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読者レポート

体が温まり、元気に冬を過ごせる
銭湯・サウナの入浴法

読者委員 芳賀( はが ) ( いさお )

私は昔から銭湯が好きです。自分の家に浴室を持つ家庭がほとんどとなった今日においても多くの人が銭湯を利用しています。その銭湯・サウナの魅力や利用上の注意点などを読者に伝えたいと思い、銭湯の経営者組織である「東京都公衆浴場業生活衛生同業組合」を取材させていただきました。

芳賀委員右)東京都公衆浴場業生活衛生同業組合の佐伯副理事長

銭湯の歴史と現状

古くは江戸時代からその歴史が始まったとされる銭湯は、日常の疲れを癒す場として親しまれてきました。街の中で人々が交流し、心温まるひとときを過ごす場でもありました。

近年は、私たちの生活が豊かになり、ほとんどの家に浴室がありますが、現在も多くの人々が銭湯を利用しています。最近では、サウナの人気も高まり、従来の利用客に加え、若者の利用客が増えています。

特徴として、若者はグループで来て、入浴後に食事や飲みに行くなど、レジャー感覚で利用しています。銭湯によっては子供用のプレイルームも設置されており、しばらく楽しんでいく親子連れも見かけます。

従来から利用している高齢者にとっては、体を洗い入浴するだけではなく、歩いて出かけ、地域の人々と交流することで、心身共に健康を維持し、健康寿命を延ばす有効な場となっているようです。入浴料520円でお風呂にゆったり入り、時間をかけて楽しめる環境はとても魅力があります。

銭湯の効果と注意点

銭湯に入ると、自宅の風呂とは違う開放感やリラックス効果を多くの方が感じていると思います。大きな浴槽に入ることで、より温まり、湯冷めしにくいという温浴効果があるそうです。

また、水の粘りや抵抗の作用で筋力がアップする、浮力効果でバランス機能も向上することが期待できます。ただし、銭湯は自宅の風呂よりも体が温まるスピードが早いため、ゆっくり浴槽に入っていて、立ち上がる際にめまいを起こして倒れてしまう人も多くいるそうです。そのため、自身の体調を考えての入浴を心がけることが大切です。

冬は、外気との温度差があるため、特に注意が必要です。急激な温度変化により血圧が大きく変動することで体に悪影響を及ぼす、いわゆるヒートショックが起こることがあります。銭湯では、脱衣場の温度管理などヒートショック対策が講じられていますが、心臓等に持病のある方には、長時間湯船に入らない、半身浴をするなど、体に負担のかからない入浴方法を勧めているそうです。

また、夏場に人気の水風呂ですが、寒い冬こそ、お風呂から上がる前に水風呂にさっと入ると、湯冷めしにくいそうです。私にとっては初めて聞くお話でした。

サウナの入浴と注意点

サウナは血流を良くし、リラックス効果があります。東京都公衆浴場業生活衛生同業組合(以下「浴場組合」)に加盟する銭湯は約440軒あります。サウナを設置しているのは6~7割程度とのことでした。先にも述べたように、最近は人気が高く、多くの若者が銭湯に足を運ぶ姿を目にします。

サウナ室内の温度を気にする入浴客は多くいますが、室内に濡れた体の人が入ってくると、温度変化はなくても、湿度が上がります。湿度が上がると体感温度も上がり、のぼせやすくなります。一般的には、サウナで汗を流す目途は10分程度と書籍等でいわれていますが、各自の体調を考慮して利用するようにとのことです。サウナハットでのぼせを防ぐことや、水分補給なども大切です。

時々、サウナの中で寝転がっている方がいますが、起き上がるときにめまいを起こす方が多いので、控えた方がいいとのことでした。

電気風呂、炭酸泉について

電気風呂も、入浴時の血流を良くすることが目的とされています。利用者の中には、腰痛に効くと言う方もいるそうです。独特の「ピリピリ」感があり、苦手な方もいますが、その時の体調やお好みでトライしてみるのもいいかもしれません。

炭酸泉は、静かに長く入ることで、リラックス効果の他に、肌をきれいにするなど、美容効果が期待されているもので、特に女性に好まれているようです。

浴場組合や各銭湯が行っている取り組み

浴場組合は、銭湯の意義や魅力などをより多くの方々に知ってもらうため、浴場組合のキャラクター「ゆっポくん」による普及活動や東京銭湯スタンプラリーなどのイベントを実施し、企業とのタイアップの他、銭湯を舞台にした映画やドラマ撮影にも協力しています。また、入浴料支払いなどのキャッシュレス決済についても、各銭湯に働きかけているそうです。

各銭湯では、幅広い年齢層の方々が利用できるように、個性的な露天風呂や水風呂、座湯などの設備の他、オリジナル商品や「ゆっポくん」を使用したグッズの販売、飲食サービスやプレイルームなどの充実を図っており、入浴後も時間をかけて満喫できる新しいスタイルの銭湯が増えてきています。

銭湯ファンの方も、銭湯未体験の方も、ぜひこの機会に、ご家族やご友人と一緒に身近な銭湯文化の魅力を体験してみてはいかがでしょうか。

芳賀委員とゆっポくん

なお、浴場組合が発行している「1010」という機関誌やリーフレットには、銭湯入浴の健康効果に関する記事やイベント情報が掲載されています。※ 銭湯で手にとってはいかがでしょうか。

※詳細は浴場組合のホームページからご覧いただけます。
https://www.1010.or.jp/

最後に

私は自宅に小さな風呂がありますが、足を伸ばしてゆったり湯船に入りたいという気持ちが強く、週に3~4回は銭湯に通っています。今回の取材を通して銭湯通いが健康寿命アップに繋がることを再認識しました。寒い時期は特に、体が温まり、リラックスもできる銭湯はありがたい存在です。長い歴史を持つ銭湯が、これからも地域の人々が集まり、日常の疲れを癒す場として発展し続けることを願います。

本誌をお読みの方も、銭湯を活用して、今年の冬を乗り切りましょう。

取材中の様子