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TOKYO景観探訪 - 都内にある歴史的建造物をご紹介

鬼子母神堂(豊島区)

大イチョウとともに歴史を刻んだ国指定重要文化財

 樹齢400年以上の古木も残るケヤキ並木の参道を通り抜け、左に曲がると見えてくる鎮守の森。樹木の高さから、長い年月をかけて築かれた景観であることがわかる。さらに境内には、都指定天然記念物で樹齢約700年といわれるイチョウの巨木がそびえ立ち、参拝者を圧倒する。

 正面の拝殿は元禄13年(1700)年の建立で、その奥にある本殿はさらに古い寛文4(1664)年の建立。両殿を相の間がつなぐ権現造といわれる複合建築で、2016年に国の重要文化財に指定された。本殿の建立は当時の広島藩主浅野光晟の正室・自昌院の寄進によるもので、地元である安芸地方の社寺建築の特徴が見られる。また、拝殿には近世建築らしい華やかな装飾が施されており、歴史の深さを感じさせる。

 雑司ヶ谷鬼子母神堂は江戸時代以来、安産・子育(こやす)の鬼子母神信仰を集め、庶民の拠り所となっている。土産物として有名な「すすきみみずく」も江戸時代からのものだ。
 当堂が地域からいかに愛されているのかは、毎年10月16日から18日に行われる鬼子母神御会式の盛り上がりをみれば明らかだ。普段は静かなこの界隈に大勢が繰り出し、街には太鼓が響き渡り、参道には露店が軒を連ねる。祭のクライマックスとなる18日には「威光山」の高張り提灯を先頭に、しだれ桜のような万灯の行列が池袋駅前から境内まで練り歩く。この「万灯練供養」は豊島区の無形民俗文化財に指定されており、当地域の秋の風物詩となっている。

※鬼子母神堂の「鬼」の字について正しくは、1画目の点(ツノ)がない字を用います

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所在地
豊島区雑司が谷三丁目15-20
建立年
拝殿…元禄13年(1700)年、本殿…寛文4(1664)年
規模
地上1階
最寄駅
都電荒川線「鬼子母神前」駅、東京メトロ副都心線「雑司が谷」駅