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東京都消費生活総合センターでは、中央大学杉並高等学校の協力の下、「もしも未来が見えたなら〜いつかクレジットカードを使う日に〜」を使用した公開モデル授業を実施しました。本教材は、平成30年度に改訂し「成年年齢引下げを踏まえた消費者教育」の内容を加えたものです。
開催日 | 2019年6月25日(火) |
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開催場所 | 中央大学杉並高等学校 教室、多目的ルーム |
授業者 | 金清順子講師、 須藤千咲講師 |
外部講師 | 平澤慎一弁護士、工藤寛泰弁護士 |
授業科目 | 家庭基礎(高校2年生への講義) |
使用教材 | 改訂版Web版消費者教育読本 「もしも未来が見えたなら〜いつかクレジットカードを使う日に〜」 番外編、ステージ1 |
時間 | テーマ | 講師 | |
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1 | 3時間目 | 契約と契約トラブル | 金清講師 |
4時間目 | 消費者をめぐる問題 | ||
2 | 5時間目 | 契約と契約トラブル | 金清講師 |
6時間目 | 民法と消費者法 | 平澤弁護士 工藤弁護士 |
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3 | 5時間目 | キャッシュレス化による金銭管理 | 須藤講師 |
6時間目 | クレジットカードと契約 | ||
放課後 | 意見交換会 | ||
参加者:高等学校教員、消費者行政関係者、教育関係者、消費者啓発員等37名 |
※3.4時間目は1クラス、5.6時間目は2クラスで公開授業を実施(1クラスにつき2時間授業)
Web版読本番外編「18歳は大人? 大人になるってどんなこと?」を使った授業です。
「大人になると何ができる?」を班で話し合うワークから、授業は始まりました。次に本教材のクイズに挑戦し、「大人になると、親の承諾なしに様々な契約ができ、高額な買い物でもできるようになる」、「契約とは法的な拘束力が発生する約束事で、私たちは日々契約をして生活している」ことなどを理解しました。「購入したスニーカーを返品できるか」という高校生にもありがちな事例から「一度成立した契約はどちらか一方の都合で解約できない」ことや、「十分考えてから契約する重要性」を学びました。
「インターネットショッピング」、「キャッチセールス」の2事例を比較して、契約をやめることができる場合はどういう場合か考えました。班ごとに寸劇台本を使い、ロールプレイを行いました。生徒たちはそれぞれの役になり切り、楽しみながら取り組んでいました。
クレジットカードや電子マネーの普及などキャッシュレス化は、高校生の生活にも大きく影響しています。情報が氾濫する中、どのように情報を整理し意思決定するかを「アクティブ・ラーニング」の手法を用いて、学習しました。
まず、班ごとに自分や家族が持っている「お金の代わりをするカード」を出し合います。カードに関する自分たちの知識、経験を基に話し合い、現金と比較したメリット、デメリットを発表しました。次に「お金の代わりをするカード」を「前払い、即時払い、後払い」に仕分け、それぞれのカードの違いと特徴を学びました。
Web版読本ステージ1「クレジットカードを作ってみよう」を使った授業です。生徒たちは未来の主人公ワタルの気持ちになって、「クレジットカードを作る」疑似体験をしました。
生徒は、ワークシートに必要な語句を埋めたり、「会員規約クイズ」に挑戦したりしながら、契約内容をよく理解してから慎重に申し込むことが大切であることを学びました。
平澤弁護士、工藤弁護士を講師に迎え、特別授業を行いました。
講師は、「民法は『私的自治の原則』の考え方が大前提で、契約は当事者の合意によって成立し、一度成立した契約の拘束力からは簡単に逃れることはできない」ことを強調しました。
「では、どんな場合でも、契約の拘束力から逃れられないのか」と、生徒に問いかけ、以下の事例を基に検討しました。
大学1年生Aは事業者から「オーディション合格」と言われて事務所に行った。すると、「役者になるためにはレッスン契約が必要」と何時間も説得され、結局30万円の契約書にサインしてしまった。
事例の検討を通じて、生徒は、不当な勧誘によって契約をした場合の取消権やクーリング・オフなど消費者を保護する制度があることを学びました。