トップページ > 取引・表示指導 > 処分事業者等一覧 > 「ゴキブリの卵がある」等と嘘を告げて害虫駆除・対策の役務提供契約を勧誘する訪問販売事業者2社に業務停止命令(12か月) > 相談事例(株式会社ORBITAL PERIOD、株式会社サービス)
更新日:2025年3月28日
令和6年夏の深夜、甲宅にゴキブリが出た。
甲は、これまでゴキブリを見たことが殆どなく、恐怖と驚きでパニックになった。
スマートフォンで駆除方法を検索すると、一番上に駆除業者の広告が出た。広告には料金が「550円~」等と書いてあったので、甲は、薬をまくことになったとしても、せいぜい2千円位だろう、それなら現金で払えると思い、連絡した。
すると、業者は「薬をまくと、もしかしたら高くなるかもしれないです。」と言ったが、具体的な金額は言わなかった。
その後、作業員Aから電話があり、部屋の大きさを尋ねられた。
甲が答えると、Aは「その部屋の大きさだと、●畳だと1万円位かかっちゃうかもしれません。」と言い、それから30分以上経って訪ねてきた。
これまでの電話や訪問時、業者は、害虫なんとかや110番とは名乗っていたが、「株式会社ORBITAL PERIOD」とは名乗らなかった。
甲が会社名を初めて認識したのは、後刻、交付された作業請負契約書を見た時のことだった。
Aは、室内を一通り見た後、2種類のスプレーをまいたが、どこからもゴキブリは出て来なかった。
すると、Aは、部屋全体にまく薬や燻煙材など数種類の薬剤を使う約19万円の契約内容を提示した。
甲は、電話でのAの言葉から、高くても1万円位だと思っていたため、「高いですね。全部やらなきゃいけないんですか。」と尋ねた。
そうしたところ、Aは減らせると言い、約●●万円の契約内容を提示したが、甲にはそれでも高かったため、契約を渋っていると、Aは「何を悩んでるんですか。」等と言い、急にせかし始めた。
甲が金額の高い作業を減らせないか尋ねたところ、Aがイライラした様子で、「いや、だから~、これとこれが一緒だから、これは絶対に一緒にやらないといけないんです。」、「この後僕、作業あるんですよ。」等と言い、契約内容を減らすことが許されない雰囲気になったため、甲は焦ってしまい、もうこの金額で仕方がないと作業を依頼した。
契約書作成後、Aから「お支払方法はどうしますか。」と尋ねられた。
甲が「何が使えるんですか」と尋ねると、Aは「クレジットカードは使えますが、手数料が余計にかかるから、お勧めはしません。」と言った。
甲は、実質現金払いだけかと思い、「口座から降ろしても●万円位にしかなりません」と言うと、Aは「それでも良いです。残りは後日銀行の方に振り込んでください。」、「これから作業に取りかかります。今からお時間30分から40分かかるので、作業しているうちにコンビニに行ってお金を下ろしてきてください。」と告げたので、甲は、深夜にもかかわらずお金を下ろしに行かざるを得なかった。
甲が、15分ほど外出し自宅に戻ると、Aは道具を片付け終わっていた。
甲の外出時には、まだ作業開始前だったので、甲は、道具を準備し始めてからの全ての作業がたった15分で終わる筈がないと思った。
また、契約書に記載の薬剤の量は、数リットルであり、こんなに早くまき終わる筈もなく、部屋も乾いている状態だったので、甲は疑問に思った。
翌日、甲は、クーリング・オフ通知を送った。
しかし、業者からは「契約書に書いてあることは全部やった。支払った分の返金には応じない。振込予定だった金額は免除する。」と回答された。
甲は、全額返金してもらいたかったが、追加で払わされるよりは、割り切って納得するしかないのかなと思い、返金を諦めるしかなかった。
令和6年夏、乙は、自宅内でアリのような小さな虫を見かけるようになった。
乙は、とても虫が苦手だったので、インターネット検索したところ、「税込550円~」「最安レベルに挑戦!」「追加料金一切なし!」「出張見積もり0円!」「現地キャンセルOK」と広告している業者を見つけた。
乙は、数匹レベルであれば550円で済むのかと思い、業者に連絡した。
乙が出張費について確認すると、業者は、「出張費は無料で間違いない。」と告げたが、その他の料金に関する説明は一切なかった。
訪問前、作業員Bから電話があり、「ゴキブリが出たということで間違いないか。」と尋ねられたので、乙が、本当にゴキブリで間違いないのか尋ねたところ、Bは、「その辺も含めて見せていただきますね。」と言い、深夜に来訪した。
これまでの電話や訪問時、業者は「害虫110番です。」とは告げたが、「株式会社ORBITAL PERIOD」とは告げなかった。
自宅前で出迎えた乙と共に入室したBは、乙には何も見えなかったにもかかわらず、玄関でいきなりシュッシュと何かを撒くと、「ゴキブリがいた。洗濯機の下に逃げ込むのを見た。」と告げた。
その後、Bは室内を確認し、「ゴキブリの卵は、洗濯機の下とトイレの棚の奥の2箇所に一つずつある。」、「洗濯機の下には、複数のゴキブリの幼虫とフンが存在する。」、「これは凄くよくないです。卵があるという事実と幼虫が何匹かいるという事実から、成虫も何匹かいると思う。卵が産まれるということは集合体フェロモンが溜まっているので、他のゴキブリも集まりやすい状態で非常に危険な状態です。」、「シャワールームの天井裏にもゴキブリの糞があった。」、「冷蔵庫内部にもゴキブリの糞があった。」等と告げた。
さらにBは、「数日間家を空けると、ゴキブリの卵がふ化して、帰宅して扉を開けた瞬間、ゴキブリが飛び交っているかもしれませんよ。」、「取り返しがつかなくなる。」等と何度も告げ、「本当に、数年間姿が見えないようにするには33万円のプランが必要。卵が産まれるくらいフェロモンが溜まっているので、普通にしていたらゴキブリが集まってくる可能性が高い。」等と告げた。
乙は、気が動転して泣いてしまった。
乙が電話で家族と相談すると、契約を反対された。
Bは、放置した場合のリスクを終始強調したが、乙と家族が納得しなかったため、Bの態度が徐々に高圧的になった。
乙は、「もう、今日は大丈夫です」と契約しない旨を伝えたが、Bは放置した場合のリスクを改めて強調し、再度契約するよう何度も強く勧めた。
しかし、乙と家族は、はっきりと「今日は大丈夫です。」と断った。
すると、Bは、「それでもいいのであれば、基本料金だけいただきます。」と言った。
乙は、「出張費はゼロなんじゃないですか。」と確認したが、Bは、「僕は待ち合わせて一緒に入室するところからやっているんですよ。入室した時点で、ゴキブリが嫌がる薬の散布もしています。なので、この料金はいただきます。」と主張した。
乙は待ち合わせて入室すると料金がかかることやゴキブリが嫌がる薬の散布についての説明は受けていないと思い、乙と家族が2、3回断ったが、Bは20分近く説得してきた。
乙は、さも当然かのように請求してくるBを怖いと思い、やむを得ず請求に応じることにした。
翌日、家族で家中を確認したところ、駆除を依頼しなかったにもかかわらず、ゴキブリの成虫、幼虫、卵、糞などは一切見つからなかった。冷蔵庫内のゴキブリの糞と言われたものは、バナナの皮の黒い部分が千切れて落ちていたものだった。
また、Bは、シャワールームの天井裏にゴキブリの糞があると言っていたが、天井裏はそれなりに高く、踏み台や脚立などを持参していなかったBに確認できる筈がなく、実際に天井裏を確認したが、ゴキブリの糞などは何も見当たらなかった。
令和6年夏の深夜、丙宅にゴキブリが出た。
インターネット検索したところ、「駆除料金550円」「クレジットカード可能」「受付時間24時間、365日」「到着時間10分」「出張見積もり0円」「現地キャンセルOK」などと書いてある広告を見つけた。
丙は、来てもらうだけなら無料だと思い、この業者に連絡した。
業者からはゴキブリの状況や住所を尋ねられたが、作業内容や料金の話はなく、後刻、担当者から電話する旨を告げられた。
しかし、担当者からの連絡前に家族がゴキブリを退治した。
そのため、担当者Cから電話がかかってきた際、丙は「もう倒しちゃいました。もう終わっちゃったんですけど。」と伝えた。
ところが、Cは「とりあえず伺います。」と告げたため、丙は、ゴキブリはいないのに何しに来るんだろうと疑問に思ったが、とりあえず来訪を承諾した。
この時、Cから作業内容や料金について説明されなかった。
Cらの来訪時、丙は、既にゴキブリは退治済みであることを2回伝えたが、Cらは「どこですか。」とゴキブリが出た場所を尋ね、「じゃあ失礼します」とのみ告げ、入室した。
これまでの電話や訪問時、業者は「害虫110番です。」とは告げていたが、「株式会社ORBITAL PERIOD」とは告げていなかった。
入室直後にCからもらった名刺にも、害虫110番の記載はあったが、会社名の記載はなかった。
丙が会社名を認識したのは、Cらの退去後、改めて作業請負契約書を確認した時のことだった。
その後も丙は、ゴキブリはもういない旨を伝えたが、Cは「すぐチェックするんで。」と言い、Dが自宅内を探し始めた。
しばらくすると、Dが「ありましたよ、卵。」と言い、脱衣所の棚の下を指差した。
丙が確認すると、奥に黒い塊があった。
Cが「孵化したら、とんでもないことになりますよ。卵は除去しないとダメですよ。」と言ったため、丙が卵除去の料金を尋ねると、Cは「12万円位です。」と答えた。
丙が「高いですね。」と言うと、Cは「でも皆さんされていますよ。しないと大変なことになりますよ。ゴキブリ王国になりますよ。」と言ったため、丙は、ゴキブリ地獄になるよりは、除去してもらった方が良いかなと思った。
その後、Dが家中に薬剤をまいたところ、家族の部屋からゴキブリが出てきた。
Cは、「これはもう完全に孵化していますよ。絶対卵ありますよ。2週間もしたら卵が孵化して、リアルゴキブリハウスですよ。マジやばいですよ。」と全放出型駆除剤を勧めてきた。
Dがそのゴキブリを退治しようとしたが逃げられ、見つからなくなってしまったことから、丙は全放出型駆除剤をやらざるを得ないと思い承諾したが、そのゴキブリは、Cらが他の場所を作業している間に家族が退治した。
その後、丙が契約書に署名すると、Cは「金額は、●●万円です。現金でお願いします。」と言った。
丙は手持ちの現金が1万円位しかなく、広告にはクレジットカード払い出来ると書いてあったのにと思った。
しかし、Cの現金しか認めないという圧に反論出来ず、深夜にもかかわらず、「コンビニに下ろしに行ってきます。」と言って現金を用意せざるを得なかった。
後日、丙は、家族と家中を掃除し確認したが、Cが「絶対卵ありますよ。」と告げた家族の部屋を含め、卵もゴキブリの死骸も一切出てこなかった。
出てきたゴキブリは全て家族が退治したので、業者は本来の目的を達成できておらず、退治以外の作業が増えただけだったと思い、丙はクーリング・オフ通知を送付した。
ところが、業者は「訪問前に電話でおおまかな作業内容や金額を口頭説明しており、訪問販売には当たらない。●●●●円の減額なら応じる。」と契約金額の5%にも満たない金額の返金を主張した。
そのようなことは言われたため、丙は交渉を諦めざるを得なかった。その後も返金はされていない。
令和6年夏の深夜、丁宅にゴキブリが出た。
丁は、ゴキブリが苦手で、自分ではゴキブリを駆除出来ないと思い、インターネット検索したところ、「550円」「最短10分で到着」「深夜料金0円」「追加料金一切なし」「クレジットカードが利用可能」「キャンセル費用はかかりません」「お見積りにご納得いただいてから作業開始」「30日間再発防止保証」等と広告に書いてある業者を見つけた。
丁は、「ゴキブリ駆除が追加料金なしで550円なのか。」と思い、連絡した。
丁が電話で状況を話すと、業者は「基本料金は●千●●円です。」と告げた。
丁は、「550円じゃないんですか。」と尋ねたが、業者は、「いや、●千●●円です。」と告げたため、丁は押し問答するより早くゴキブリの問題を解決した方が良いと思い、そのまま依頼した。
その後、作業員Eから電話がかかってきた後、Eが到着したが、これまでの電話や訪問時に、業者は「害虫110番です。」とは告げたものの「株式会社ORBITAL PERIOD」とは告げなかった。
丁が会社名を認識したのは、後刻、クーリング・オフをするために作業請負契約書を確認したときのことだった。
入室すると、Eは、すぐに「どんな感じですか。」と質問したため、丁は、ゴキブリが出た状況を伝えた。さらにEは、「薬をかけていいですか。」と尋ねたため、丁は了承した。
するとEは、部屋中に薬をかけ、「隠れているところから出てくるスプレーなんです。」と言い、作業を始めた。
しかし、Eは、料金については一切説明しなかった。
しばらく待ってもゴキブリは出てこなかったが、Eは、「洗濯機の下にいる。」、「洗濯機の下からゴキブリの音がする。」と告げた。
丁には全く音が聞こえなかったが、Eは、姿の見えないゴキブリに向かってスプレーをまいていた。
さらにEは、「今度は、もっと本格的な強い薬をまきますね。」と言い、薬の名称や効果、料金について何も告げないまま薬をまいた後、「音もしなくなったし、死んでますね。」と告げたが、丁は、「最初から音はしなかったけどな。」と思いながら聞いていた。
Eから、ゴキブリが入ってこられないようにしないといけないと言われたため、丁が料金を尋ねると、Eは、「20万円、30万円はかかりますね。」と答えた。
丁が「それは無理ですね。」と断ったところ、Eは、「今の時点で●万●千円位です。」と、基本料金の数倍の金額を告げた。
丁が「●千●●円としか聞いていませんよ。そんなにかかっているって聞いてないんで、ちょっと待ってもらっていいですか。」と言って作業を中断させると、Eは、「電話で、状況によって追加でお金がかかるかもしれないって話はしていると思います。」と告げた。
丁は、「いや、そんな話はしていないですよ。」と言ったが、Eは、「自分も現場で説明したし、電話でも言っているはずです。」と主張した。
しかし、Eが料金の話をしたのは、この時が初めてだった。丁は、これ以上この話をしても埒が明かないと思い、Eに内訳を尋ねると、「基本料金と死骸処理●万円くらい。深夜作業代が●千円くらい」と答えた。
丁は、Eに「ネットに深夜料金は0円と書いてあった。おかしいでしょ。」と言うと、Eは、「深夜遅くに作業しているんだから、かかるのは当然。」と広告とは異なることを告げた。
丁が何度もおかしいと主張したところ、ようやく深夜作業代は取り下げられた。
しかし、死骸処理代については、丁が「ゴキブリが死んだのを見ていない。そもそも洗濯機の下は見えない。あなたも確認出来ないじゃないか。」と主張し、何度も契約するつもりはないことを伝えても、Eは、「もう作業している。お金は発生している。」の一点張りで一向に譲らなかった。
結局、Eが30分以上死骸処理の契約をするよう迫り、お金を払わないと帰ってくれそうになかったため、丁は渋々契約に応じざるを得なかった。
次の夜、丁が前夜に見たのと同じ色やサイズのゴキブリが出てきた。
丁は、本当に処理してくれたのか、ますます怪しいと思った。
そこで丁がクーリング・オフ通知を送ると、業者から電話がかかってきた。
しかし、「グダグダ言ってるんじゃねえ。」等と怒った口調で高圧的に言われたため、丁は返金を諦めざるを得なかった。
その後、丁は連絡することは出来ず、返金はなかった。
令和6年初夏の深夜、戊宅にゴキブリが出た。
戊は、生まれて初めての事態に驚き慌ててしまい、自分ではどうすることもできないと思い、業者に来てもらおうと思った。
インターネットで検索し、一番上に出た広告をタップすると「550円~」「最安レベルに挑戦!」「追加料金一切なし!」「出張見積もり0円」「クレジットカードをご利用いただけます」とあった。
戊は、550円でゴキブリを駆除してもらえると思い、すぐに連絡をした。
すると、作業員から連絡させると言われた。
その後、作業員Fから電話があり、到着予定時間を知らされた後、Fが訪ねてきた。
これまでの電話や訪問時、業者は「害虫110番です」とは告げたが「株式会社ORBITAL PERIOD」とは告げなかった。
入室直後、Fは、「駆除の基本料金は●万●千円です。」と告げた。
戊は、「広告と違う。」と思ったが、もう来てもらっているので仕方ないと思い、「わかりました。」と答えた。
Fは、スプレーを撒いてゴキブリを探し始め、10分後、「見つけた。」と言い、戊にゴキブリの死骸を見せてきた。
しかし、戊は、自分が見たゴキブリとは色が違うと思った。Fは、「まだ他にもいるかもしれない。」と言い、クローゼットの中を見ていた。
約5分後、Fは「奥に卵があった。」と言い、「出てきたゴキブリと卵の種類が違うからゴキブリはまだいっぱいいる。」と告げた。
戊は、恐怖でパニックになり、冷静な判断力を失い、Fに勧められるがまま●●万円の契約に応じてしまった。
契約書に署名後、戊が支払方法について尋ねると、Fは「現金しかダメ。」と告げた。
戊は、手元にお金がないこと、広告にはクレジットカードが使えると書いてあったことを伝えたが、Fは、「信用できない。」、「現金の方がよい。」と言い、さらに「今からコンビニに行って下ろしてきて。」と告げた。
戊は、深夜にもかかわらず、お金を下ろしに行かざるを得なかった。
翌日、戊はクーリング・オフ通知を送ったが、後日、業者は、「クーリング・オフは無理。1割しか返せない。」と主張した。
戊は、できるだけ多く返して欲しいと思い、戊らは交渉を継続したが、業者はなかなか応じようとしなかった。
数週間にわたり、何度交渉しても業者がクーリング・オフに応じないことから、戊は、業者側から提示された半額にも満たない一部返金額に了承せざるを得なかった。
その後、業者は、戊から受領した金銭の一部を返金したものの、全額返金を行わなかった。
令和6年初夏の深夜、己は、ゴキブリではない小さな虫に悩まされていたため、相談可能な業者をインターネットで探し、害虫110番の広告を見つけた。
広告を見ると、「全国最安値レベルに挑戦中!!」「税込550円~」と記載されていた。業者に連絡をしたところ、Gと名乗る者から電話があり、己がゴキブリや害虫の駆除依頼ではないこと、小さな虫の対策をしたい旨を伝えたところ、Gらの訪問を受けるに至った。
なお、これまでの電話や訪問時に、業者は「害虫110番」とは告げたが、「株式会社ORBITAL PERIOD」とは告げなかった。
また、Gが己に渡した名刺にも、「害虫110番」との記載はあるが、会社名の記載はなかった。
己が会社名を認識したのは後刻、業者が作業請負契約書を交付した際のことだった。
Gは、室内に入ると「エントランス近くのゴミ捨て場にゴキブリがいたから、お部屋に出てもしょうがない」と告げたが、己は、ゴキブリには困っていないので既に発生している虫の対策をして欲しい旨を伝え、室内を確認してもらった。
すると、その虫のほかにも数種類の虫の死骸が室内で見つかった。
洗濯機のあたりを確認していたもう一人の作業員Hが、Gの名前を呼んだ。
Gは、名前を呼ばれただけなのに「もしかして、あった。」と返答した。
Hが、「黒ゴキブリの卵しょうとフンがあります。」と告げると、Gは、己に対し洗濯機の横の隙間を確認するよう促した。
しかし、己には埃しか見えなかった。
そこで、何回も「どこですか。」と尋ねたところ、Hは、「見えづらいんですけど、すごい奥なんですよね。」と告げた。
己にはそれらしきものが全く見えなかったが、業者が言うことなので、信じてしまった。
己が「卵しょうって何ですか。」と尋ねると、Gはスマホで写真を見せながら、「硬い殻で守られていて、それが今数個あるんですよ。見た感じ、産卵されて数週間経っているから、ひょっとしたらこれ、すぐ産まれちゃいますよ。」、「産卵されているから、もうこの部屋には親のゴキブリが出てるってことです。」、「卵って一個の卵からもう何十匹と産まれてくるから、すごい大量生産されちゃいますよ。」等と告げた。
己はとても焦ってしまい、冷静な判断が出来なくなり、「あるんだったら、すぐ除去してください。」、「産まれる前に卵とフン取って下さい。」と伝えた。
するとGは、「料金は上がっちゃうけどいいですか。」と言い、具体的な金額は告げないまま、作業手順を説明した。
己が「お願いします。」と言うと、Gはそのとき初めて、●●万円という合計金額を提示し、すぐに作業に取りかかろうとした。
己は、金額があまりに高額だったため、家族に相談したい旨を伝えたが、Gらが作業道具を全部出し始めたため、己は、作業を止められないと思い、承諾してしまった。
業者の退去後、己は、ふと卵を取ってもらったのか気になった。
洗濯機の横の隙間を確認すると、卵を取ったのなら埃も動く筈なのに、最初に見たときのまま、いじられた形跡がなかった。
不審に思い、改めて別のゴキブリ駆除業者に相談することにした。
数日後、別業者に来訪の上確認してもらったところ、「卵もフンも何にもないですね。」、「卵を取るときは、そのあたりの掃除もしますし、大きい道具というか、業者しか使わないようなものを使ったりするので、埃がちょっとは動いているはずなんですよね。ただ、全くそんな感じもないので、ここは何もされていないと思います。だから、卵はそもそもなかったと思いますよ。」と言われた。
数日後、己がクーリング・オフ通知書を送付したところ、業者は、「クーリング・オフには応じないが、10%の減額には応じる」と主張した。
その後、業者より「早く解決するため、返金希望額を言ってほしい。」と打診されたため、己は「クーリング・オフなので、もちろん全額返金が希望だが、せめて半額は返して欲しい。」と伝えた。
ところが、業者からの回答は半額にも満たない金額であった。
己は、1か月にわたって何度も交渉したが、一部返金を受け入れざるを得ず、業者からの全額返金はなかった。
お問い合わせ先
東京都生活文化局消費生活部取引指導課取引指導担当
電話番号:03-5388-3073