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更新日:2023年3月7日

≪参考資料≫ 相談事例(株式会社Pioneer、円山泰誠、株式会社Monolith、株式会社President

≪参考資料1≫ 相談事例(株式会社Pioneer、円山泰誠、株式会社President)

【事例1】

 令和4年3月、甲はマッチングアプリで知り合ったA(勧誘者)から「〇日に会えない?」とメッセージが届き、承諾した。甲は、約束の日にAと喫茶店で会い、Aから「今、ビジネススクールに通ってるんだ。」「スクールに通って人生が変わった。」「人生の目標となる人を見つけた。」と言われた。甲はAから、お世話になっている人の話を聞かないかと誘われたが、「日程は厳しい。」と断った。しかし、Aがしつこく予定を聞いてきたため、甲は「本当に話を聞くだけなら。」と承諾した。この時、甲はビジネススクールの事業者名は聞かされなかった。
 約10日後の午前9時頃、甲はAに連れられて喫茶店に行くと、少ししてB(勧誘者)とC(勧誘者)が現れた。Cはメモを書きながら、資産形成の大切さやバイナリーオプションについて説明をし、「うちのビジネススクールで学ぶことができる。」「ちゃんと勉強すれば、バイナリーオプションで稼げるようになる。」「バイナリーオプションで、1万円を何百万円に増やした人もいる。」と話した。また、Cは、1人紹介すると10万円の紹介料がもらえると説明した。Cは、ここで初めて、ビジネススクールの事業者名は「株式会社GL(旧社名)」で、ビジネススクールの名称は「SOB」だと言った。Cは「うちの会員になるためには、42万9千円が必要。」「この金額は、ビジネススクールだと安い。」「一度払ってしまえば、ずっと会員でいられる。」「追加料金は一切ない。」と説明した。甲は「40万円も持ってないです。」と断ったが、Cは「ローンを組むことになるよ。」と言った。甲は、よく考えてから決めたいと思い、「一旦話を持ち帰りたい。」と言ったが、Bから、「話を持ち帰ったら、どうせ入らないよ。」と言い返された。Bは続けて、「月に1万円くらい返済していけばいい。月1万円だったら返せるでしょう。」「借りた額はビジネススクールで稼げる。」と話した。甲が「他のビジネススクールと比べてから決めたい。」「家族に相談したい。」と言うと、Aから「どうやって比べるの?」「ネットの情報は全てじゃないよ。」「家族はそういうことに詳しくないから、どうせ否定してくるよ。」と全て切り返された。Cは「ここで入らなかったら、それは『逃げ』だ。」と言った。
 甲は、A、B、Cの3人から、絶対に逃がさない、YESと言うまで帰さない、という圧を感じた。甲は、約2時間も勧誘を受け続け、精神的に疲弊してしまい、仕方なく契約することにした。甲はBから「とりあえず3つの消費者金融に審査申込みだけ出してみよう。」と言われ、消費者金融のアプリをダウンロードした後、AとBに連れられて事務所に行った。
 事務所に着くと、AとBが甲の両隣に座り、スマートフォンで消費者金融の申込みをするよう指示した。甲はBから、借入金額を「50万円」、収入を「年収150万円」、借入目的を「生活費」とするように言われ、職業を「学生は選ばないように。」と言われた。甲は虚偽の入力をすることに対し不安を感じたが、Bの慣れた口調に乗せられて、指示に従ってしまった。消費者金融からお金が借りられることになると、甲はAに連れられて近くのコンビニエンスストアのATMに行き、指定された口座にお金を振り込んだ。
 事務所に戻ると、甲はBから概要書面と契約書面を渡されて契約の説明を受けた。Bは概要書面の内容をかいつまんで説明し、「あとは自分で読んでおいてね。」と言って中途解約に関する説明はしなかった。甲は契約書に署名し、タブレットを受け取ったものの、タブレットは貸与された物だと認識していた。契約が終わり、甲が事務所を出たのは午後8時頃であり、Aと会ってから約11時間も経過していた。
 甲がセミナーに出席すると、2回目から1回500円かかるという説明があった。甲は、契約時に追加費用は一切ないと説明されており、500円の費用が発生するという話は初めて聞いたため話が違うと感じた。
 甲は、Aと会員Dから誰かを誘うように言われ、2人に囲まれて友人に電話を掛けた。甲は、これまでミーティングで、「自分も最初は怪しいと思ったけど、入ってみたら安全だった。」と言うように指示されていたので、友人にはそのとおりに話した。友人が「そこの会社名教えて。」と言うと、Dは横から、「それを知りたいならぜひ聞きに来て。」と言うようにメモを差し出し、会社名を教えないよう指示した。甲はBから、以前のミーティングで「最初に誘う時は、紹介料とかお金の話はしない方がいい。」と言われていたことを思い出し、話を聞きに来ないかというようなことしか言わなかった。友人は「考えておくよ。」と言い、切電した。しばらくして、その友人から「会社名を教えないなんておかしい。」と連絡が来た。甲はその言葉で目が覚め、ビジネススクールをやめたいと思うようになった。
 甲は消費生活センターに相談し、事業者に中途解約を申し出た。

【事例2】

 令和3年12月、友人E(勧誘者)から乙に突然電話があり、「来週空いている日ある?お金の勉強に興味があったら、すごい人の話を聞きに行かない?」と誘われ、乙は翌週会う約束をした。乙はこの時、ビジネススクールの名称や運営会社のことは一切聞かされなかった。
 乙は、約束の日の午後3時30分頃、Eと喫茶店で落ち合った。乙がEと喫茶店にいると、ビジネススクールの役員だというG(勧誘者)がやって来て、EはGを「すごい人だ。」と紹介した。
 Gは、乙に対して現在の世の中の仕組みを話したり、乙の将来の夢を聞いたりした後、「夢を叶えるために、こんなスクールがあるよ。」と言い、「SOB」というビジネススクールの紹介を始めた。Gは、このビジネススクールでは、資産形成のうちバイナリーオプションを主に教えていると言った。Gが「2040年には仕事がどんどんなくなる。今のうちに勉強しておかないと。今、勉強を始めよう。」と、将来に対して不安を煽るようなことを言ったため、乙も徐々に「そうした方がいいのかな。」と思うようになった。するとGは「スクールに入会するために42万9千円の入会金が必要」と説明した。乙は学生であり、アルバイトの収入ではとても支払えないと思い、「お金がないので支払えない。」と断った。しかしGは「借金すればいいよ。みんな借金しているよ。」と言い、具体的な消費者金融の名を複数挙げ、借入れを勧めた。乙は、借金をしたくなかったので、「親に相談して、親からお金を借りてもいいですか。」と聞くと、Gは突然不機嫌になり、「親には相談しないで自分で決めるべきだ。」と強く言った。乙は、Gの高圧的な言い方や態度に恐怖を感じ、それ以上は何も言えなかった。Gは「紹介料として10万円もらえるので、人を誘って稼ぐこともできる。」と言った。乙が決めきれないでいると、Gに「とりあえずビジネススクールを見に行こう。」と言われ、乙は言われるがまま事務所に向かうことになった。
 乙がEに連れられて事務所に行くと、Eの先輩のF(勧誘者)が現れ、乙に「スマートフォンから消費者金融の申込みができるよ。」と消費者金融の借入れの申請をするよう指示した。乙はまだ契約するか決めていなかったため戸惑ったが、どんどん話を進めるFに流されて、指示に従ってしまった。乙は、自身の貯金と、消費者金融から借り入れるお金で42万9千円を用意することにした。乙は、貯金が全て無くなってしまうことに不安を覚えた。乙が、申請をするために正直に入力していると、Fがスマートフォンの画面を覗き込み、「これでは申請が通らないよ。年収は借金額の3倍を書かないとだめ。年収90万円と書いて。」と言った。乙は、この時まで2時間以上も勧誘を受けて非常に疲れており、断る気にもなれず、指示に従った。
 借入れを申し込んだ消費者金融から乙のもとに電話がかかってきた。乙は電話で、「誰かに指示をされていませんか。」と聞かれたが、Fが筆談で、「誰もいないって言って。」と再三指示をしたのでそれに従った。
 消費者金融の審査が下りると、乙は、EとFに連れられて、事務所近くのコンビニエンスストアに向かい、ATMで消費者金融から借り入れたお金を下ろし、そのまま銀行のATMに行き、自身の貯金と合わせて指定された口座に振り込んだ。EとFは、振込が完了するまでずっと乙の両脇にいた。
 乙が入金を終えて事務所に戻ると、Gからビジネススクールの役員だというH(勧誘者)を紹介された。Hは、乙に概要書面を見せ、内容を説明した。乙はHから言われるままに契約書に署名し、Hから「これから使っていくタブレットだよ。」とタブレット端末を渡された。契約が終わり、乙が事務所を出たのは深夜の午後11時30分で、Eに会ってから約8時間も経過していた。乙は長時間の拘束で疲れ果ててしまった。
 乙は帰宅後、よく考えると、親に相談させてもらえなかったことなどを不審に思った。そこで、乙は消費者センターに相談した。

【事例3】

 令和3年9月、丙は、マッチングアプリで知り合ったI(勧誘者)と初めて会って食事をした際、「今、お金の勉強をしている。」と言われた。丙が「楽しそうだね。」と言うと、Iから「知り合いを紹介してあげるから話を聞いてみよう。」と言われたので、丙はこれを承諾した。
 1週間後の午前9時頃、丙は、Iとその知り合いのJ(勧誘者)の待つ喫茶店に行った。丙は壁側の席に案内され、隣にIが座った。丙がJから資産形成の話を聞いていると、K(勧誘者)が現れた。Kは、お金の勉強ができるビジネススクールを紹介し、そこに通って稼いだ人の話をして、入会すればバイナリーオプションを学ぶことができること、入会金として42万9千円が必要だということ、人を紹介すると10万円の紹介料が得られることなどを説明した。この時、I、J、Kから、事業者名や代表者名は聞かされなかった。丙は、アルバイトはしていたが、1か月に3万円から5万円の収入だったため、「お金がないので支払えない。」と断った。するとKは「消費者金融で借りればいい。」「自分も最初は借りた。」「やるなら即日がいい。」と言った。丙は、断って帰りたかったが、Iと壁に挟まれて通路に出ることができなかった。Kから「今日契約しよう。」「詳しい話は事務所でしてもらえる。」と強く言われて断り切れず、仕方なく事務所に行くことを承諾した。
 丙がIに連れられて事務所に行くと、幹部らしきL(勧誘者)を紹介された。Lはビジネススクールの説明をして、「ここに来て、言うとおりにやれば稼げる。」「続けていれば、入会金の42万円もすぐに回収できる。」と言った。丙は不審に思い、インターネットでビジネススクール名を検索し、初めて、運営会社が「株式会社GL(旧社名)」であると知った。
 丙はIと事務所にいた会員Mから「消費者金融でお金を借りよう。」と言われ、断り切れずスマートフォンで申込みフォームに入力していった。すると、IとMが画面を覗き込み、入力内容を確認して「学生と書いたら貸してくれないから社会人に直して。」「収入月5万円では貸してもらえないから10万円に盛って入力して。」と指示をした。丙は、金融機関を騙すことになると思い、不安を感じたが、入力の都度IとMが確認し、訂正するよう言ったため、やむなく従うしかなかった。
 その後、丙はIに連れられて、代表の住んでいるタワーマンションに向かい、ラウンジで代表と会った。代表は、「今決断しないと情けない。」「ごねるのは男らしくない。」と丙を強く説得した。さらに、Iからも説得されたため、丙は断り切れず、事務所に戻って契約することになった。事務所に移動する間に、消費者金融から審査終了の連絡がきたので、丙はIと近くのコンビニエンスストアのATMに行き、契約代金を下ろした。
 丙が事務所に戻ると、別の会員Nから契約について話があり、タブレットに入っている情報商材で学習するという説明がなされた。その後、概要書面と契約書面を読むよう指示され、丙が読み終わると、契約書に署名するよう言われた。丙が事務所を出たのは午後5時過ぎで、IとJと会ってから約8時間も経過していた。
 その後、丙はこの契約を不審に思ったので、消費生活センターに相談した。

 

≪参考資料2≫ 相談事例(株式会社Monolith、株式会社President)

【事例1】

 令和4年5月、丁は、マッチングアプリで知り合ったA(勧誘者)から、「ビジネススクールに通っている。」「お金持ちになれる。」と言われた。丁はAから「1回会って話さないか。」と言われ、会うことになったが、Aと飲食するだけだと思っており、ビジネススクールの話になるとは思っていなかった。
 後日、丁はAと会い、Aから「ビジネススクールに通えばやりたいことができるよ。」「いいお家に住めるよ。」とビジネススクールへの入会を勧められた。丁は「興味ないし、その話はいいよ。」と断った。それでもAが引き下がらなかったため、丁は「どうやって稼ぐの。」と聞いた。Aは「ビジネススクールに通えば稼げる。」と答えたが、具体的な話はなかった。丁はAから「1回ビジネススクールの話を聞いてみよう。」としつこく言われ、承諾するまで帰してくれないと思い、仕方なく次に会う約束をした。この日、ビジネススクールの事業者名は聞かされなかった。
 約束の日の午前9時30分頃、丁はAと喫茶店で待ち合わせをした。20分ほど経ってから、B(勧誘者)が現れた。Bは足を組み、とても偉そうにしており、丁は怖い印象を受けた。Bはバイナリーオプションについて説明し、ビジネススクールに入るための入会金として、42万9千円が必要との説明をした。Bはさらに「この金額を支払えば、月謝もなく、追加費用は一切かからずスクールに通えて、永久フォローがついている。」と言った。丁は、貯金から支払うと生活ができず困るため、「お金がないので、私はできないです。」と伝えた。するとAとBは「お金がないなら借りればいいよ。」「入ったら絶対に稼げるようになる。」「セミナーを聞けば稼げるようになる。」と言ったが、具体的な稼ぎ方の説明はなかった。また、AとBは「友達と一緒に稼ぐこともできるよ。」と言い、誰かを誘った時にもらえるボーナスの種類の説明をした。丁は「貯金もなくてお金がない。」「学生で忙しく、そんなに行けない。」と言って20分以上断り続けた。しかし、丁はAとBから「お金を借りればいいよ。」と言われ、圧を感じたため断れなくなってしまった。丁が「家に帰って考えたい。」と言っても、Bから当日契約するように言われた。Bは「やりたいかやりたくないか言って。」と丁に言い、やりたくないとは言える雰囲気ではなく、丁は諦めのような形で「やります。」と言った。
 丁は、お金の借入手続と契約手続のために、Aに連れられ、ビジネススクールの事務所に移動した。Aから、消費者金融1社だと50万円を借りられない可能性があるという理由で2社に申し込むように言われ、Aの指示どおりにスマートフォンから入力した。丁が入力している最中、Aは、職業欄に「学生」ではなく「フリーランス」と入力するよう指示したり、年収を多く入力したり、使途を「生活費」とするよう言った。丁は「嘘つくのはダメなんじゃないの。」と言ったが、Aに「それは別にいいよ。」と流されてしまった。丁は、Bから、当日42万9千円全額を支払うように言われたため、丁は消費者金融から借りたお金と自身の貯金を合わせて代金を用意することにした。丁はBに連れられてコンビニエンスストアのATMに行き、お金を下ろしてから事務所に戻り、Bに代金を手渡しで支払った。
 その後、丁はBから概要書面の説明を簡単に受け、契約書に署名した。丁は契約書類を受け取り、この時初めて、契約したものがタブレットであること、ビジネススクールの名称が「ABC」であることが分かった。契約が終わり、丁が事務所を出たのは午後5時くらいで、Aと会ってから7時間以上も経過していた。丁は、長時間の勧誘で疲れ切ってしまった。
 後日、丁がセミナーに参加したところ、初回は無料だが、参加費が1回500円かかるという話を初めて聞かされた。さらに、丁は外部で開催したセミナーの費用として5,000円の出費を強いられた。
 その後、丁はお金に困り、AやBに相談したが、クレジットをリボ払いにするといいなど、更に借金を増やすような提案をされた。また、丁はAから「人を紹介して稼げるよ。」と言われたが、紹介したくなかったので辞めることを決意し、事業者に中途解約を申し出た。その後、消費者センターにも相談した。

【事例2】

 令和3年10月、戊は友人C(勧誘者)から、SNSで近況を問う連絡を受けた。戊が返信をすると、「将来、〇〇歳くらいで起業したい。起業した際に一緒に働かないか。」という話が返ってきた。戊が「面白そうだね。」と返信すると、Cから「今、自分が勉強している所があって、そこがお金を稼げる場所だから、一緒にやらないか。」と連絡があり、Cに会って話を聞いてみることにした。
 数日後、戊がCに会うと、Cから「自分が教えてもらっている副社長に会って話す。」と言われ、カフェに連れて行かれた。戊が「起業の話をするんでしょう?」と聞くと、「まあ面白い話を聞けるから話そうよ。」と言われ、戊はよく分からないまま副社長を待った。しばらくすると、D(勧誘者)が現れ、Dから仕事や将来の夢について聞かれた戊は、自身の話をした。するとDは「うちでやっていけば、お金を稼げるようになるよ。」と言った。
 数分後、副社長というE(勧誘者)が現れ、今後の経済情勢等について話した後、「副業で稼いで、収入を増やしていこう。」と言い、ビジネススクールでバイナリーオプションを使って短期間で稼いだ人の話や、9割勝つ方法を教えていることを話した。この時、事業者名や、タブレット購入契約の話は全くされなかった。Eは「ビジネススクールに入るには、入会金が42万9千円かかる。」「人を紹介すると10万円もらえる。」と説明した。戊は投資の経験もなく、ネットワークビジネスの話も初めて聞いたため、特に疑うことはなかった。Dは「ビジネススクールで勉強をしながらお金を稼げる。」「払ったお金も、すぐに元を取れる。」「ここはスタートラインでしかないから、ここから全然お金を稼げるから大丈夫だよ。」と言い、Cも「自分も元を取れた、大丈夫」と言った。Eも「大船に乗ったつもりでついてきて。」と言った。
 戊は、今すぐに契約するかどうかを決めるのは違うと思い、「家に帰ってまた考えてからでいいですか。」と伝えたが、Dは「ここで考えてもダメで、うちで考えてもダメだったらダメだよ。」「こういう時は馬鹿になった方がいい。」と言い、それまでずっと笑顔だったのに、その時は目を合わさず、戊は怖いなと思った。戊は帰りたくて仕方なかったが、沈黙の時間が続き、断れる雰囲気ではなく、3人が戊の承諾を待っていてとても困った。戊は貯金がなく、来月の家賃の支払いも危ないので断ろうと思い、「今お金がない。」と伝えたが、Dは「お金がないなら借りれば大丈夫。」「借りたお金もすぐに返せるから。」と言った。戊は自身の主張を全て否定され、これ以上断り切れないと思い、最終的に押し切られてしまった。
 戊はCとDに連れられて、ビジネススクールの事務所に向かった。戊は事務所で、Dに指示されるがままに、消費者金融にスマートフォンで申込みを行った。Dが借りる目的は「引越し費用」と書くように指示したため、戊はその指示に従った。また、戊はDから、「消費者金融からの電話で、『この借入れは誰かに指示されたものですか?』と聞かれても、『いいえ』と答えてね。」と指示された。審査結果を待つ間も、高額な借金をすることが不安だったので、Cに何度も「大丈夫?ちゃんと稼げてお金返ってくるの?」と聞いたが、「大丈夫」と繰り返すだけで、マイナスなことは何も言われなかった。審査の結果、戊は、消費者金融から代金全額を借りられなかったため、自身の貯金から残りを支払うことになったが、支払うと残金がほとんどなくなり生活にも困る状態だった。その後、C、D、Eの3人に連れられて、戊はコンビニエンスストアのATMでお金を下ろし、代金を用意した。
 事務所に戻り、戊はEに代金を支払った。その後、Eから、概要書面と契約書面の説明があり、契約書に署名をした。戊は、この時初めて、事業者名や「ABC」というビジネススクールの名称が分かり、タブレットの購入契約になることを知った。
 戊は、その後解約しようと考え、消費者センターに相談した。

【事例3】

 令和3年9月、己はマッチングアプリで知り合ったF(勧誘者)と喫茶店で会うことになった。Fは「仲間たちとこんな遊びをしているんだ。」「最近タワマンに住み始めた。」などと、写真を見せながら自慢げに話をしてきた。Fは「仲間と『あること』を一緒にやっている。」と言ったが、何なのかは教えてくれず、「次会った時に詳しく話すよ。」と言うのみだった。己は詳しい話を聞くために、Fと次に会う約束をした。
 約束の日の午後2時頃、己はFと待ち合わせをして喫茶店に向かった。喫茶店に着いて世間話をした後、Fが突然「今の日本はやばい。」「将来危ないから、副業したほうがいいよ。」「そのために、ビジネススクールで学んだ方がいい。」と言って自分が通っているビジネススクールの話を始めた。Fは続けて「バイナリーオプションは他のやり方よりも稼ぎやすい。」「うちのスクールなら入会金も他のところより安い。」と、ビジネススクールに通うメリットを説明した。また、Fは「人を紹介すると10万円の紹介料が受け取れる。」と説明したが、紹介が必須だという言い方はしなかったため、己は、よくある紹介キャンペーン的なものだと思った。Fは「スクールに入るために、入会金として42万9千円が必要」と説明した。己は学生でアルバイトで生計を立てており、支払が高額であることに不安を感じ、契約をするつもりはなかったが、Fから「事務所が近くにあるから見学をしないか。」と誘われたため、見に行くだけならと思い行くことにした。
 己がFに連れられて事務所に着くと、唐突に、Fから「消費者金融でお金を借りよう。」と言われ驚いた。己は、大金なので慎重に考えるべきと思い、当日に契約するつもりはなかったため「家に帰って考えたい。」と伝えた。するとFは「とりあえず1回借りればいいよ。」と消費者金融での当日の借入れを勧めてきた。己は、家に帰ってから契約するかどうかを考えたかったので大変戸惑ったが、Fの強引な誘いに、断るのは相当難しそうだなと思い、己はそのまま流されるようにして、Fの指示に従ってしまった。己はFから指示され、インターネットから消費者金融の借入れ申請を進めていると、Fは「職業はフリーターと書いて。」「年収は200万円と書いて。」と指示をしてきた。己はこのような偽りの内容を入力することに不安やためらいを覚えたが、Fが隣に付き添い、入力内容を逐一確認してきたため、指示に従うしかなかった。申請が完了して、審査が通り、50万円を借りられることが分かると、己はFに連れられて事務所の近くのコンビニエンスストアに行き、ATMでお金を下ろした。お金を下ろしてから事務所に戻るまでずっとFが隣にいた。
 事務所に戻ると、Fが概要書面を見せて内容の説明を始めた。Fは「このビジネススクールの運営会社は2つある。うちの方の会社はMonolithって言うんだよ。」と言ったため、己はこの時初めてビジネススクールの事業者名を知った。Fが契約書に署名をするよう指示したため、己は指示に従って署名した。さらに、己はFから入会金の42万9千円を支払うよう指示されたため、己はATMで下ろした現金を手渡した。その後、己はFから、ビジネススクールで使うというタブレットを手渡され、操作の説明を簡単に受けた後、ようやく解放され、事務所を出た。事務所を出たのは午後7時頃で、Fと会ってから約5時間も経過していた。己は長時間にわたり拘束され、すっかり疲弊してしまった。
 後日、己が大きなセミナーに参加すると、5,000円の参加費がかかった。講師は、投資の話は一切せず、ネットワークビジネスの説明を始めた。この時己は、このビジネススクールは、説明を受けたような投資の勉強を目的としているのではなく、ネットワークビジネスが目的であるということが分かった。己が周りの会員に「実際、投資とネットワークビジネスのどちらで儲けているのか。」と聞くと、全員「ほとんどがネットワークビジネスだよ。」と答えた。己は純粋に投資の勉強ができる環境ではないと分かったので、クーリング・オフをすることに決めた。

 

お問い合わせ先

東京都生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課取引指導担当

電話番号:03-5388-3073