トップページ > 商品安全 > 東京都商品等安全対策協議会 > レーザー脱毛機の安全性について > 第3回 「レーザー脱毛機の安全性について」 議事要録
更新日:2013年3月21日
【日時】平成16年2月4日(水)10時~12時
【場所】都庁第一庁舎42階(北側) 特別会議室C
まず、議事(1)「家庭用レーザー脱毛機の安全性(出力等)」について事務局から説明をお願いします。
家庭用レーザー脱毛機の能力について説明
B社の取扱説明書を見ても、非常に簡単な絵でイメージが沸きにくいと思いますので、現物を使って実演しながら説明していただきます。
A社、B社の家庭用レーザー脱毛機について、それぞれ実演、説明
今の事務局からの説明と実演について、菊地委員、浦委員から補足がありましたらお願いします。
先般、事務局からレーザー脱毛機の装置を見せてもらったが、「JIS C-6802」で決められた計算をすると、いずれも相当な出力が出ていることは事実である。
レーザーは出力時、中心のところが高くなって周辺のところが落ちるという、正規分布の形をしている。もし仮に均一だとしても、A社製品の出力は1ワット弱ということになり、B社製品の200ミリワットというのもかなり大きな値である。
それぞれ安全装置が付いているが、万が一目に直接当ったら完全に事故になる出力である。
昨年10月にレーザー医学会の学会長あてに、日本レーザー医学会安全委員会から新聞等で広告されている家庭用のレーザー脱毛機に対して答申書が出ている。
厚生労働省から永久脱毛に関しては医療行為であるという見解が出されているということもあり、平成12年、日本医師会の会長からも都道府県の医師会あてに、医療用のレーザー脱毛機を使った脱毛処理は医療に当たるという見解が正式に表明されている。問題は、医療用に相当するレーザーを資格のない医師以外の人が使うことである。
家庭用については、厚生労働省の許認可を取った医療用の機械ではないことから、強制的な措置がとれないというところがあるが、レーザー医学会や日本美容医療協会、医学脱毛学会などの関連の学会レベルの理事長の連名で、いろいろな所に警鐘を鳴らすことも有効な方法ではないか。
こういった背景の中、今回の家庭用レーザー脱毛機に関して、東京都がどういう処置を取るかは、大変波及効果があると思う。
A社とB社の製品を比較し、いわゆる「脱毛」という処理行為を想定してみると、B社は脱毛ということではなくて、毛を「切断」する機械というカテゴリに入る。適正という意味からするとB社の製品は脱毛の機械としては適正ではないと思う。理屈にかなっているのはA社の方だが、「安全性」という問題はまた別の議論になる。
「出力」に関しては両社とも3Bクラス以上に該当するもので、それなりに「管理基準」や「管理責任」についての設定が必要なレベルの製品と認識している。
機械の「照射面積」を比べても、A社の方が理屈的には合っている。しかし、光を均一に当てるのはなかなか難しいと思う。
今までの説明や実演を見て、ご意見等ありますでしょうか。特に安全性の問題に絞ってお聞きしたいと思うのですが。
今サロンにおけるレーザー脱毛については、日本エステティック研究財団で、一昨年の12月から臨床試験をほぼ一年かけて機器ごとにやっているところである。やはり第三者機関による客観的データで機器を判定したほうがよいのではないかと思う。
臨床試験の内容は、最初の3ヶ月くらいは、安全性・副作用がどう出るかという試験で、最終的に効果は3回照射した約1年後に、毛の再生率が90%以上でなくてはいけないというものである。
厚生労働省の平成13年11月8日の通達では、「毛乳頭や皮脂腺開口部を強い光で破壊することが医療行為」となっており、サロンで行うものは破壊という医療行為からははるかに低い段階でラインが設定されている。
家庭用機器についても、もしかしたらサロンで許される以上のものが出てくる可能性もあるので、やはり一元的に試験をする必要がある。必ず試験を受けるということを義務付けることも1つの方法かと思う。
家庭用についてもそういう安全基準みたいなものが必要だということになりますね。
德重委員、自分で使ってみて、どういう印象を受けましたか。
この場でいろいろと勉強しているので、危険だという認識を持てるのだと思うが、取り扱い説明書に危険と書いてあっても、どの程度危険なのかがわからないと思う。
脚のレーザー脱毛を医療機関で一度やったことがあるが、その時はチクッとすることがあった。それに比べ、家庭用レーザー脱毛機を腕に使用してもまったく痛みを感じなかったので、効き目がないのではと思って同じ所に3発くらい当ててしまった。
表示の説明をかなり細かくするとか、販売員が購入する人に対してかなりしっかり説明しないと、誤使用などで、危害が発生することも考えられるという印象を持った。
予備知識のない消費者がいきなりこれを買って使うと、危険なものだという認識がなく使われる可能性は十分あるという感想ですね。
もう1つ、使用者本人ではなくて、乳幼児等の周辺に対する危険性が高いという印象を受けた。
周辺の人に対する配慮というのも当然必要かと思います。
取扱説明書に危険マークが付いていて、なんとなく危ないということはわかるが、工業用の3Bレベルといわれても消費者には理解できないと思う。それがどれくらいの値なのか少しでも説明があれば、消費者が自分でそれなりの判断ができる要素になるのではないか。
B社の取扱説明書の内容は、確かに自己判断を要求されることが多くて、場合によっては出力レベルを自分で選択するようにと書いてあるが、どういう基準でどう判断していいのかが何も書かれていないので非常に怖いと感じます。
「フェイス」の説明をみると、目の周り2cm以内は使ってはいけない、それより遠ければ使ってよいと書かれているが、そういう点でもこれを見た消費者はかなり危険のギリギリの所におかれる可能性があるという感想を持ちました。
レーザーそのものを普通の一般家庭に持ち込むということは大変に危険な行為であると私は思っている。
脱毛の「効果」については、なかなかわかりにくいと思う。レーザーによる脱毛という行為が本当にできるかどうかを考えなければならない。
レーザーそのものをもう少し一般消費者が知ることが、「この商品を安全に使う」とか、「世の中に普及していくことが認められるか」ということを含めて必要なことではないか。
取扱説明書に「レーザー光は体毛以外の黒い部分、ほくろ・あざなどに吸収された時、瞬時100℃以上に達します。火傷の恐れがありますので…」と書いてあるが、この「ほくろ」とか「あざ」というのを素人が判断できるのか疑問である。
ほくろやあざは黒いものもあれば茶色のものもあるので、いくら取扱説明書に注意書きをしても消費者は判断に困ることになる。
医療用では「しみそばかすをとるためのレーザー治療」というものがあるが、今回の黒い部分に「当ててはいけない」ということと矛盾している気がする。医療行為だから許されるということなのか。
医療用のレーザーでいわゆる黒い部分をとる場合、周辺の皮膚と吸収の差が強い別の波長のレーザーを使う。しかし、半導体レーザーを使ってあざやほくろを取っている医療機関はないと思う。当然個人差色合いの違いがあるので、経験で出力を調整する方や、非常に慎重な方は「スペクトラー」などの色素計で計った上で行っている。
レーザー光の種類を変えるという方法があるが、どちらにしても熱に反応して治療をするということなので、皮膚にはかなりの炎症が起こる。医療ではそれを想定して、冷却装置をつけたり、あるいはレーザー照射の後にはきちっとした治療をする。この光だったらこうなるということを想定しながらの治療なので問題ないが、家庭用の場合は全くそのようなレベルではないと思う。
まずレーザーを照射する際に気をつけなければならないのは部位と肌質だと思う。肌の色や部位によって「効果」とか「危険性」は違うが、一般の消費者が理解するのは難しい。
注意すべき事項は、色合いや部位により違うため、ざっくりと言えるものではないわけですね。そういう意味ではこれまでの警告表示は不十分だという指摘はできると思います。
場合によっては、うっかりマッチやライターなどの危険物にレーザーを当ててしまった場合、非常に危険であり、消防法上の問題等も出てくるのではないか。
レーザーには「便利さ」と「怖さ」の両面があるが、それを一般消費が知るような状況に今なっているのかどうか考えなければいけない。
安全性については、ずいぶん認識が共通化してきたと思います。
では、議事(2)「リスクコミュニケーションで脱毛というイメージがどうであったか」についての報告を事務局から報告お願いします。
説明「資料:くらしのリスコミひろば(第2回)の結果」
脱毛という言葉から永久脱毛的イメージを持つ人がかなりいることが分かった。
私が受ける感じでは、消費者はエステなどで「高いお金を払ってやる脱毛はそれなりの効果があるのでは」と期待してしまい、それが「永久脱毛」というイメージにつながっているように思える。
それでは、今までの議事に基づいて議事(3)「家庭用レーザー脱毛機の安全性確保に関する都の対応案」について検討したいと思います。資料4~5を事務局からご説明ください。
家庭用レーザー脱毛機等の安全性確保に関する都の対応について説明
安全問題協議会委員提案の取りまとめについて説明
家庭用レーザー脱毛機については、確定案にしたいと考えています。ぜひ取りまとめの方向でご意見いただきたいと思います。
島崎委員の言われた、マッチやライターに対する照射の可能性の危険性の告知を、取扱説明書の注意書きに加えたほうがよいと思いますが、他はいかがでしょうか。
東京都が、例えば取扱説明書等に危険性をきっちりと表示するように事業者に指導したとしても、逆に事業者のほうは「これで東京都からお墨付きを貰った」という捉え方をする恐れがある。
また、消費者も「レーザー脱毛の効果があるということを東京都が認めた」という捉え方をしてしまう危惧がある。
大変根源的な貴重なご意見だと思います。
東京都の考え方は、家庭用レーザー脱毛機などが内包する危険、発生しうる危害の内容を十分に事業者に伝え指導すると同時に、消費者にはこれを周知していくことである。
もうひとつは、「脱毛」という言葉にかなり消費者は期待を持っているので、ここでは「永久脱毛」とか「脱毛」という言葉を根拠なく使わせないようにしていくことである。
「効果」に関しては、性能や効果を超えるような、消費者を誤認させる表示、広告をさせないようにしていき、それにより商品の実像を明らかにして、消費者がそれを買うか買わないかを自己判断するということを基本的に考えている。
事業者に対する個別指導ができる根拠というのは、やはり消費生活条例に基づくものなのですか。
消費生活条例では、まず危害危険についての調査からスタートして、その危害危険のレベルごとに指導、場合によっては市場からの排除を含めて対応していくことができるようになっている。今回は、この協議会における審議を踏まえ、調査に基づく指導という形をとりたいと思っている。
これまで「脱毛機」とあっさりと言ってきたが、先程来のリスコミの脱毛イメージからするとむしろ「いわゆる家庭用レーザー脱毛機」くらいの言い方のほうが、その意味合いを込められるという気がします。
レーザーライト研究会でも家庭用レーザー脱毛機の安全規格について、取扱説明書の記述も含めて内容検討に入る予定である。
具体的には今スケジュールを立てているが、その前に機器の評価テストを行うことを考えている。
出力レベルに関しても我々が思っていたより遙かに高いものが出ており、レーザーの基準に照らしても危険性があるということを、総論として述べたほうがよいのではないか。
また、今回答申をした安全対策を行っていない機器の宣伝あるいは販売は行わないようにするという指導も盛り込めるとよい。
エステサロンにおいて危害・事故が起きた場合、メーカーではなくエステの責任ということになる。同様に、家庭用の場合、売ったメーカーは咎められず、消費者本人が自分で自分に危害を与えたということになるのではないか。
法律上難しければ、条例においてどうするべきか議論する必要があると思うし、最終的には「国への要望」「事業者への要望」「業界への要望」の3つを合わせた形にしたほうがよい。
エステティック研究財団の臨床試験を受けさせるというのも一つの考え方である。
製造物責任法に対応した保険制度はどうなっているのか。
製造物責任法の保険には、当然メーカーも入っている。ただ、いわゆる保険に入っているからどうという問題ではなく、企業を守るために問題が起きた場合を想定した上でPL法保険に入っている。
東京都は、消費生活条例等に基づき危害が発生する恐れがあれば調査をする。例えば被害者がかなり出ている状況があれば、すぐに調査を進め、安全性の立証をメーカー側に求める。それでも安全性の確認ができなければ状況により、例えば製造中止勧告、企業名の公表等の手段も検討する。
被害については、エステサロンに関係した相談が消費生活センターに多く寄せられている。しかし、家庭用については6~7件ほどで、被害程度も比較的軽度な相談である。そういった状況の中で、条例によりすぐに動ける状況ではないという判断もある。
協議会における協議の中で、「効果が無いのではないか」という指摘がある一方で、クラス3Bというレーザーの強さを考えると危険性があるという認識が共有されたと思われる。現在の取扱説明書やビデオ等では安全性の確保はまだ不十分であり、事業者に対しそういうことを背景に指導することも考えている。
消費者に対して、レーザーというものに対する認識が行き渡ってないため、消費者に対して安全・危険の注意を速やかに行う必要がある。
事業者には、クラス3Bという強さを認識し、相応の対応を求める。
国では現在、家庭用レーザー脱毛機を電気用品安全法の特定製品に指定する等、基準設置や規制をするような動きはないため、状況を国に情報提供するとともに、規準等の作成を求める。また、東京都として今できることは何かを考え、状況を判断しながら対応をきちっと進めていきたい。
被害が発生するようならば、条例に基づき強い指導を進めることも考えている。
レーザーライト研究会で一番危惧している点は、この商品はテレビショッピングで売られており、新幹線の席の前ポケット等に置いてある通信販売の雑誌にも記載されている。
テレビショッピングを見ると、「非常に効果がある」「安全性がある」ということで放映されており、これについてはレーザーには、危険性があるという認識を持つよう、メーカー側にも販売者側に対しても指導を強化してもらいたい。
今までの議論を前提として、業者に対する指導の中で、取扱説明書に具体的に危害の原因となる黒いもの(ホクロやシミ等)を記載するとか、危険については大きな表示で太い字で書いてもらうなどの工夫が必要である。
かなり意見も出ましたが、結論に至った理由や総論的な危険性に関する背景事情に説明がないので、受け取った側は唐突な印象を受けるかもしれない。もう少し危険性に関する情報や、指導するにあたっての根拠になるような事実関係を冒頭に織り込む形でまとめ、「当面の指摘」ということも明らかにしておいたほうがよいと思う。
「消費者へのメッセージ」ということがメインだが、やはり販売店へもメッセージを送った方がよい。
「公的機関でテストを受けさせる」という指摘があったが、これは東京都から義務づけるのは難しいと思うし、公的機関として適切な所があるのか、これから新たに第三者機関作るのか、これをどういう風に扱うかは悩ましいところである。
レーザーというものを東京都として消費者向けに周知するというのはもちろんだが、国においても国民全体にレーザーについての教育を徹底する必要があると思う。
ご一任いただければ、私と事務局で手直しをして、それを委員の皆さんにもう一度お図りして、ご了解が得られた段階でプレス発表をするということでいかがでしょうか。
座長の意見に賛成である。先ほどあったように総論的なものを作っていただいて、我々の共通認識をその中に組み込んでいただきたい。
私も今の中村座長の方針、大変結構だと思う。
レーザー医学会で、関連の日本美容医療協会の理事長に考えを聞いたところ、結局法律では業としてレーザー装置を使う場合には医師法違反になり、個人で使う場合には法的な縛りは無理というのが現状であるという回答だった。
対策としては危険性について各種媒体等を利用して消費者や販売業者に向けて公表する。また、トラブル例などがあり次第報告・公表するという形で、危険性を回避する以外にはないということだった。
もう一点は、通信販売されている脱毛機の事例では脱毛効果が弱く、危害が生じるに至らなかった場合が多かったようで、危険に関する事例報告がないということもあって、これ以上手立てが打てないのではないかという回答だった。
レーザー装置についてしかるべき施設で皮膚や眼球に対する危険性の試験をしてはどうかということであるが、通常は製造業者からの申し出でないと試験をしないというのが原則である。今後、公的な機関に試験を依頼する場合、どういう形でどういったオーダーを出すのか、ということも考えなくてはならない。
試験機関に調査の可能性を問い合わせたところ、菊地委員がおっしゃった通り、トラブルの元になる恐れがあるため、その製品のメーカー等から調査依頼が来た場合には調査に応じるが、原則「他者の調査依頼には応じません」ということだった。
「行政機関として消費者の安全を守るために調べるということで調査できないか」と相談したが、「即答できない」ということだった。検討に時間がかかるということで、当然今日には間に合わないという状況だった。
日本品質保証機構の理事の方にその件について申し入れをしたところ、電気用品安全法においてレーザーの美容機器に関しては特定品目に該当していないため、すべからく任意で行われるというのが今の状況であるということだった。本体の表示についても、指導はできるが法的な処置についてはまだ方法がないというのが結論だった。
では、今の意見も踏まえてまとめさせていただくということで、ご了解いただきたいと思います。
では、第3回はこれにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
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