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トップページ > 相談窓口 > 東京都消費者被害救済委員会 > 高齢者が次々に締結した住宅関連リフォーム工事等の契約に係る紛争

更新日:2025年1月29日

「高齢者が次々に締結した住宅関連リフォーム工事等の契約に係る紛争」はあっせん解決しました
~次々販売が増えています  契約は慎重にしましょう~

令和7年1月29日
生活文化スポーツ局

 都内の消費生活センターには、高齢者が自宅において、次々に住宅関連リフォーム工事等の勧誘を受けて契約を締結したことに伴う、トラブルの相談が多く寄せられています。
 このような状況を踏まえ、都は標記紛争について、法的な考え方や問題点を整理して、同種の消費者被害の防止と解決にも役立てるため、東京都消費者被害救済委員会に解決を付託していました。本日、同委員会から知事に、あっせん解決したと報告がありましたので、お知らせします。

紛争とあっせん解決の概要

 委員会は、標記の契約はそれぞれ特定商取引に関する法律の訪問販売に該当し、いずれもクーリング・オフが成立していると判断しました。これに基づき、既払金全額の返金を求めるあっせん案を提示したところ、消費者と事業者との間で合意が成立し、解決に至りました。

契約1トイレ工事 契約2水回り設備工事 契約3・4電気工事・住宅メンテナンスサービス
事業者が突然訪問し、困りごとを尋ねられたので、トイレの心配事を話した。後日、再訪があり、何を工事するのか分からなかったが、勧められるまま契約。工事が終わると、便器から床や壁まで全部交換されていた。 そのトイレ工事の日、事業者から、水回り設備工事を勧誘された。よく分からなかったが、水漏れが起きたら嫌だと思い契約した。後日、工事が行われた。洗面所の壁に沿って白いパイプが出現していて、驚いた。 その水回り設備工事の日、今度は、電気工事を勧誘された。困ったことはなかったし、何の工事をするのか、全く分からなかったが、言われるままに契約断ったつもりでいた住宅メンテナンスサービスも契約していた

消費者へのアドバイス

  • 突然訪問してきた事業者から「困ったことはないですか」などと聞かれても、安易に「見てほしい」と事業者に依頼したり、家に上げたりせず、慎重に対応しましょう。 
  • 工事を勧められても、その場ですぐに契約せずに、家族や身近な人に相談し、複数の事業者から見積りをとって工事の必要性、内容、金額等を十分に検討しましょう。
  • 事業者の口頭での説明をうのみにせず、契約書面の内容をきちんと確認し、分からないことや納得できないことがあるうちは、契約書面にサインしないことが重要です。
  • 想定外の高額な請求に困ったり、トラブルになった場合は、すぐに消費生活センターにご相談ください。
    契約してしまっても、クーリング・オフできる場合があります。(消費者ホットライン「188」局番なし)

東京都消費者被害救済委員会における審議の概要

 東京都消費者被害救済委員会(会長 沖野 眞已 東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
 本件は、令和6年5月30日に東京都知事から同委員会に解決を付託し、審議が行われました。

付託の背景 ~ いわゆる「次々販売」に関する契約トラブルは高齢者の割合が高い ~

 都内の消費生活センターには、いわゆる「次々販売(※)」に関する相談が多く寄せられており、中でも「工事・建築」の「訪問販売」に関する相談は年間114件と多くなっています。これを年齢別で見ると、契約当事者が高齢者(60歳以上)である割合が9割と非常に高く、その平均契約金額も増加傾向であり、被害が拡大しています(いずれも2023年度)。2024年度は11月末時点で前年度同期の件数を既に上回り、高齢者が占める割合も9割弱で依然として高い傾向を示しています。
※ 次々販売・・・一事業者又は複数の事業者が一人の消費者に次から次へと商品売買や役務提供の契約をさせる販売方法

工事・建築の次々販売の訪問販売のグラフ

※1 「次々販売」「工事・建築」「訪問販売」に関するもの
※2 2024年度は11月末現在(速報値)

紛争の概要

【 申立人 】 80歳代 無職 一人暮らし
【 相手方 】 リフォーム工事事業者
【 契約内容 】 契約1 トイレ工事、契約2 水回り設備工事、契約3 電気工事、
       契約4 住宅メンテナンスサービス(以下、併せて「本件契約」という。)
       (契約金額:契約1~3:合計約360万円、契約4:月額約6千円)
【 申立人の主張による紛争の概要 】
 突然訪問してきた事業者に「何かお困りごとはないですか。」と言われた。トイレの排水管が逆勾配であることが気になっていると話したところ、事業者は、何かを取り替えなくてはいけないと言ってその日は帰った。
 後日、事業者が見積書を持って来訪した。トイレは詰まったことはなく流れも悪くなかったが、詰まると下階の人に迷惑を掛けると思い、契約に応じた。
 工事後、排水管だけでなく便器から壁紙・床材まで交換されていることに気が付いた。逆勾配が気になっていただけで、ここまで交換する気は全くなかった。
 トイレ工事の日に水回り設備工事の契約を勧誘され、さらに水回り設備工事の日に電気工事、住宅メンテナンスサービスと次々に勧誘され、それぞれ契約した。いずれも工事の必要性や詳細の説明はなく、勧誘されたその日のうちに、言われるままに契約書面に署名した。
 全ての工事が終了し代金を支払った後に、経緯を知った親族におかしいと言われ、消費生活センターに相談をした。契約書面に不備があるので、クーリング・オフが可能だとアドバイスされ、4件の契約全てについてクーリング・オフ通知書を出したが、事業者は全額返金を認めず、一部返金を提案してきた。納得がいかない。

あっせん解決の内容

 委員会は、本件契約は特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)で規定する訪問販売に該当するところ、相手方が申立人に交付した契約書面はいずれも法定記載事項に不備があるため、申立人の申出によるクーリング・オフが成立していると判断しました。
 これに基づき、委員会は、申立人が相手方に支払った金額(全額)の返金を求めるあっせん案を提示したところ、当事者双方で合意が成立しました。

あっせん案の考え方、法的問題点の検討

1 あっせん案の考え方

(1) 本件契約は、いずれも役務の提供を目的としたものであり、事業者が営業所等以外の場所である申立人の自宅を訪問し、当該自宅において契約を締結していることから、特定商取引法にいう「訪問販売」に該当する。
(2) 本件契約においてそれぞれ交付された契約書面は、いずれも書面の記載事項に不備があるため、特定商取引法に定める法定書面に該当せず、クーリング・オフ期間は進行していない。よって、申立人が契約解除通知書を発出した時点において、クーリング・オフが成立している。

2 その他の法的問題点

(1) 工事の必要性が十分に確認されていないにもかかわらず、工事が必要であると告げて契約1~3を勧誘し、契約締結に至っている状況から、不実告知(特定商取引法及び消費者契約法)に該当し、取消しの対象となり得る。
(2) 消費者契約法は、事業者が契約の勧誘を行うに際して、消費者の年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮し、必要な情報を提供することを事業者の努力義務として求めている。申立人は、契約1~3の工事の必要性や内容を十分に理解していなかったと考えられ、事業者が申立人に対して十分な説明をしておらず、当該努力義務に違反する可能性が高い。

同種・類似被害の再発防止に向けて

1 事業者に対して

(1) 勧誘に当たっては、消費者が理解できるよう分かりやすい表現で、ゆっくりと大きな声で話したり、ときには図面を示す等して、丁寧な説明を心掛けるとともに、消費者の希望をよく確認し、納得のいくサービスを提供するよう心掛けること、消費者の理解度を確認した上で契約手続を進めることが大切である。
(2) 高齢者の場合には、家族や親族等の同席や意向確認を徹底し、高齢者一人に契約するか否かの判断を迫ることは厳に慎むべきである。
 また、勧誘の後、数日の期間を置き、家族等の第三者に相談をしたり、冷静に考えるための時間的猶予を与える配慮も大切である。
(3) 見積書を提示するに当たり、現場の事前調査を怠ることがあってはならない。

2 消費者に対して

(1) 突然の訪問者に対しては、警戒心を持って対応し、安易に家に上げることのないよう注意する。
(2) 契約について不安に思う場合には、事業者から即断を求められても、自分一人で判断せず、家族や親族等、信頼できる第三者に相談することが大事である。契約後であっても、おかしいと思ったらためらわず第三者に相談してみることが、トラブルを最小限に食い止める上でも大事である。
(3) 契約書面に署名・捺印する前に、交付された書面の内容をきちんと確認することが大切である。契約後であっても、冷静になって読み返すと見落としなどに気付き、契約を解消できる場合もある。
(4) 十分に判断できない高齢者の場合には、本人が被害に遭っているとの認識を持ちにくく、家族や親族等が実際に足を運んで確認するなどの、周囲の見守りが大切である。

3 行政に対して

(1) 消費者が住宅関連リフォーム工事契約においてトラブルを回避できるよう、被害事例を紹介するなどして契約時の注意点について啓発活動に努めるとともに、「住宅リフォーム事業者団体登録制度」の周知も含め、住宅リフォーム業者の選び方についても、広く情報提供すべきである。
(2) 消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)は、地域住民と事業者、行政機関が連携し、協力し合うことで消費者被害の防止・救済の実効性を高める重要な枠組みである。各地の先進的な取組を参考に、行政だけでなく、民間や地域との連携を深め、重層的に見守る体制を構築することで、消費者が安心して生活できる環境を整備することが重要である。

※本件の詳細は、報告書をご覧ください。

今後の東京都の対応

  • 消費者への注意喚起
  • 国や関係機関への情報提供
  • 都内の消費生活センターへの情報提供

印刷用PDFはこちら(PDF:1,341KB)
高齢者が次々に締結した住宅関連リフォーム工事等の契約に係る紛争(報告書)(PDF:647KB)

 

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