トップページ > 相談窓口 > 東京都消費者被害救済委員会 > 「家庭教師及び関連する教材等の契約に係る紛争」あっせん解決
更新日:2026年4月22日
令和8年4月22日
生活文化局
本日、東京都消費者被害救済委員会から標記紛争があっせん解決したと知事に報告がありましたので、お知らせします。
※本報告の金額は、端数を省略して記載しているため、実際とは異なります。
委員会は、本件契約は、契約書に重要な事項に関する記載不備があり、特定商取引に関する法律が定める書面を交付したとはいえないことから、クーリング・オフが可能と判断しました。これに基づき、事業者は消費者が支払った授業料及びテキスト代等の全額を返金する、消費者は受領済みのテキスト等を相手方に返還する等の内容のあっせん案を提示したところ、双方で合意が成立し、解決に至りました。
「授業料1コマ〇〇円」のような安さを強調した広告にひかれて家庭教師の体験授業を受けた後、広告に記載のなかった高額な教材の購入を勧められることがあります。その場ですぐに契約をせず、教材の内容や授業との関連性、契約金額の内訳、解約条件等を確認し、十分に検討しましょう。
契約書にサインする前に、勧誘時に説明を受けた役務(サービス)・商品の内容、金額等が漏れなく記載されているか、契約書の内容をよく確認しましょう。
困ったときや、トラブルになった場合は、すぐに消費生活センターにご相談ください。
(消費者ホットライン「188」局番なし)
東京都消費者被害救済委員会(会長 宮下 修一 中央大学大学院法務研究科教授)は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
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【 申立人 】 40歳代 女性 |
(1) 本件契約は、契約期間が2月を超え、金額が5万円を超える、家庭教師による授業等の役務提供契約であり、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)が定める特定継続的役務提供契約に該当する。また、授業で使用する教材(以下「テキスト」という。)は、関連商品に該当する。
(2) 本件契約の実態は、①「オンライン家庭教師の授業」、②「テキスト」の販売、③「添削指導サービス」であるが、本件契約書では、添削指導サービスが役務の内容として記載されていないほか、テキストと添削指導サービスの内訳を明示せずに支払額が記載される等、役務の対価その他支払わなければならない金銭の額について正確な記載を欠いており、特定商取引法が定める書面が交付されたとはいえない。そのため、クーリング・オフ期間は進行しておらず、クーリング・オフ権の行使により、本件契約は解除された。
(3) 本件契約の解除により、申立人及び相手方は原状回復義務を負う。相手方は本件契約に基づき受領した金銭を申立人に返金し、申立人は受領したテキスト等の返還及び添削指導サービスのために提供されたPDF形式の問題集を参照できないようにするための措置を講じる必要がある。
(1) 本件契約は、相手方が申立人に電話でウェブ会議のID及びパスワードを伝え、相手方が設定したウェブ会議に申立人を参加させて勧誘をした後に締結されていることから、特定商取引法が定める電話勧誘販売にも該当する。上記と同様、本件契約書は、役務の種類、役務の対価、対価の支払時期その他について、法が定める記載を欠いていることから、クーリング・オフ権を行使することができる。
(2) 特定継続的役務提供契約は、クーリング・オフ期間が経過したときであっても、特定商取引法に基づき、中途解約ができる。これに伴う精算では、消費者は既払金から提供済みの役務の対価相当額を控除した額の返還を、事業者は解除によって通常生ずる損害額の支払をそれぞれ請求できる。
(1) 本件では、インターネット広告に「1コマ3,000円」と安価な授業料を示す一方で、契約者のほとんどが購入しているというテキスト代金について一切記載していなかった。このような表示はサービスの価格などの取引条件について実際のものよりも著しく有利であると誤認させる広告表示であり、特定商取引法、不当景品類及び不当表示防止法に定める有利誤認表示の禁止に違反するおそれがある。事業者は、消費者に有利誤認をさせる広告表示を厳に慎むべきである。
(2) 特定商取引法では、概要書面の交付と契約書面の交付という二段階での書面交付義務を定めている。概要書面の交付は、契約締結前に契約に関する情報を消費者に提供し、もって消費者が慎重に契約を検討することを期すためのものである。事業者は、その趣旨を認識し、概要書面の交付を遵守しなければならない。
(3) 本件契約に至る経緯では、体験授業を受ける目的でウェブ会議に参加した申立人に対し、体験授業後に家庭教師やテキストの購入を勧誘し、ごくわずかの時間で本件契約を締結させていた。このような消費者に熟慮する暇が与えられていない勧誘は、事業者として消費者との取引における公正の確保に欠けるおそれがある。事業者には、事業者と消費者との交渉力の格差の実態に即し、消費者が熟慮して契約できるよう配慮することが求められる。
(1) 前払型の特定継続的役務提供契約は、長期にわたりサービス提供を受ける間に、事業者が倒産状態になりサービスが受けられなくなったり、中途解約に伴う精算に際して、返金されなかったり、一部しか返金されないリスクがあることを認識してほしい。
(2) 自ら契約書に署名や捺印したときは、契約の効力を覆すための反証は極めて困難であり、契約上の責務を負うのが原則である。契約はその場で即決せず、一旦持ち帰り、家族と相談するなどして、時間をかけて契約内容を検討してほしい。
(3) 事業者から契約の勧誘を受けるときは、スクリーンショットの保存や録音・録画などにより、契約内容や勧誘状況などが分かる証拠を保全してほしい。
(1) 前払型の特定継続的役務提供契約の問題点や危険性について、消費者に広く周知する等の行政上の施策を進めることが期待される。
(2) 事業者・消費者の別を問わず、契約に関する正しい法律知識を広く周知するとともに、学校教育において、消費者問題やその救済方法についての教育活動を充実させることが期待される。
(3) 消費生活センターの活動は、事後的救済にのみ助力するものではなく、消費者被害を未然に防止するための支援等にも広く対応している。事前の相談についても広報されることが期待される。
都内の消費生活センターには、家庭教師の契約に関する相談が、令和5年度62件、令和6年度76件、令和7年度83件(令和8年2月末時点の速報値)と多数寄せられています。その中には、インターネット広告に表示された授業料の安さにひかれ事業者に問い合わせたところ、広告に記載のない高額な教材の購入が必要だと説明されトラブルになった、解約を申し出たところ解約料をめぐってトラブルになったなどの相談がみられます。
その背景として、インターネット広告で家庭教師を探す消費者が増えていることや、教材等も一緒に購入するケースでは、教材が高額である傾向がみられることなどが考えられます。
「家庭教師及び関連する教材等の契約に係る紛争」の概要はこちら(PDF:2,419KB)
「家庭教師及び関連する教材等の契約に係る紛争」の報告書はこちら(PDF:740KB)
お問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課消費者被害救済担当
電話番号:03-3235-4155