更新日:2022年11月30日
特定継続的役務提供は、「特定商取引法」で規制されている販売形態です。
特定継続的役務提供として対象となるサービスは、
業種 | 期間 | 金額 |
エステティックサロン | 1か月を超えるもの | いずれも5万円を超えるもの 入学金、受講料、教材費、関連商品の購入など、契約金の総額が5万円を超えている場合が対象 |
一定の美容医療 | ||
語学教室 | 2か月を超えるもの | |
家庭教師 | ||
学習塾 | ||
パソコン教室 | ||
結婚相手紹介サービス |
契約をする前に、概要書面(取引の概要を記した書面)、契約後には契約書面を交付することが義務付けられています。契約書に記載しなければならないことは、サービス(役務)の内容、購入が必要な商品がある場合にはその商品名、サービスの価格、金銭の支払時期、方法、サービスの提供期間、契約解除(クーリング・オフ)に関する事項、中途解約に関する事項などです。
特定継続的役務提供では、契約書面を受け取った日から数えて8日間以内であれば、書面または電磁的方法(電子メールの送付等)により、契約の解除(クーリング・オフ)ができます。店舗での契約のほか、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売による契約もクーリング・オフの対象となります。関連商品に関しても同様です。
関連商品とは、サービス提供に際し消費者が購入する必要があるとして、事業者が販売する商品です。サービスによって政令で商品が指定されています。
特定継続的役務 | 関連商品 |
---|---|
エステティックサロン | 健康食品、化粧品・石けんおよび浴用剤、下着類、美顔器・脱毛器 |
一定の美容医療 | 健康食品、化粧品、マウスピース(歯の漂白の為に用いられるもの)及び歯の漂白剤、医薬品及び医薬部外品(美容を目的とするもの) |
語学教室 | 書籍(教材を含む)、カセットテープ・CD・CD-ROM・DVD等、ファクシミリ機器、テレビ電話 |
家庭教師 | |
学習塾 | |
パソコン教室 | 電子計算機およびワードプロセッサー並びにこれらの部品および付属品、書籍、カセット・テープ、CD、CD-ROM、DVD等 |
結婚相手紹介サービス | 真珠並びに貴石および半貴石、指輪その他の装身具 |
また、クーリング・オフに際し、事業者がクーリング・オフできないなど、事実と違うことを言ったり、威迫したりしたことにより、消費者が誤認・困惑してクーリング・オフしなかった場合は、8日を経過していてもクーリング・オフできます。契約書面に法律で決められた事項が記載されていなかった場合も、同様です。
事業者はクーリング・オフされた場合、損害賠償や違約金の請求はできません。商品の引き取り費用も事業者負担です。サービスが既に提供されている場合でも、その対価を払う必要はありません。事業者は受け取った代金、取引料を返還し、消費者は商品を返還します。
ただし消耗品(エステテックサロン契約における健康食品、化粧品)などを消費者が自分の判断で開封したり使ってしまった場合、クーリング・オフの規定が適用されませんので、使った商品は購入することになります。未開封・未使用分はクーリング・オフができます。
特定継続的役務提供では、クーリング・オフ期間を過ぎても中途解約ができます。サービス利用後は、「提供されたサービス相当額」及び「法律で定めた上限以内で事業者が定めた額(損害賠償等の額)」を支払うことになります。事業者が消費者に請求できる損害賠償等の額の上限は、以下のとおりです。
特定継続的役務 | 役務提供前 | 役務提供開始後 |
---|---|---|
エステティックサロン | 2万円 | 2万円又は契約残額の10%に相当する額のいずれか低い額 |
一定の美容医療 | 2万円 | 5万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額 |
語学教室 | 1.5万円 | 5万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額 |
家庭教師 | 2万円 | 5万円又は当該特定継続的役務提供契約における1カ月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額 |
学習塾 | 1.1万円 | 2万円又は当該特定継続的役務提供契約における1カ月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額 |
パソコン教室 | 1.5万円 | 5万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額 |
結婚相手紹介サービス | 3万円 | 2万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額 |
サービスの内容などについて「著しく事実に相違する表示」や、「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」は禁止されています。
勧誘に際して業者に事実と違うことを告げられ、その内容が事実であると信じて契約した場合や、故意に事実を告げられなかったために契約をした場合は、契約を取り消すことができます。
平成28年の改正で取消権は追認できる時から6カ月が1年に延長されました。
(特定商取引法改正:平成28年6月3日公布、平成29年12月1日施行)