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TOKYO景観探訪 - 都内にある歴史的建造物をご紹介

東京復活大聖堂(ニコライ堂)(千代田区)

かのジョサイア・コンドルが手がけた、荘厳なランドマーク

 千代田区神田駿河台。超高層ビルが立ち並ぶ一角に、異彩を放つデザインの建造物がある。明治24(1891)年の竣工以来、ニコライ堂の愛称で親しまれる東京復活大聖堂だ。日本ハリストス正教会教団の中心を担う聖堂であり、この堂を建てたニコライ大主教の名が愛称の由来。ドーム状の屋根が特徴的な本堂、独特な音色の鐘を収めた鐘楼などで構成されている。

 西洋建築や高層建築が珍しかった明治中期、高さ35mほどあるこのニコライ堂は、東京市民の度肝を抜いた。高台に建つその姿を遠方からも見ることができたといい、東京の新たなランドマークとなった。江戸時代には武家屋敷、明治に入ってからは華族や官僚の屋敷が軒を連ねていた当地に、かつてない景観を生み出したのだ。
 大正12(1923)年の関東大震災で大きな被害を受け、基礎と煉瓦造の本体を生かしつつ耐震補強を行い、ほぼ全面的に修復されている。かのジョサイア・コンドルが手がけたこの建造物は、鐘楼上部が倒壊したほか、東京府下を襲った大火災の延焼によって、聖堂内装も焼失してしまった。それでも、全国の正教徒たちが大聖堂再建のための献金を寄せ、昭和4(1929)年には岡田信一郎の手により復興工事が完了された。

 戦時中の空襲被害を免れ、昭和37(1962)年には国の重要文化財に指定されたニコライ堂。その存在感は現代でも薄れることはなく、多くのビジネスマンや学生が行き交うこの街に、歴史と文化の薫りを漂わせている。

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所在地
千代田区神田駿河台四丁目1-3
建設年
明治24(1891)年、昭和4(1929)年
設計
ミハイル・シチュールポフ、ジョサイア・コンドル、岡田信一郎
規模
地上1階
最寄駅
JR・東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅