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更新日:2023年12月21日

相談事例(株式会社UNION、株式会社ファイン、株式会社QUATTRO)

【事例1】

 令和3年4月、自宅のインターホンが鳴った。甲がインターホンに出ると、相手は「不用品回収代行のお助け業者です。」「要らないものがあったら引き取ります。近くにお店ができましたので、チラシを持ってきました。」と言った。甲が、チラシだけもらうと伝えてから、玄関の戸を開けると、営業員Aが立っていた。
 甲は、Aが差し出したチラシと名刺を受け取り、今は不用品はないことを伝えて、Aを帰そうとしたが、Aは、「実は、他の者もこの集合住宅を回っています。使わなくなった指輪や貴金属を買い取っている人で、先ほど、〇階に住んでいる人から要らない指輪を〇千円で買い取ったところ、とっても喜ばれました。」「もう使わないもの、こちらにありませんか。」と言った。
 甲は「少しはあるけど、今日は出すつもりないから、どうぞお引き取りください。」と断ったが、Aは「いや、ちょっと、一緒に回っている者に連絡をとってみます。」と言って外に出た。
 すぐに営業員Bが訪問してきた。Aは引き上げて行き、甲とBの二人になった。
 Bは、会社名も氏名も名乗らず、名刺も渡さずに何の前置きもなく、「要らない指輪や貴金属がありましたら、ちょっと査定をいたします。調べるだけです。」「要らなかったら、買い取ります。」と言った。
 甲が、指輪など数点の物品をBに見せると、Bは、「もっとないですか。」と2、3回にわたり、しつこく言ってきた。本当は、もう出したくはなかったが、あまりにしつこいので、他の物品を追加して見せた。Bは、どんどん査定を進めて値段を付けていき、最終的に全点合わせて、〇万円だと言った。甲から、売るとの意思表示はしていなかったが、物品全部をBに渡してしまっており、Bは、買い取ることを前提に、さっさと書類の作成を始めていた。
 甲は、内心戸惑ったが、Bがあまりに手慣れていて、押しが強かったので、甲は、怖さを感じており、甲から断りを入れるなど、できない状況だった。何よりも、早く帰ってもらいたいと考えていたので、Bが書類を完成させ、甲に署名を求めてきたときには、何も言わずに応じて署名をした。最初にAの訪問を受けてから、Bが帰るまでの時間は、1時間半くらいだった。この間に、AやBが、甲に対して「買取りの勧誘を受ける意思があるか。」と確認することはなかった。
 Bが帰った後、Bから渡された「買取依頼伝票」を確認すると、「今回の買い取りが顧客からの依頼であること」「クーリング・オフ期間内は顧客が物品の引渡しを拒むことができることに関する説明を受けた」という記述があり、これにチェックが付いていたが、Bに促されるままに、内容も確認せずにチェックしたものだった。今回の買取りは、甲から依頼したものではないし、「クーリング・オフ期間内は、物品の引渡しを拒むことができる」という説明は一切なかった。知っていれば、物品を手元に置いておきたいと考えたはずだった。
 この他に、Bから渡された「依頼書」という書面を見ると、甲が便利屋に「不要品の処分、整理」を依頼したことになっていた。結局のところ、便利屋と買取業者が協力して、戸を開けさせるために、「不用品」を口実にしているのだということが、よく分かった。甲は、クーリング・オフを通知した。

【事例2】

 令和3年7月、乙が家に一人でいると、インターホンが鳴り、インターホン越しに「いま、この団地を回っております。使っていない家電はありませんか。買い取りますよ。」と言われた。
 不意に声を掛けられて、乙は少々戸惑ったが、不用品を処分するよい機会と考え、話を聞くことにした。
 ドアを開けると、営業員Cが名刺を差し出した。名刺には、LINK 従業員 〇〇(Cの氏名) 株式会社ファインと書いてあった。
 乙は、Cに不要な家電を処分したいと伝えると、Cは、「買取価格を本社に問い合わせてみますが、回答が来るまで少々お時間をいただきます。私どもでは、家電だけではなく、貴金属の買取りも行っています。不要な宝石などがありましたら、お引き取りします。いま、○階のお宅でも、〇〇円ですけど、このネックレスを引き取ってきたんですよ。お待ちいただく間に、お手持ちの貴金属について、査定だけでもしてみませんか。」と言い、乙にネックレスを見せた。
 乙は、貴金属とは言えないようなネックレス数点について、処分を考えていたので、査定額を知りたいと思い、数点ずつ出してきては、Cに見せた。
 そのうちに、Cは「査定してもらいたい、金とかありますかね。」と言った。乙は、価格が気になっていた金のネックレスを出した。乙は、この日にこの事業者に売るつもりは全くなかった。Cは、これが一番気になったようで、「詳しく査定できる人が、いま、下のフロアにいるから、呼んできます。ちょうどこの辺を回っていたんですよ。」と言うと、飛び出していった。
 Cの訪問は、乙が要請したものではなかった。Cのこのときの様子から、乙は、Cの本当の訪問目的は、この金のネックレスのような、高価な貴金属の買取りだったのだと知った。
 Cは、数分で営業員Dを連れて戻ってきた。Dが差し出した名刺には、査定員 〇〇(Dの氏名) 株式会社UNIONと書いてあった。
 乙が、査定額を尋ねると、Dは、逆に「いくらになると思いますか。」と切り返してきた。乙が「○万円くらいかしらね。」と答えると、本当はその3倍くらいしていたものだったのに、Dは、「それでは、それに1万円くらい上乗せしますよ。」と言った。乙は、「査定額の相場が分からない」と、侮られたような印象を受けた。Dは、金のグラム数を量らなかった。
 乙は、この金のネックレスを売るつもりは全然なく、売る意思を伝えていなかったが、Dのペースで話がどんどん進み、気が付くと買い取られることになっていた。このときまで、CやDから、「買取りの勧誘の目的で訪問したこと」「勧誘の対象とする物品の種類」「勧誘を受ける意思があること」について、説明や確認されたことはなかった。
 乙は、抵抗を試みて、売るつもりはないと伝えると、今度は、CとDの二人で、「こんな重いもの、いまどき誰もしない。」「形が古いから、使えない。」と言ってきた。乙は、さらに今後使う予定もあること、売るつもりはないことを伝えて、買取契約を断ったが、CやDは、「そんなの、している人、いない。」「いまどき、こういうのは、流行らないですよ。」と言い、何が何でも金のネックレスがほしいのだなと思った。乙は、CやDに対して、少なくとも3回は買取契約を断ったが、その都度、CやDから「もう使えない。」などと言われて、断り文句を封じられた。
 不本意だったが、最後は、断りきれずに買い取られることになってしまい、乙は、差し出された書面に署名をし、複数の物品を買い取られた。
 あとになって、この日に事業者から交付された3点の書類を確認すると、2点は株式会社UNIONから、1点はLINKから交付された形になっているが、説明を受けた記憶はなく、それぞれの書類の意味がよく理解できないまま、署名していた。
 DとCの名刺の会社が違うことに疑問を持ったが、特に質問はしなかったし、書面についても、もう何も尋ねなかった。
 帰り際に、Dは「これ、クーリング・オフの説明です。」とだけ言って書面を置き、それ以外の説明はせず、物品を持って、乙に代金を支払うと、急いで帰っていった。「クーリング・オフ期間内は、物品の引渡しを拒むことができる。」という説明は一切なかった。知っていたら、この金のネックレスは、引き渡さずに、手元に置いておいたはずだが、CやDは、当然のように、その日のうちに持って帰った。最初にCが訪ねてきてから、45分が経っていた。
 事業者が帰った後、乙が相場を調べてみたところ、金のネックレスは、事業者に付けられた値段程度のものではなかった。乙は、クーリング・オフの通知を出した。

【事例3】

 令和4年7月、丙が家に一人でいるとインターホンが鳴った。インターホンの画面には、営業員Eが映っていた。この日は、人が訪ねてくる約束も予定もなかった。Eは、インターホン越しに何かぼそぼそと言ったが全く聞き取れず、丙には、Eがどこの誰なのか、何の用事で訪ねてきたのか、全然分からなかったが、勧誘や営業ではないと思い、ドアを開けた。このときに、訪問目的が指輪やネックレスなどのアクセサリーの買取りの勧誘であることをはっきりと伝えてくれていたら、ドアを開けることはなかった。
 Eは、玄関の土間まで入ると、アクセサリーケースを丙に見せながら、「こういうのを買い取りますよ。こういうの、お持ちではありませんか。」と言った。さらに、アクセサリーが入ったビニール袋を丙に見せながら、「アクセサリーの買取りもしています。この辺をずっと回って歩いているんですよ。」と言った。このとき、Eは自分の名前は名乗ったが、会社名は言わなかった。名刺もくれず、身分証を見せることもなかった。
 丙は、アクセサリーケースについて、Eから「500円で買い取ります。」と言われ、いくつかのアクセサリーケースをEに渡した。Eは、そのケースにたまたま入っていたアクセサリーを見て、「ああ、これだったら、若い人たちの間で流行っているから、買い取れます。」と言った。
 丙が、「いえ、悪いけど、これは数少ない中の気に入ったやつだから、売りません。ケースだけを買い取ってもらいたい。」と伝えると、Eは、「今、何も持ってきていないから、ちょっと待っていてください。お金を持ってきますね。」と言って、出て行った。Eが出ていくと、丙は、アクセサリーだけを部屋に戻した。
 しばらくすると、Eは、営業員Fを伴って戻ってきた。「お金を持ってきますね。」と言われただけで、Fを連れてくることなど聞いておらず、丙は、不安になった。
 Fは、会社名や自分の名前を名乗ることもせず、何をしに来たのかという説明も、話を聞いてもらえるかとの断りも、一切しなかった。Fは、玄関に置いたままになっていたアクセサリーケースについては、何も言わず、「アクセサリーを見てあげますよ。無料で査定します。」と言った。
 丙は、無料と言われて値打ちを知りたくなり、いくつかのアクセサリーを見せた。Fは、「もっとあるでしょ。もっとあるでしょ。」と言って、さらに出すように求めてきたので、何点かを追加で出した。
 Fは、査定しますと言っただけで、買い取りますとは言わなかったが、アクセサリーを見ているうちに、「これは持っていてもしょうがないでしょ、奥さん。」などと言い始めた。
 丙は、アクセサリーを売るつもりはなく、値段を知りたいために見せただけだったが、Fは計算機を出して書類を作り始め、買取りの方向で話がどんどん進んでしまい、丙も、もう古いし売ってもいいか、という気持ちになってしまった。しかし、中には、思い出の品があったため、丙は悩んだが、Fは、構わずに「こういうのは、もう流行らないですから。」と言って、重ねて買取りを勧めてきた。丙は、頭の中で考えをまとめることができないまま、売ることを承諾してしまった。Fは流行らないなどと言ったが、丙くらいの年齢の者には、ちょうどいいデザインだと後になって思った。しかし、このときは、冷静に考えることができなかった。
 Fは、金のアクセサリーに執心し、「これはどうですか。」と言ってきたので、丙が断ると、Fは、「こんなの持っていたって、しょうがないでしょ。」と言うので、丙は、重ねて断った。
 丙が断ると、Fは、段々不機嫌になってきた。Fは、「もっとあるでしょ。」と言って、さらにアクセサリーを出すように求めたが、丙は、もうないと言った。
 Fは、買取依頼伝票などの書類を準備し、丙は、Fから氏名や住所などを書くように言われ、そのとおりに書いた。記載されている買取金額は、驚くほど安かったので、気が進まなかったが、一旦、買取りを了承してしまった手前もあり、Fを相手にすると、怖くて本心を言えないまま、サインした。
 Fは、代金を丙に手渡すと、買い取ったアクセサリーを持って、Eと帰って行った。Eが最初に訪ねてきてから、二人が帰るまでは、1時間弱くらいだった。
 クーリング・オフ期間内は、物品の引渡しの拒絶ができるということについて、FからもEからも説明されなかった。知っていたら、物品を引き渡さずに手元に置いて、思い出の物品を売るかどうか考えたはずだった。丙は、後日、クーリング・オフを行い、物品等を取り戻し、代金を返金した。

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