私たちの身の回りには「広告」があふれています。
広告は商品やサービスの情報を得る大切なツールですが、中には問題があるものもあります。
そこで、私たち消費者が広告の内容や表現について、“何かおかしいな“と思った時に、相談をすることができる日本広告審査機構(JARO)を取材しました。


JAROの活動について
JAROは、1974年10月に設立された広告・表示に関する民間の自主規制機関です。
1970年頃の広告は、消費者を誤認させて購入・契約させようというものが多くありました。このままでは広告が信頼されなくなってしまうと危機感を持った広告関係企業が自ら集い、誤解をまねく広告をなくし消費者から信頼される良い広告を育てたいという思いから設立されたそうです。
現在では、広告に関連する企業889社が会員となり、「広告・表示の適正化」を目指して活動をしているそうです。
広告・表示に関する意見・相談を受け付けています
JAROでは、広告・表示に関する消費者からの意見・相談を受け付けています。相談はオンラインや電話、FAX、郵便などの方法でできるそうです。
よく寄せられる相談
事実と違う「ウソ」の広告
- 広告の目玉商品が店頭にない
- 「今だけお得」って本当? など

「大げさ」な広告
- 飲むだけで痩せるサプリ
- 洗うだけでシミが消える石鹸 など

「まぎらわしい」広告
- 「お試し」のはずが定期購入に
- トータルの価格はいくら? など

また、広告に対する好意的な意見(「称賛」)も受け付けています。
称賛などを含む相談の数は増加傾向で、2018年度の総受付件数は、過去最高の11,051件でした。

苦情を媒体別にみると、「テレビ」「インターネット」「ラジオ」が上位です。この順位は2013年度から変わらないそうで、やはり身近な媒体の広告に対する意見が多いことが反映されているのだと思います。
苦情にしろ称賛にしろ、私たち消費者の意見を広告などに反映していくために、素直な意見を伝えていくことが必要だと感じました。
受け付けた相談への対応
消費者から受け付けた相談のうち、特にJAROで問題があると判断したものは、広告関係者の委員で組織する業務委員会で審議し、その結果を「見解(警告、要望、提言)」として発信します。
主に業務委員会での審議の対象となるのは「広告・表示規制(※)上の問題」で、2018年度はシミが消えるという化粧品、定期購入だとわかりにくい通販など26件の「見解(警告21、要望3、提言2)」を出したそうです。
また、審議の対象とまではならない場合でも、広告主に伝えて対応を求めることもあるそうです。
そのほか、企業や団体との情報連絡会、セミナー、社内勉強会などで、事例を用いて表示上の問題点などを解説することで、広告・表示の適正化につなげる活動も行っています。
※広告・表示において守らなければならないルール。法律、公正競争規約、業界団体が独自に取り決めたガイドラインなど
こんな広告には注意!
JAROでは、消費者向けに「正しい広告の見方」をテーマに講演を行うなど啓発にも取り組んでいます。
今回の取材でも、私たちが広告や表示を見る際に注意すべきポイントをいくつか教えていただきました。
デメリットなどの記載に関して
商品のメリットは強調して記載されているが、デメリットや本当に大事なことは、小さな字で書かれていることが多いので注意する。
効果や効能に関して
広告の健康食品を摂るだけで、運動や食事制限を行わなくても痩せられるなど、効果や効能を大げさにうたうものには注意する。また、医薬品ではないのにシミやシワが取れる、髪が増えるなどとうたう化粧品は広告・表示上のルールに違反しているので注意する。
商品の比較検証サイトに関して
インターネットでは、広告主からお金が支払われているにもかかわらず、客観的第三者のように装い商品を比較したり推奨しているサイトが存在するので注意する。
販売条件などの記載に関して
通信販売などの広告の中には、商品の発送時期や返品条件の記載が不十分であったり不明確なものがあるので、購入に先立ってきちんと確認する必要がある。
消費者が信頼できる広告へ
広告規制などは行政が行うものと思っていましたが、広告に関係する企業が自ら集い、設立した民間の自主規制機関が、広告・表示の適正化に取り組んでいることを知りました。
取材を通してJAROの担当の方が「広告へのご意見をお寄せください。みなさんの意見がより良い広告を作ります。広告する側と消費者が信頼し合えるように」と何度も言われていました。不適切な広告がなくなり、よい広告を育てていくためにも、おかしいと思ったらすぐに相談すること、良い広告に対しては称賛の意見を伝えることが大事だと感じました。
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