トップページ > 取引・表示指導 > 処分事業者等一覧 > 「シロアリの無料点検に伺います」などと無料点検を口実に訪問し、リフォーム工事を勧誘する事業者に6か月の業務停止命令 > 相談事例(株式会社西武住建)
更新日:2021年10月26日
令和2年5月、Aから甲宅に電話があり、「10年前にシロアリの駆除をしたことがある業者です。点検のため訪問をしたい。」と言われた。甲が、Aに「シロアリの駆除をした覚えはない。」と言って断ると、Aは毎日のように電話を掛けてくるようになった。甲は断り続けたが、Aの落ち着き払い、すごみのある声に怖さを覚え、渋々訪問を承諾し、訪問日を決めた。
7月、AとBの2人が来訪した。Aが「シロアリの無料点検に来ました。床下に入るところに案内してください。」と言うので、甲が「床下に入るところはない。」と言うと、Aは「床下がなければシロアリの点検は、屋根裏を見れば分かる。屋根裏に上がれるところに案内してください。」と言った。AはBを屋根裏に上がらせ、屋根裏の状況を撮影するように指示をした。Aは、Bがスマートフォンで撮った写真を甲に見せて、「この写真を見てください。このとおり天井の梁が壊れています。それに、屋根裏に雨漏りのシミがある。このままにしておくと大変なことになります。屋根裏の全体を工事すると〇〇〇万円位掛かります。」と言った。
甲宅では〇年前に雨漏りのため屋根全体を葺き替えており、その後、大雨、台風等で雨漏りしたことはなかった。甲は屋根裏の雨漏りのシミは既に把握していたため、Aに「雨漏りのシミは知っています。雨漏りはしておりません。」と言うと、Aは不機嫌な顔をした。
すると、Aは「天井の梁が壊れており、断熱材を取り除く必要がある。費用は〇〇〇万円ほど掛かるが、今すぐ契約をしてくれたら〇〇万円値引きし、〇〇〇万円にする。」と言った。
Aらは屋根裏の点検後、シロアリの存在については何も言わずに、「梁が壊れている。」「雨漏りがしている。」などと言っては、屋根裏の補修工事をするように強引に勧めてきた。
そのうち、Aは「この柱の傷は、シロアリがいるから傷ついたものです。」と言い出したので、甲が「ネコが爪を研いだ跡です。」と否定すると、Aは怒ったような顔で、「何言ってんだ。」と言った。甲はAの怒ったような顔や体格を見て、これ以上反論すると何をされるか分からないという怖さが先に立ち、何を言われても反論しないで、早く帰ってくれることを願った。
Aは、甲が契約するとも言っていないのに、「このままにしておくと家が倒れます。屋根裏の補修をした方がいいです。」と言った。甲は、契約をしないとAらは絶対に帰ってくれないと思い、渋々契約することを決め、言われるままに請負契約書に住所と名前を記入し、印鑑を押した。
Aは請負契約書を確認すると、工事の日時を言わずに、「工事代金を今日全額支払ってもらいます。」と言った。甲は工事もしていないのに支払いを求められて驚き、「家にはそんな大金はない。」と言うと、Aは「金融機関まで送りますよ。」と言った。甲は、Aの申し出は監視が目的だと考え、ますます怖くなり、Aに言われるまま、Bが運転する自動車で金融機関の支店に行った。
金融機関に到着後、甲は金融機関の力添えで契約を断った。
令和2年1月、女性から「リフォームの西武住建という会社です。10年位前、床下に扇風機をつけていただきました。今回が最後の無料点検です。点検に伺いたいのですが、いつがよろしいですか。」という電話が掛かってきた。乙は来訪を承諾した。
約束の日、Cが来訪し、「床下の無料点検に伺いましたが、僕よりもっと詳しい上司を呼びます。」と言って、1時間後、Cの上司であるDと、職人風の男であるEが来た。
乙はDから「床下に設置してある換気扇を確認したいのですが、どこに設置してありますか。」と言われ、Dらを居間へ案内した。
CとEの2人が床下に入り、床下の点検は数十分で終わった。Dは乙に、床下の状況を撮影した写真を見せ、「この写真を見てください。これはお宅の床下の、土台を支えている柱や梁の状態です。見て分かるように、ひび割れしているでしょう。これを補修しなければ大変なことになります。地震が来ると家が壊れたりします。早急に補修する必要があります。私どもが使用している塗料を塗ると強度が増し、地震が来ても大丈夫です。値段は若干高いですが、塗られた方がいいですよ。地震で倒れでもしたら、ご近所さんに迷惑も掛かるし。必要な費用は、〇〇〇万円です。」と言った。
乙がきっぱり断ると、Dは「このままにしておくと、家は壊れますよ。壊れたら、隣近所に迷惑が掛かりますよ。」と言った。乙は断り続けたが、Dは乙が断っても、「やった方がいいです。柱に塗る塗料は高額で、来月には値段が上ります。今であれば、私が言った値段でできます。今、決められた方がいいです。仕事を取らないと会社に帰れない。」と言った。乙が断っても一向に帰る様子が見られず、Dらは契約を取るまでは絶対に帰りそうもなかった。3人に説得されて、このまま断り続ければ何かされるのではないかという威圧を感じた。乙はDらの粘りに根負けして居間の床下木部補修・補強工事を契約することを承諾した。
Dは「工事は今日中に終わらせます。今日、工事代金の一部を現金でもらえないですか。私たちも、高額な部材を使用しております関係から、〇〇万円を現金でもらえれば助かります。」と言った。乙は一部を支払わなければ、Dらは帰らないと思ったので、一部を支払うことにした。Dらが工事を終えて帰ったのは午後9時頃だった。残額は別の日に支払った。
数日後の夕方、Dから電話があり、「台所の床下をまだ見ていないので、点検に伺いたい。」と言われた。乙は点検と言って、また高額な請負契約をさせられると思い断ったが、Dは「この際だから、台所も点検した方がいいですよ。居間の梁や柱がひび割れしていたので、台所の床下もひび割れしている可能性があります。点検された方がいいですよ。」と言った。乙は居間の工事の保証書をもらっておらず、Dに尋ねると、Dは「台所を点検した後でないと保証書は出しません。」と言った。乙は台所の点検を受けて、保証書をもらうことに決めた。
約束した日、DとEの2人が来訪し、Eが床下に入った。Dは乙にスマートフォンの写真を見せ、「この写真を見てください。これがお宅の台所の床下の状況です。基礎部分に亀裂が入っているでしょう。このまま放置すると大変なことになります。大きな地震でも来たら家が壊れます。今のうちに補強工事をしておく必要があります。それと、梁や柱にひび割れしている箇所が見受けられます。先週、補修工事を施した居間と同様に、補強する必要があります。思い切りサービスして、費用は〇〇〇万円です。」と言った。
乙が断ると、Dは「台所の補修や補強工事をしないと、保証書は出ません。」と言った。乙は保証書が欲しかったので、工事をすることを承諾した。
Dは「工事代金〇〇〇万円を、今日、現金で全額頂きます。」と言った。乙は全額を支払うまではDらは帰らないと思い、金融機関で現金を下ろし、Dに渡した。工事は午後9時前に終了した。乙はDに「これで工事は終わりなのか。」と聞くと、Dは「はい、これで全部終わりました。」と言った。
翌月、突然、Dから電話があり、「台所の床下の木部の塗り残しがありました。基礎部分のホースの通してある部分に若干の穴があり、この穴を塞がなければ、ネズミが入って来て大変なことになります。」と言った。乙は、最初は断ったが、台所の基礎部分の穴が気になったので、工事を承諾した。
約束の日、DとEの2人が来訪し、Eが床下に入った。Dは「床下を見せていただきましたが、やはり、基礎部分に、若干のすき間があります。すき間を塞がないと、ネズミが床下に入ります。すぐに塞ぐ工事が必要です。それと、若干ではありますが、梁や柱の塗り残しがありました。工事代金は、サービスさせていただき、〇〇万円ではどうですか。工事は今日中に終わります。今回も全額を現金で頂きます。」と言った。
乙が承諾すると、Eは床下に入り、作業を始めた。乙は工事代金〇〇万円をATM機で下ろして支払い、Dらは作業を終了して、午後8時過ぎに帰った。
令和3年4月、男の声で「西武住建の者ですが、床下のシロアリの点検に伺います。」という電話があった。丙は大手企業の関係会社だと思い込み、シロアリの点検を承諾した。
当日、見知らぬ男F、G、Hが訪ねてきた。丙が3人を6畳間に案内すると、Fらは畳を上げて敷板を取り、Hが一人で懐中電灯を手に床下に入った。
Hが床下から出て来てFらと話をした後、Fは「床下には、シロアリはいません。床下の梁や土台を支える柱がひび割れしている。このまま放置しておくと、大きな地震でもあれば倒れたりする危険性があります。早急に補修する必要があります。当社が床下の柱等に強化剤として使用している塗料を塗ると大丈夫です。値段が高いですが即効性があり、効果があります。また、床下に砂が撒いてありますが湿気があります。湿気を取り除くためには、床下一面に湿気を取り除く乾燥剤を撒く必要があります。それと、床下の湿気のため柱に白いカビがあります。このカビを除去する必要があります。これらの工事に掛かる費用は、〇〇〇万円です。どうでしょう、思い切って工事をしませんか。このままにしておくと、大変なことになりますよ。」と言って、スマートフォンの写真を見せた。柱に白いカビのようなものが付着していたり、床下の柱や梁がひび割れしていたりする写真だったが、自分の家の写真であったかどうかは分からなかった。
丙の家では、つい最近、別の業者が床下等の点検に来ており、「床下にも湿気もないし、どこも異常がない。」と言われたが、今回、Fらが点検して、「このまま放置すると倒壊する可能性がある。」「このまま放置すると大変なことになる。」などと言われ、丙は不安になり、契約することを決めた。
Fは「工事代金は〇〇〇万円です。材料を揃える必要がありますので、今日、内金として〇〇万円を現金で頂きます。なければ、金融機関で下ろして支払っていただきます。」と言った。Fは請負契約書と見積書をくれたが、工事の詳しい説明はなかった。
Fは「これで今日の工事は終わらせていただきます。明日、床下一面に、湿気取りの乾燥剤を撒いたり、ひび割れた柱や梁の塗布、柱のカビ取り等の補修工事をします。明日で工事を終わらせます。残りの工事代金〇〇〇万円を現金で頂きます。現金〇〇〇万円を用意しておいてください。」と言って、帰った。
翌日、丙は家族と相談の上、工事のために来訪したFに契約のキャンセルを伝え、既払金の返還を求めると、Fは「分かりました。」と言って帰って行った。Fらが帰った後、丙はクーリング・オフ通知を配達証明郵便で送った。しかし、返金するとの連絡は数か月経っても一切ない。
翌月、東京都の職員が訪ねてきたとき、職員と家族は、床下を確認した。先月、Fから、「床下に撒いてある砂が湿気っている。」とか、「柱に白いカビが付着している。」などと言われたが、職員と家族が、床下の砂状のものに触って確認したところ、湿気はなくサラサラしていた。また、職員がカメラで撮った画像を確認したが、柱に付着しているのは白カビではなく、床下の防腐のため吹き付けられた泡状の溶液であると分かった。先月、家族がFらから見せられた写真は、柱全体にびっしりと白カビが付着しているもので、全く異なる画像だった。
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