お気に入りの衣服を長く楽しむために
~衣類の取扱い表示について~

都内の消費生活センターには「洗濯したら色あせてしまった」「縮んでしまった」など、衣類に関する相談が多く寄せられています。
市販されているほとんどの衣類には繊維の種類や洗濯方法など、お手入れに必要な情報が表示されています。これらの表示をよく理解して日常のお手入れに生かし、お気に入りの服を長く楽しみましょう。
衣類を購入するときは表示を確認しましょう
皆さんは、衣類を購入するときに取扱い表示を見ていますか?家庭用品品質表示法では、消費者が商品を購入する際に適切な情報が提供されるよう、商品の品質等について事業者が表示すべき事項や表示方法を定めています。対象となる繊維製品には、繊維の組成(素材の種類と混用率)、洗濯についての取扱い表示(以下「取扱い表示」といいます)などを表示することが義務づけられています。
衣類を購入するときは、用途やデザインだけでなく、家庭で洗濯できるのかなど、購入後のお手入れについても確認しましょう。
取扱い表示の見方
取扱い表示は、平成28年12月以降、それまでの日本独自のものから、世界で共通に使用できるISO(国際規格)の記号に統一されました。
表示は、5つの基本記号と、いくつかの付加記号や数字の組み合わせで構成されています。
基本記号は、洗濯、漂白、乾燥、アイロン、クリーニングを表します。
付加記号は、処理・操作の「強さ、温度、禁止」を表します。強さは、基本記号の下に棒を付加し、棒が多いほど弱い処理を表します。温度は基本記号の中に点を付加し、点の数が多いほど高い温度を表します。禁止は、基本記号に×で表します。
また、記号で表せない情報は、必要に応じて「洗濯ネット使用」「裏返して洗う」などと、記号の近くに用語や文章で付記されます。

表示は取扱いの上限表示
従来の取扱い表示は「このような洗い方をしてください」という指示(推奨)表示でしたが、現在の取扱い表示は、衣類にダメージを与えない上限を示した「上限表示」になっています。記号の示す扱い方、もしくはそれより穏やかな方法で扱いましょう。これくらい大丈夫だろうと、表示よりも強く扱うと衣類にダメージを与える可能性があり、注意が必要です。例えば、の記号では、30℃で弱い洗濯機洗いが上限となるため、40℃の湯の使用や、強い洗濯機洗いはできませんが、20℃の水の使用や、手洗いは可能です。上限表示の考え方では、記号が示す範囲内で、どの強さで洗濯するかは状況に応じて自分で判断する必要があります。
新しい記号のは、おおよそ従来の記号の
に相当しますので判断の基準にするとよいでしょう。なお、
が付いた衣類は家庭での洗濯はできません。

- 【参考資料】
- ※1 消費者庁「衣類の新しい『取扱い表示』で上手な洗濯!」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/pdf_data/hyouji_pamphlet.pdf - ※2 政府広報 暮らしに役立つ情報「衣替えの季節です。あなたは正しく洗濯していますか?」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201812/2.html
漂白剤
は塩素系、酸素系両方の漂白剤を使用することができます。
は塩素系は使えませんが酸素系の漂白剤は使用できます。
は漂白剤を使用することはできません。
アイロン
マークに「
」は低温(110℃)、「
」は中温(150℃)、「
」は高温(200℃)が底面温度の上限であることを表します。
乾燥
は家庭用のタンブル乾燥(機械乾燥)を表します。
は低温、
は高温でタンブル乾燥できます。
はタンブル乾燥できません。
自然乾燥では、縦線はつり干し、横線は平干し、線1本は絞って(脱水して)干す、線2本は洗濯機での脱水や手でねじり絞りをしないで干すことを表します。水が垂れるのが気になる場合は、洗濯物をバスタオルなどに挟み水分を軽くとる程度なら可能です。さらには陰干しを表します。例えば、
ならば、絞らず日陰につり干しをすることができます。

クリーニング
、
ともにドライクリーニングを表します。P、Fは使用する有
機溶剤の種類です。
が付いていたら、ドライクリーニングできません。
はウエットクリーニングを表します。ウエットクリーニングとは、クリーニング店が特殊な技術で行う水洗いと仕上げまで含む洗濯です。家庭の洗濯が禁止されている場合でも
があればクリーニング店に水洗いを依頼することができます。
※専門家の管理の下でワイシャツやシーツをお湯で洗う処理をランドリーと呼びますが、これに対応する取扱い表示はありません。
最後に
記号ばかりの洗濯表示は、見慣れないと戸惑いがあるかもしれませんが、基本となる記号と表示ルールを覚えれば難しいことはありません。正しく読み取り、衣類の適切なお手入れに生かしましょう。