このたび、東京都消費生活総合センターは、開設50年という大きな節目を迎えました。開設の時から現在まで、社会はめまぐるしく変化してきましたが、都民の暮らしの安全・安心を守るため、センターでは常に時代に即した取組を進めてきました。今回は、センターの役割や、消費生活相談事業をはじめとするさまざまな事業をご紹介します。
消費生活総合センターの役割
消費生活行政のトップランナー
昭和44年4月、東京都消費生活総合センターの前身である東京都消費者センターが発足しました。それから50年、当センターは消費者被害の救済、被害の未然防止・拡大防止のため、高い専門知識に基づく消費生活相談をはじめとした多様な取組を進め、消費生活行政のトップランナーとしての役割を果たしてきました。
センター・オブ・センターズ
東京都消費生活総合センターでは、自ら相談や啓発などを行うだけではありません。豊富な相談事例の蓄積と解決に向けた高いノウハウを活かし、基礎的自治体である区市町村が、複雑・高度化する相談に的確に対応できるよう情報提供や助言をしたり、区市町村の相談業務のレベルアップに向けた研修などを実施しています。このように、区市町村を支援し、都全体の消費者施策の底上げを図る「センター・オブ・センターズ」としての役割も担っています。
消費生活相談
消費生活総合センターが展開する消費者支援の取組の中で、その中核となるものが消費生活相談事業です。消費者が商品を購入したり、サービスを利用する際に起きる販売方法や契約内容などを巡るトラブルに関して相談を受け付けています。
受け付けた相談は、専門の資格を持つ消費生活相談員がトラブルの解決に向けたお手伝いをします。
相談員は、相談者からトラブルの内容を聴き取り、専門知識を活用しながら、トラブル解決のための適切な助言、あっせん、情報提供などを行います。
被害に遭っても、「自分にも責任があるから」とあきらめてしまう人も少なくないようです。しかし、あきらめず相談をすることで、トラブルを解決し、被害を回復できる可能性があります。もちろん、トラブルが起きる前でも、わからないことや不安なことがあればご相談ください。また、「事業者から不審な勧誘を受けた」といった情報提供も受け付けています。
相談方法
電話、来所により相談を受け付けています。相談は無料、秘密は厳守します。お気軽にご相談ください。
相談専用電話番号
電話03-3235-1155
受付時間 月~土 9時~17時(祝日、年末年始を除く)
※都内在住・在勤・在学の方の消費生活に関する相談窓口です。
多様な相談の受付体制
聴覚に障害のある方
電話による相談が難しい方には、電子メールで相談を受け付けています。また、来所された方には、筆談やタブレット端末を利用した手話通訳による相談も実施しています。
外国人の方
通訳オペレーターを介した外国語(英語・中国語・韓国語)での電話相談を実施しています。また、予約により、通訳者が同席する面談による相談が可能です。
東京都消費者被害救済委員会
東京都消費者被害救済委員会は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼす事案について、あっせん・調停により、解決を図っています。また、その審議経過と結果を広く公表することで、相談解決の指針を提供し、同様の被害の防止と救済を目指しています。
相談情報を基にした多様な事業
消費生活相談は、直接的には相談者が抱えるトラブルの解決や被害の回復が目的ですが、実はそれ以外にも重要な意味があります。それは、東京都の消費生活に関する事業が、消費者からの相談で得た情報を基に実施されるということです。
具体的には、下図に示すように
①情報提供(啓発)
②消費者教育
③事業者への指導
といった各事業を効果的に実施するため、相談情報が活用されているのです。
以下では、その中からいくつかの取組についてご紹介します。
①情報提供(啓発)
消費者被害防止啓発
若者や高齢者が巻き込まれやすい消費者トラブルについて、リーフレットなどで効果的に注意喚起をしています。
ホームページなどによる情報提供
くらしに関わる情報サイト「東京くらしWEB」やSNSにより、急増する消費者トラブルや製品事故に関して、速やかに情報発信しています。
②消費者教育
講座の開催や消費者教育教材の作成
被害に遭いやすい悪質商法や多発する製品事故に関することなど、消費者が関心の高いテーマについて講座を開催したり、楽しく学べる教材などを作成しています。
出前講座・出前寄席
町会や老人クラブなど皆様のところに講師が「出向く」講座です。
- 出前講座
- 消費生活相談などで経験を積んだ東京都消費者啓発員が、消費者トラブルへの対処法などを解説します。
- 出前寄席
- 大学の落語研究会や社会人ボランティアグループが落語や漫才、コントで消費者に役立つ情報を楽しくわかりやすくお伝えします。
③事業者への指導
多発・深刻化する消費者被害防止のため、相談情報などをきっかけに、不適正な取引行為等を行う事業者に対して調査を行い、法令に基づき指導・処分などを実施しています。
より暮らしやすい社会へ
ご紹介した取組以外にも、国に法令改正等を働きかけたり、消費生活に関する施策を立案する場合などにも、相談情報は広く活用されています。
相談をすることは、相談者が抱えるトラブルの解決に役立つだけでなく、被害の拡大を防いだり、悪質事業者を取り締まるきっかけとなるなど、より暮らしやすい社会をつくることにつながります。
困ったな、おかしいなと思ったときはお気軽にご相談ください。また、「不審な勧誘を受けた」、「消費者の誤解を誘う広告を見た」といった情報もぜひお寄せください。
平成9年創刊の「東京くらしねっと」。本誌を彩ってきた表紙からいくつかご紹介します。
これからも「東京くらしねっと」をご愛読ください!