
庭園の大泉水のほとりに佇む歴史的建造物
清澄庭園は、明治18(1885)年に三菱財閥の祖・岩崎弥太郎が築いた回遊式林泉庭園。その中央にある大泉水(池)の南岸には、水場にせり出して「涼亭」が建ち、景観をより風情あるものにしている。この銅板葺き数寄屋造りの建物は、国賓として来日した英国陸軍のホレイショ・キッチナー元帥をもてなすため、明治42(1909)年に3代目総帥の岩崎久弥が建てたもの。設計は当時三菱合資会社の社員だった保岡勝也による。保岡は、東京丸の内の赤レンガオフィス街の建築物など、時代を代表する建築物の設計を手掛けたほか、住宅設計を得意としていた。
庭園自体は関東大震災や戦災で大きな被害を受けたが、この涼亭だけは難を逃れた。昭和60(1985)年度に全面改修工事が行われたものの、佇まいは建築当時のまま。その歴史的価値や景観的重要性から、平成17年に東京都選定歴史的建造物に選定された。
室内は27畳で、泉水側には広い縁側が設けられ、庭園の趣ある風景を贅沢に楽しめる。現在は有料事前予約制の集会場となっている。利用の予約は、清澄庭園サービスセンター(TEL03-3641-5892)まで。
涼亭の佇まいを楽しむのなら、大泉水北岸にある「磯渡り」から眺めるのがお勧めだ。とりわけ、中の島にあるハゼノキが赤々と紅葉した晩秋の景観は格別である。
- 所在地
- 江東区清澄三丁目3
- 建設年
- 明治42(1909)年/昭和60(1985)年全面改修
- 設計
- 保岡勝也
- 規模
- 地上1階
- 最寄駅
- 都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線「清澄白河」駅