
安いの? 使って大丈夫? サポートはしてもらえる? など、疑問がたくさんあるかもしれません。安い仕組みや購入時の条件、提供しているサービス、契約先やサポート先を知ることで、購入・利用時のトラブルを未然に防ぎ、自分にあった格安スマホ・格安SIMの購入ができると思います。今回は、格安スマホ・格安SIMについて、一緒に考えてみましょう。
格安スマホって何だろう?
スマートフォンの仕組み
スマートフォンは、パソコンを携帯サイズに小さくして、通信や通話、アプリが利用できるようにしたものです。通信や通話をするために、スマートフォン本体にSIMカード※を装着して使います。(※スマートフォン等の通信端末が通信や通話するために必要なICカード。各々に固有のID番号が割り振られている。)
格安スマホとは…
格安スマホとは、「安い!」をキャッチフレーズにマスコミがつけた名称です。スマートフォンに格安SIMを入れて使うと、大手携帯電話会社の従来のスマートフォンに比べて、割安な基本使用料で利用できることが理由と考えられます。
格安SIMとは、SIMカード単体のみを指し、格安SIMのみ購入し、従来使っていたスマートフォン本体に装着して利用することもできます。
ではなぜ、基本使用料が割安かというと、大手携帯電話会社(ドコモ、au、ソフトバンクなど)のMNO(移動体通信事業者)から通信設備を借りて、MVNO(仮想移動体通信事業者)が通信サービスを提供するため、多額の初期投資や設備の維持費といったコストを削減できることが大きな理由です。
MVNOは現在、さまざまな企業が参入しており、インターネットサービスプロバイダー、家電量販店、自動車会社、保険会社、不動産会社、ケーブルテレビ会社など750社余りあり、年々増える傾向です。また、格安SIMは店舗での販売より、インターネットでの販売や空港などでの自動販売機での販売が主になります。
従来のスマートフォンに比べて何が違うの? なぜ安いの?
サービスの比較と条件
格安スマホと従来のスマートフォンでは、何が違うのでしょうか?
大まかには、「通信速度が違う」「月々の通信量の上限値が違う」「音声通話ができないことがある」「契約先やサポート先が変わる」などがあります。そして、今まで使っていた映像配信などサービスや、携帯電話会社(ドコモ、au、ソフトバンク)の独自サービス(ドコモメール、dマーケット、まとめて支払いなど)が、利用できなくなることがあります。
では、なぜ安いのでしょうか?その秘密は、各サービスの利用制限(通信速度が遅い、月々の通信量の上限値が低いなど)や、携帯電話会社と違うところから仕入れたスマートフォン本体を利用しているところにあります。更に、インターネットのみの販売やサポート人員を少なくするなど、効率的な経営を行っているからです。
格安スマホ・格安SIMの利用条件
条件項目 | 内容 |
---|---|
通信速度 | 通信速度の上限値が携帯電話会社より低いことがある。 |
通信量の上限値 | 月々の利用上限値が低いことがある。 |
音声通話 | 音声通話ができないサービスがある。 |
携帯電話会社の独自サービス | 携帯電話会社独自のサービスが利用できない時がある。 (例)ドコモメール、dマーケット、まとめて支払いなど |
アプリ・コンテンツの購入 | 携帯電話会社のサイト(dマーケット等)からは購入ができない。 |
契約内容 | 各社の各サービスで継続契約の期間が異なる。(2年間継続契約、解約自由など独自設定) |
困ったときのサポート先 | 端末や通信、アプリによって異なります。 |
困った時のサポート先はどこになるの?
サポート先と方法
格安スマホ・格安SIMを購入して、契約先が、今までの携帯電話会社からMVNOに変わると、サポート先や支払い先も変更になります。今までスマートフォンの修理は、携帯ショップに頼めばよかったことが、MVNOの会社によって、対応が違ってきます。
例えば、スマートフォン本体はメーカーに直接修理を依頼したり、各アプリもアプリメーカーにサポートを依頼したりするため、従来のスマートフォンと比べて手間は増えます。また、スマートフォン本体の代替品を借りられない場合もあるので、注意が必要です。従来のサポートを受けたい方や気軽に店舗を訪問して質問したい人には不向きですが、トラブル時の相談先などを自分で調べることができる人にはあっているでしょう。
いざ買って、通信速度は大丈夫?アプリは動くの?
従来のスマートフォンと通信速度
通信速度は今までのスマートフォンと比べて遅くないの? との質問を良く受けます。MVNOの通信サービスは、携帯電話会社の設備を利用しているので、速度制限がされているサービスも多く、通信速度は、遅くなる傾向があるようです。特に、昼休みなど多くの人の利用が集中している時間帯や場所は、YouTubeなど、動画の動きが鈍くなることがあります。ただし、他の人が使っていない時間帯などでは快適に使えますし、あまり動画などを見ない人や、SNS程度の利用であれば問題はないと思います。
格安スマホの魅力
自分にあったサービスの選択
それでは、格安スマホの魅力はどこにあるのでしょうか? 一つはMVNOによっては、契約拘束期間が無く、いつでも解約できるプランがあるなど、契約期間の縛りが少ない点があります。また、MVNO各社が多様なサービスを提供しており、基本使用料が割安なプランはもちろん、SNSの通信料が無料であったり、電話かけ放題といったプランもあり、自分にあったサービスを選択しやすいといった点も魅力です。
自分の使っているスマートフォンに格安SIMを差しても大丈夫?
SIMカードの互換性・アプリの互換性
通常、携帯電話会社で販売しているスマートフォン本体は、SIMロック(他社のSIMを差しても使えない状態)がかかっています。格安SIMを差して使う場合、携帯ショップでSIMロックを解除してもらう必要があります。ただし、携帯電話会社によっては、スマートフォン本体を購入してから、一定期間経過しないと、SIMロックの解除ができないなどの制限がある場合もあります。そのため、事前に携帯電話会社に確認することが必要です。
また、格安SIMをスマートフォンに差す時は、今利用しているスマートフォン本体が、動作する条件にあうかどうかMVNOに確認した方が安全です。MVNOは、大手携帯電話会社の設備を使っており、格安スマホ・格安SIMには、ドコモ系のもの、au系のもの、ソフトバンク系のものがあります。自分が利用していた携帯電話会社と同じ系列の格安スマホ・格安SIMを使えば、まず動作します。
アプリについては、今まで利用していた携帯電話会社独自のアプリや、スマートフォンの機種によっては利用できないことがあるので、事前の確認が必要です。
MVNOは誰が管理しているの?
総務省とMVNOの関係
MVNOは、総務省への届け出が義務化されています。もし、消費者トラブルなどが頻繁に起こる場合は、総務省が指導することもあります。また、不安に思うことやトラブルが生じた場合には、各自治体の消費生活センターやテレコムサービス協会のMVNO委員会の事務局※へ問い合わせてください。
※メールjimukyoku@telesa.or.jp
格安スマホ・格安SIMがあう人はどのような人?
利用条件
複数の会社から、自分の利用条件にあう格安スマホ・格安SIMを探すことが大切です。自分の利用したい条件をはっきりさせることと、ある程度自分でトラブル時の情報収集や対応ができること、近くにスマートフォンの通信や仕組みに詳しい人がいることなどが重要でしょう。
また、「利用者が集中する場所や時間帯で通信速度が遅くても構わない方」「SNSや電話など簡単なことしか使わない方」など、大量の通信をしない場合には向いていると言えます。
格安スマホの利用は、自分がしたいことをはっきりさせると、満足できる買い物になると思います。先述のように、MVNOも「安い」だけでなく、SNSの通信料が無料であったり、電話かけ放題といったサービスのほか、ポイントカードが貯まるといった、各社のさまざまな特典サービスを出しています。
目的を持ってスマートフォンライフを楽しんでください。