インターネットで旅行予約
~楽しい旅行のためのチェックポイント~

旅行はとても楽しいものですが、いざ旅行に出かけると、思っていたイメージとは違ったり、予定外の出来事が起きたりと、旅行にトラブルはつきものです。
最近は、インターネットで手軽に旅行予約ができるようになっていますが、楽しい思い出となるはずの旅行が悲しい思い出とならないよう、旅行予約サイトを利用する際にチェックすべきポイントをお知らせします。
旅行予約のいま
旅行の予約をする方法は、大きく分けてインターネットを利用する方法と店舗で行う方法の2つがあります。そして、インターネット上だけで旅行の手配を行う旅行業者のことを「OTA(Online Travel Agent)」(オンライン旅行取引事業者)といいます。
一般社団法人日本旅館協会の「令和6年度営業状況等統計調査」によれば、旅館ホテルの集客方法は、OTA経由が44.9%、旅行会社経由が27.7%、自社HPが12.6%、自社HPを除く直予約が14.8%となっており、最近では、OTAを中心としたインターネットを利用した予約が主流になっているといえます。
旅行予約サイトの4タイプ
インターネット上の旅行予約サイトには、大まかに四つのタイプがあります。
❶ 国内OTAが運営するサイト
国内OTAとは、日本国内に拠点を持つオンライン旅行業者のことで、店舗を構える旅行業者と同様に、旅行業法をはじめとする日本の法律の規制が及びます。
❷ 海外OTAが運営するサイト
海外OTAとは、海外に拠点を持ち、インターネットにより国境を越えて旅行サービスを提供する旅行業者のことです。海外OTAであっても、日本向けの旅行予約サイトでは、日本語が表示され、国内OTAと同じように予約することができます。国内OTAと異なり、旅行業法や標準旅行業約款といった旅行業者を規制するルール(消費者が安心して旅行を計画・実行できるためのルール)の適用がなく、日本の旅行業登録を受けていないという特徴があります。なお、海外OTAであっても、消費者契約法などの日本の消費者保護に関わる法律が、国内OTAと同様に適用される場合もあります。
❸ 場貸しサイト
宿泊施設や交通機関、旅行業者などに、旅行商品の情報を載せる場所を提供するサイトのことです。単にインターネット上の「場所」を宿泊施設などに貸して情報提供しているだけなので、旅行業法の規制は及ばず、旅行業登録を受ける必要もありません。
❹ 旅行比較サイト(メタサーチ)
①から③のサイトにある旅行商品の情報を一覧できるようにして、消費者が旅行商品の内容や価格などを比較できるようにしているサイトです。あくまでも複数のOTAなどを横断的に比較するためのサイトであり、これ自体は旅行業には当たりません。
店舗と旅行予約サイトそれぞれのメリット・デメリット
店舗で旅行予約を行う場合は、対面で直接分からないことを詳しく聞くことや、アドバイスを受けることができるため、安心感があります。他方で、店舗の営業時間は日中に限られ、自宅から店舗へ移動する手間や費用もかかります。また、店舗維持のための固定費がかかるために、旅行予約サイトと比べて旅行代金が割高になることもあります。
店舗
旅行の計画をプロに相談

※営業時間は日中のみ店舗まで行く必要あり
旅行予約サイト
いつでも予約可能

※自分で契約条件などを注意深くチェックする必要あり
これに対して、旅行予約サイトは、営業時間が限定されていませんので、24時間いつでも予約ができます。また、さまざまな宿泊施設や旅行商品との比較検討が簡単にでき、選択肢が広がります。他方で、対面で分からないことを担当者に聞きながら決めることができませんので、サイトの表示(契約条件や申込内容)を自ら注意深く確認しなければなりません。さらに、予約したサイトによっては、サイトの運営事業者と契約相手が異なり、契約相手が誰かよく分からないケースもあります。
海外OTAでの旅行予約とトラブル
海外OTAには、旅行業法の適用がなく、国内OTAと比べて、日本の法律全般に対する意識も乏しい傾向があります。そのためか、トラブルが生じるケースも多いようです。
例えば、画面上で「キャンセル無料」と表示されていたので、ホテルと航空券を予約し、都合が悪くなってキャンセルしたところ、ホテルは無料でキャンセルできたものの、航空券はキャンセル料をとられたといったようなケースがあります。ホテルと航空券を同時に予約した場合でも、キャンセル料などの契約条件はそれぞれ別であり、よく見れば、細かなキャンセル条件が別途リンク先に記載されていたということもあります。
思わぬトラブルに遭うことも

また、海外OTAでは、そもそも、誰との間に、どのような契約関係があるかがよく分からないケースも多く、トラブルになった際の交渉相手が分からなかったり、交渉を始めた後もたらい回しにされたりすることがあります。さらに、海外OTAの旅行予約サイトでは、問い合わせ受付時間が日本時間と異なる、日本語対応ができないなどトラブル発生時の体制が不十分な場合があり、トラブルの解決が困難になるケースが多くあります。
旅行予約サイト利用時のチェックポイント
旅行予約サイトを利用する際には、旅行代金以外にも確認しなければならないことがたくさんあります。この点に関して、観光庁は、オンライン旅行取引における消費者の安全・安心を確保し、トラブルを未然に防止するため、「オンライン旅行取引の表示等に関するガイドライン(OTAガイドライン)」を定め、海外OTAを含む旅行予約サイトにおいて、例えば次のような点について表示することを求めています。
❶ OTAの名称、住所、代表者等の氏名、旅行業法に基づく登録の有無
❷ 問い合わせ先に関する事項
問い合わせ連絡先( 電話番号、メールアドレスなど)、受付可能時間(問い合わせ先が海外であっても、日本時間を基準とした受付可能時間を表示する)、受付可能言語(海外OTAについては、日本語での問い合わせの受付が不可能な場合は、その旨と受付可能言語を表示する)
❸ 契約条件
契約当事者・契約形態(誰との間で、どのような契約が成立するのか)、旅行代金と支払方法、キャンセル条件(キャンセル料の発生時期・金額、サービス提供事業者とOTAのいずれに対するキャンセル料か、誰に対してどのように支払えばよいか、誰からどのように払い戻されるかなど)、利用規約・約款(一覧して確認できるページ)、最終確認画面など
旅行予約サイト利用時の主なチェックポイント
事業者の基本情報を確認!
社名、住所、代表者等の氏名、旅行業登録の有無問い合わせ受付体制を確認!
連絡先、受付時間、対応言語旅行の契約条件を確認!
契約当事者・契約形態※1、旅行代金・支払方法、キャンセル条件、利用規約・約款※2、最終確認画面
- ※1 他の旅行会社の旅行プランの比較・紹介のみを行うサイトの運営者は契約当事者となりません。
- ※2 契約内容となります。不都合な条項が入っていないか必ず確認を!
楽しい旅行のために
旅行予約に際しては、つい旅行代金の安さばかりに注目しがちですが、店舗と旅行予約サイトのどちらで予約するかは、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、旅行の目的や個々のニーズに合わせて選ぶことが重要です。インターネットが苦手な方や対面で相談したい方は、店舗で予約を行うとよいでしょう。
旅行予約サイトを利用する場合には、自分でサイトに記載の旅行内容や旅行条件をよく確認し、理解した上で申し込むことが大切です。そして、後々のトラブルに備え、申し込んだときの確認画面のスクリーンショットを撮って保管し、申込後に送られてきたメールの内容もよく確認するようにしましょう。
また、海外OTAの旅行予約サイトを利用する場合には、トラブルになった際の交渉が難しい場合があることも念頭に置き、特に注意深く旅行条件を確認するようにしましょう。
※旅行の予約等に関してトラブルが発生したら、最寄りの消費生活センターへ相談を!
188(消費者ホットライン)