「子供に対する歯ブラシの安全対策」を報告
平成29年2月14日
「受傷リスクを低減する商品の改良、事故の危険性を伝える注意表記の強化、喉突き事故対策を盛り込んだ安全基準の強化」を提言
東京都商品等安全対策協議会では、子供が歯ブラシをくわえたまま転倒し、喉を突くなど口腔内を受傷する事故が多く、入院事例もあることから、子供の歯ブラシによる喉突き事故を防止するため、昨年7月から、アンケート調査や模擬実験を実施し、「子供に対する歯ブラシの安全対策」について、協議を行ってきました。
本日、協議会から東京都に、事故防止のための具体的な提言を盛り込んだ報告書が提出されましたので、お知らせします。
1 提言の背景等
- 平成23年以降、歯ブラシによる受傷等により救急搬送された又は受診した5歳以下の事例は337件(入院を要した事例は61件)
- 東京消防庁救急搬送事例は、平成23年から、毎年40件程度で推移
- 事故件数は1歳代が最も多く、1歳~3歳前半の子供に多く発生
- 受傷要因は「転倒」が最も多く、約6割
- 子供が使用する歯ブラシは、「通常タイプ」が約9割
- 保護者の仕上げみがきで使用する歯ブラシは、「子供が使用している歯ブラシを使用する」が約8割で、使い分けをしていない。
- 歯ブラシに関する安全基準等に子供の歯ブラシの喉突き事故防止について規定された項目はない。
- 注意事項は商品によって異なり、喉突き防止に関する注意表記がない商品もある。 など


2 提言のポイント
商品等の安全対策等
- 歯ブラシ自体に衝撃吸収性能を持たせる、歯ブラシ自体を口腔内奥に入りにくくするなど、喉突き防止の安全対策を強化する。
- 製品ごとに使用者及び使用目的を明確にし、子供自身が使うものと、保護者が仕上げみがきに使うものとを区別する。
- 商品の対象年齢について3歳前半とそれ以上の年齢を区別するなど、子供の年齢に応じた安全対策を実施する。
- 喉突き事故の危険性を必ず記載する、重要な注意事項は目立つ表記とするなど、パッケージ注意表記の強化と表示事項の改善
- 喉突き事故防止に関する製品の安全性の強化や、注意表記の強化を盛り込んだ、安全基準の強化(法規制、JIS、業界自主基準等)
消費者の安全意識の向上
- 消費者の使用実態、ヒヤリ・ハット経験の状況等を踏まえた、消費者の行動に結び付くより具体的な注意喚起
- 親の世代の入れ替わり、子供の成長など、状況の変化を考慮した消費者への効果的な普及啓発とその継続
これらの注意喚起・普及啓発を、事業者団体、関係団体、国、都等、あらゆる主体が取組んでいく
[具体的な注意喚起例]
- 事故の危険性の高い3歳前半までは、安全対策を施した歯ブラシを選ぶ。
- 安全対策が施された歯ブラシを使用する場合でも保護者が必ず見守る。
- 歯みがきは床に座って行う。 など
[効果的は普及啓発の取組例]
- あらゆる機会を捉え、様々な媒体を活用した広報を行う。
- インターネット、ツイッターやfacebookなどのSNSを有効活用し、対象に届く効果的な広報を展開する。
- 祖父母や周囲の人も含めた幅広い層に対し、繰り返し啓発する。
- 保健所・区市町村と連携し、乳幼児健診等の機会を活用した啓発を行う。 など
事故情報の収集と活用体制の整備
- 事故情報を受け付ける窓口について更なる周知を行い、報告しやすい環境を整える。
- 収集した情報を商品改善等につなげるため、情報の共有や活用の仕組みを整える。
- 安全対策の推進のため、製造事業者団体等に対する事故情報等の提供や、商品改善等の効果検証に資するデータ提供などを積極的に行う。
- 事故時の対応結果等を情報提供する必要性について、消費者に普及啓発する。 など
3 今後の都の取組
事業者団体及び国等への要望
下記のとおり事業者団体、関係団体及び国等に対して要望します。
提案・要望先等一覧
提案・要望先
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内容
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【事業者団体等】 |
全日本ブラシ工業協同組合
歯ブラシ製造事業者
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- 歯ブラシの喉突き防止の安全対策の強化
- パッケージ注意表記の強化と表示事項の改善
- 喉突き防止等の安全性に関する事項を盛り込んだ業界自主基準等の策定と積極的な公表、JISの推進
- 消費者の行動に結び付く具体的な注意喚起を効果的・積極的に実施
- 業界としての相談窓口の周知徹底と事故情報データの活用
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全国ベビー&シルバー用品協同組合 |
- 歯ブラシの喉突き防止の安全対策の強化
- パッケージ注意表記の強化と表示事項の改善
- 消費者の行動に結び付く具体的な注意喚起を効果的・積極的に実施
- 業界としての相談窓口の周知徹底と事故情報データの活用
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日本チェーンドラッグストア協会
日本歯科商工協会
日本チェーンストア協会
日本フランチャイズチェーン協会
日本通信販売協会
子供用品専門店
大手小売店 等
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- 消費者の行動に結び付く具体的な注意喚起・効果的な普及啓発
- 仕入・調達段階から安全性の高い商品を選定し、販売時における消費者への安全な商品の普及
- プライベートブランド製品の仕様や注意表記における喉突き防止の安全対策への配慮
- 業界としての相談窓口の周知徹底と事故情報データの活用
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【歯科関係団体】 |
日本小児歯科学会
東京都歯科医師会
日本歯科衛生士会
東京都歯科衛生士会
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- 消費者の行動に結び付く具体的な注意喚起・効果的な普及啓発
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【消費者団体等】 |
全国消費生活相談員協会
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
子育てひろば全国連絡協議会 等
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- 消費者の行動に結び付く具体的な注意喚起・効果的な普及啓発
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【国】 |
経済産業省 |
- 喉突き防止等の安全性に関する事項を盛り込んだJIS改訂の働きかけ
- 事業者が行う製品安全の自主的な取組強化の働きかけ
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消費者庁 |
- 喉突き防止に関する注意事項の表示の強化(法規制など)
- 消費者の行動に結び付く具体的な注意喚起・効果的な普及啓発
- 安全対策推進のため、事故情報等の提供と効果検証への協力
- 事故情報の報告の必要性について消費者への普及啓発
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今後、事業者団体、関係団体、国等と連携して、ホームページ、広報紙、SNSや乳幼児健診など、様々な機会を活用し、積極的に注意喚起を行っていきます。
子供の歯ブラシによる喉突き事故を防ぐポイント
- 歯磨きは保護者の見守りの中で、床に座って行う。
立っているより座った状態の方が、転倒時の受傷リスクを低減できます。
- 踏み台、ソファー、椅子など不安定な場所で歯みがきしないように注意する。
洗面台に届かない場合は、うがいをする時だけ踏み台を使用し、歯ブラシをおいてから踏み台に乗るようにしましょう。
- 事故の危険性の高い3歳前半までは、喉突き防止対策を施した歯ブラシを使う。
乳幼児はちょっとしたすきに予期しない行動をします。
保護者の見守りとともに、喉に突き刺さりにくい歯ブラシや、喉の奥に入りにくい歯ブラシを使用するなどの対策を合わせて行いましょう。
- 保護者が仕上げみがきで使用する歯ブラシと使い分ける。
使用する人、使用目的にあった歯ブラシを選択することが大切です。仕上げ用歯ブラシは子供に持たせたり、子供の手の届くところに置かないようにしましょう。
- 歯みがき中は動き回らず、周囲に注意する。
人や物にぶつかることにより事故が起きています。
- 子供の動線に物を置かない。
電化製品のコードやクッションなど、子供が躓いて転倒の原因となります。
- 事故やヒヤリ・ハットを経験したら、消費生活相談窓口や製造事業者に報告する。
同様の事故の再発防止や商品改善につなげるため、事故時の対応結果等について情報提供しましょう。
4 印刷用PDFファイル
子供に対する歯ブラシの安全対策 報告書概要(PDF:294KB)
子供に対する歯ブラシの安全対策 報告書(PDF:4,107KB)
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東京都生活文化局消費生活部生活安全課商品安全担当
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