
有料老人ホームの退去時の原状回復費用はどこまで入居者が負担すべき?

車いすを利用していた母が、5年間入居していた有料老人ホームを退去しました。退去時の立会いでは、こちらで負担すべき箇所の指摘はありませんでした。ところが、先日有料老人ホームから、巾木 の交換、床の張り替えなどの原状回復費用の請求書が届きました。確認したところ、巾木と床に車いすによる傷があるため、交換・張り替えが必要であると言われました。支払う必要があるのでしょうか。

有料老人ホームは、一定の質を確保するために厚生労働省が指針を定めており、その中で退去時の原状回復の費用負担は、国土交通省の民間賃貸住宅を対象とした「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を参考にすることとしています。ガイドラインでは、通常の使用による損耗等の修繕費用は賃料に含まれるとしています。
有料老人ホームは、高齢者対象の住まいであることから、車いすの通常使用によりできた傷の修繕費用は賃料に含まれるものと思われますが、通常使用による傷かどうかは、事業者と話し合うことになります。
ただし、入居時の契約書に原状回復費用の負担について特約として書かれている場合もあり、その内容に合意している場合は、その特約に従うことになります。
退去時のトラブルを避けるためにも、有料老人ホームに入居する場合は、契約書、重要事項説明書などの内容をよく確認してから、契約しましょう。また、退去時に事業者と部屋の確認をする際は、費用の負担について記録を残しておきましょう。
なお、サービス付き高齢者住宅や認知症グループホームの退去の際の原状回復費用も、有料老人ホームと同様の考え方となります。
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