トップページ > 取引・表示指導 > 処分事業者等一覧 > 「お宅の屋根がはがれている」などと嘘を告げてリフォーム工事を勧誘する訪問販売事業者2社に業務停止命令(3か月) > 相談事例(株式会社村山工務店、アーキテックジャパンホーム株式会社)
更新日:2024年9月20日
令和4年8月、家のインターフォンが鳴ったので、甲がドアを開けると、Aが玄関前に立っていた。
Aは会社の名前や自分の名前も言わず、名刺を渡したりもせずに、「お隣の家の屋根と外壁の工事をしています。最終的な確認に来て、屋根に上ったら、お宅の屋根が剥がれているのが見えました。留めるだけならタダでやります。」と言った。Aはこの時、有料の屋根修理工事契約が必要になる可能性があることを告げなかった。
甲は無料の作業をしてもらうつもりでAの言うことを承諾した。Aは一旦その場を去り、後になってBを連れて現れた。AとBが屋根に上って作業を始めると告げたので、甲は家の中に入った。しばらくして、甲が様子を見に家の外に出てみると、Bは甲の家の屋根を撮影したものだと言って、スマートフォンで傷みのある屋根の画像を見せた。Bは、写真を見せると、「屋根が剥がれたら、飛んでいって大変なことになります。早く工事をした方がいいです。」と言って、屋根修理工事契約を勧誘した。屋根が剥がれるかもしれないと言われ、不安になった甲は契約を結んだ。
契約後、冷静になった甲が、Bに渡された見積りを確認すると、「貫板交換」や「棟板金塗装」といった項目が含まれており、工事の内容が、屋根の剥がれを修理するという、甲が受けた説明とは一致しないように思われた。そこで、甲は消費者センターで助言を受け、クーリング・オフ通知を発送した。
甲はその後、AとBが工事をしていたと言った隣家に工事に来ている親方に、AとBについて尋ねたが、「知らないよ。」と言われた。そこで、甲には、Aが隣家の工事に来た際に甲の家の屋根が見えたと言ったのは、嘘の口実だったのだと分かった。また、甲が自身の知っている工務店に連絡し、念のため屋根を見てもらったところ、「これは上がってないね。」と、甲の家の屋根は傾斜があって簡単には上れないため、AとBは屋根に上っての点検など行っていないのではないかと指摘された。また、甲の家の屋根には、特に傷みなど見られないと言われた。
令和4年11月、乙が家族と家にいると、インターフォンが鳴った。乙がドアを開けると、Cが一人で玄関前に立っていた。
Cは会社の名前や自分の名前も言わず、名刺を渡したりもせずに、「小学校に工事に来ている者です。校舎で工事している時に、お宅の屋根を見たら、屋根が剥がれていると親方が言うので、伝えに来ました。」と告げた。Cはこの時、契約が目的である旨を告げていなかった。
Cは一旦その場を去ると、しばらくして親方だというDを連れて戻ってきた。Cが「仕事は終わったんですが、まだ少し時間があり、親方が屋根を見てもいいと言っているので、屋根に上げさせてもらえないでしょうか。」と尋ねたので、乙は了承した。CとDはこの時、屋根修理工事契約の勧誘を行う目的であることを説明しなかった。乙はそのため、CとDが単に親切から無料の点検を申し出ているのだと考えていた。
Dは屋根の点検を終えると、乙に対し、ビスと、屋根の上でスマートフォンで撮ったという写真を見せ、「ビスが外れています。屋根の塗料のこの部分が剥がれています。」「ビスで留めてある木の骨組がダメになっているので、替える必要があります。表面の塗装が剥がれかけていますので、塗る必要があります。」と言って、屋根修理工事契約を勧誘した。
乙が了承すると、CとDは契約書を作成してくると告げてその場を去り、しばらくしてから戻ってきた。Dが乙に契約書を渡したので、乙は言われるがままに署名した。
翌日、安易に契約をしてしまったと思い直した乙は、CとDが工事を行っていたと述べた小学校を訪れた。乙が小学校の関係者にCとDについて尋ねると、「そんな業者は来ていません。来ていたとしても、仕事の途中でそんなことをする業者は差し止めになっちゃいますよ。」と言われた。そこで乙には、小学校で工事をしていたというCの勧誘文句は偽りで、勧誘の仕方もおかしいと分かった。乙は、その日のうちにクーリング・オフ通知を発送した。
令和5年7月、家のインターフォンが鳴ったので、丙がドアを開けると、Eが玄関前に立っていた。
Eは会社の名前や自分の名前も言わず、名刺を渡したりもせずに、「近くで工事をしている者です。上司がお宅の屋根を上から見て、おかしいので教えてあげるようにと言うので来ました。」と告げた。
丙が万が一の際には家を建てた大工に頼むから平気だと答えると、Eはその場を立ち去ったが、しばらくして再び戻ってきて、「そのままにしておくと危ない、今修理をしないと全部取り替えないといけなくなる、と親方が言っています。」と告げた。不安になった丙がEにどうすればいいかと相談すると、Eは「親方を呼んできますよ。」と言ってその場を立ち去った。
数分後、Eが親方だというFとともに現れた。Fが丙に「屋根に上がって見てあげましょうか。」と言ったため、丙はこれを承諾した。丙はこの時、ただ屋根を見てもらい、必要なら見積りを出してもらうだけのつもりで、この日のうちに高額な屋根修理工事契約を結ぶことなど考えてもみなかった。
屋根に上がり、数分後に降りてきたFは、丙の家の屋根を撮影したものだと言って、漆喰が剥がれている様子の写ったスマートフォンの画像を見せた。Fは続けて、「このままにしておくとまずいです。」と言って、屋根修理工事契約を勧誘した。丙が契約を承諾すると、EとFは見積りを作成すると言ってその場を去った。数時間後、丙は一人で現れたFと契約を結んだ。
その後、丙はこの工事契約について家族に話し、反対を受けたため、契約を解除することにした。そこで、丙はFの名刺に記載されていた携帯電話番号に連絡し、契約を解除したい旨を告げたが、Fは明確に承知したとも言わずに電話を切ってしまった。同日、丙は地域の福祉機関で方法を教えてもらい、クーリング・オフ通知を発送した。数日後、Fから電話があったが、丙は対応しなかった。Fから電話があったことで不安になった丙は、消費者センターに相談した。
令和5年10月、家のインターフォンが鳴ったので、丁の家族がドアを開けると、Gが玄関前に立っていた。
Gは会社の名前や自分の名前も言わず、名刺を渡したりもせずに、「新築で作業している職人なんですけど、あの、○○社の。さっきあの、親方と作業したときに、あの、なんか、おかあさんちのカンムリ、通りの方に外れて落ちちゃいそうだから、ちょっとそれだけお前伝えとけって。」と言った。
丁の家族が詳しい説明を受け、Gから連絡先を受け取っていたときに、丁が帰宅した。Gは丁に対し、丁の家族に対して行ったのと同様の説明をした後、「屋根を見てあげましょうか。」と言い出した。丁が点検を依頼すると、Gは親方だというHと、Iを連れてきた。
Hは屋根に上って点検を行い、降りてくると、丁に対して、「見てきて、あの、釘の、たぶん、パッキン。あの、こう、ゴムパッキンしてるんです、釘全部に。それが、もう多分、10年経っちゃってるから、ひび割れしちゃって、ないところが結構いっぱいあって。釘と瓦の隙間に、隙間ができちゃって、そういうとこから水分が入って、木材が縦地で、こういう木材に対して縦地でこうやって割れちゃってる。で、釘がくってなくて、たれちゃってたところは、多分釘が抜けちゃって。」と言った。さらに、屋根で撮ったという垂木の画像を見せ、「こんな感じで、ビーッてこう割れちゃってるんですよ。」と言った。丁はHの言うことを信じ、工事を頼むことにした。丁はHから、釘のゴムパッキンが外れている、垂木が割れている等と説明され、また先には冠瓦が落ちそうだと言われていたから工事を頼むことにしたが、このように言われなければ工事を頼もうとは思わなかった。
丁が修理にかかるおおよその金額を尋ねると、Hは屋根を測定すればすぐに分かると言った。丁が測定を了承すると、HはGに指示して測定を行わせた。この間に丁がHに自分の名刺を渡すと、Hは初めて自分の名刺を渡し、会社名と名前を名乗った。また、丁がHに工事の内容を尋ねると、Hは、「木をすべて、まず、取ります。土台の面戸漆喰っていうのも、ちょこちょこ割れているところがあるんで、今は土台から撤去して新しく棟盛り直そうかなという方向で考えています。結局、割れちゃってる土台の上にいくら新しい木仕込んでも、結局土台が割れちゃってる時点で隙間から水が入ってきちゃうんで、しっかりふさいであげるっていうのを。」と言った。
Gが測定を終えると、Hは丁におおよその工事費用を告げた。丁が承諾すると、G、H、Iは見積書を作成して戻ってくる旨を告げて立ち去った。
Gらがいなくなった間に、丁はGらが工事をしていたと告げた工事現場を訪れ、掲示されていた現場責任者の連絡先に電話をかけた。すると、担当者からは、「今日はその建物では内装しかやっていません。」と言われた。そこで丁には、この建築現場で作業中に、偶然、丁の家の屋根の不具合が見えたという、Gらが勧誘に用いた口実が偽りであることが分かった。
丁は受け取っていた連絡先に電話をかけ、対応したHに対して、契約をやめたいと告げた。Hはこれを了承した。翌日、丁は警察署に、今回の出来事について通報した。その数日後には、消費者センターにも知らせた。
さらに数日後、丁はリフォーム会社を通じて職人を派遣してもらい、屋根の点検を依頼した。点検の結果、屋根に目立った劣化はなかった。
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