約の解除ができます。

 
取引形態 期間
訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入 8日間
連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引 20日間

※通信販売には、クーリング・オフはありません。(返品特約の記載義務があります。)
※従来、消費者からのクーリング・オフの通知については、はがき等の書面によることとされていましたが、令和3年の特商法の改正により、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことができるようになりました。

過量販売

日常生活において通常必要とされる分量を超える商品・サービスを契約した場合、契約締結の時から1年以内であれば、解除することができます。訪問販売において規定されていましたが、電話勧誘販売にも平成28年改正で拡充されました。

意思表示の取消し

事業者が「重要事項の不実告知」や「重要事項の故意の不告知」等の違法行為を行った結果、消費者が誤認して、契約の申し込み、またはその承諾の意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができます。
取り消しができる期間を、追認することができる時から6カ月とされていましたが、平成28年改正では1年に延長されました。(改正法9条の3第4項)

中途解約

連鎖販売取引や業務提供誘引販売取引は、複雑な取引で、取引に不慣れな個人が契約内容を理解しないまま契約しがちであること、特定継続的役務提供取引については長期間にわたる契約で、サービスの質や効果が分かりにくい取引であることから、中途解約して適正な額の返金を受けることができることが定められています。

消費者が支払う損害賠償等の制限

消費者が中途解約する際等に、事業者が請求できる損害賠償額に上限が設定されています。