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今月の話題
防災の
備え

いつからではなく、
今日から始めましょう

株式会社危機管理教育研究所
代表 国崎( くにざき ) 信江( のぶえ )

9月1日は防災の日であり、今年は、関東大震災発生から100年の節目の年です。地震は怖くて不安だけど、防災は面倒と感じている人もいるようです。そこで、簡単にできて効果的な防災を紹介します。まずは手に赤ペンを持って、いますぐにできそうな取り組みに線を引いてみてください。これならできそうと感じたところから防災の一歩を進めてみましょう。

関東大震災から100年とこれから

東京都では100年先も都民が安心できる持続可能な都市を実現するための「TOKYO強靭化プロジェクト」が始動しました。首都直下地震の発生や、地球温暖化に伴う気候変動で豪雨、台風の頻発化・激甚化が懸念されています。

もともと私たちが暮らす日本は、地震、津波、台風、大雨、洪水、土砂災害、雪害、火山噴火など、多様な災害が起きる災害列島です。この国に暮らす覚悟と防災の備えをしつつ、自然の恵みを受けながら豊かに暮らしたいものです。

いつもの暮らしの中でコツコツ始める防災

防災は、生活になじまないことを無理にやっても続きません。また、スタートで気負いすぎると、どこかでやる気も落ち、興味も薄れ、いずれ忘れてしまいかねません。災害はいつ起きるのか分からないので、防災の備えを日々の生活習慣にして、コツコツと小さなことを積み重ねて無理なく続けていきましょう。

まずはイメージしてみる

地震が起きたら室内がどうなるのかをイメージしてみましょう。固定していない物は大きな揺れで倒れ、飛んで、落ちて、すべります。まずは、いつもの場所に座ったり寝室で寝転んだりして周りにある物一つ一つがどのような動きをするのかをイメージして、さらに、どこに逃げたら良いかまで考えておきましょう。そうすれば、いざというときにも落ち着いて行動することができます。

物を少なくする

家具の固定は重要と分かってはいても、わりと面倒な作業ですよね。そこで、思いきって家具を減らすという方法もあります。物や家具を減らせば固定する手間もなく、災害時に凶器となったり、避難路の妨げになったり、後片付けに苦労することもありません。部屋に余裕があるならタンス部屋として居住と収納のスペースを分ける方法もあります。

また、避難路を確保するために、廊下、玄関、階段やベランダなどには家具を置かないことや、できるだけ床に物を置かないことは、防災のみならず日々の安全(事故防止)からも大切です。

簡単な転倒防止対策

転倒防止対策は、家具をL字型金具などで直接固定する方法が最も効果が高いといわれています。しかし、工具を使うのが面倒、家具や壁を傷つけたくないという人も少なくありません。

そういった人に人気なのが耐震マットを利用した固定です。汚れや埃を拭いて貼るだけの簡単な取り付け方法で家具から家電製品まであらゆるものの固定ができます。さらに、お金をかけずにすぐにできる転倒防止対策として、天井と家具の間に、隙間なく段ボール箱を置く方法もあります。段ボール箱は重ねても良いので隙間を埋めて、家具の中央の奥側(壁際)に置くのがポイントです。

小さな揺れでもキッチンから離れる習慣を

冷蔵庫、電子レンジや食器棚などの大型電気製品や家具、お皿やコップなどの割れ物や刃物類、調理器具類の多いキッチンは危険地帯。地震の時には上部の吊棚から物が落ち、引き出しが勢いよく飛び出し、棚が倒れて挟まれたり閉じ込められたりする危険があります。キッチンにいたら小さな揺れでもそこから出る!という気持ちを持つことが重要です。このとき機敏に動けないことを想定し、逃げる時間を稼ぐために家具は固定し、扉や引き出しにストッパーなどを付けておきましょう。

吊り下げ式照明器具の補強 段ボール箱で隙間を埋める(軽めの服や寝具を入れると、箱がつぶれにくい) 防炎カーテン ガラス飛散防止フィルム ストッパー式器具(耐震マット) 開き扉ストッパー 耐震マットで固定 家具転倒防止器具 耐震ベルトで固定

防犯が防災につながる

災害時には防犯面でも安全性が大きく低下するので、施錠はもちろんのこと、家の中を整理しておくことは、押し入られたときの逃げ道の確保にもなります。また、窓ガラスに防犯フィルムを貼っておけば、地震などの災害でガラスが割れた場合でも飛散を防ぐことができます。

物の選び方を変える

生活に必要な雑貨類を買うときには、その製品の素材に注目しましょう。

例えば紙の掛け時計、ゴム製の花瓶、革のフレームの写真立てなどを選ぶと地震で飛んできてもケガをしにくくなります。これらの素材で雑貨類を探す楽しみを感じられたら防災のイメージも変わるかもしれません。

災害時に役立つ備え方

11月19日は備蓄の日

東京都では、備蓄の状況等を定期的に確認する機会として、11月19日を「備蓄の日」としています。備蓄といっても固く考えず、いつもの食料品(米や乾麺、冷凍食品、レトルト食品、常温保存可能品)や日用品(トイレットペーパーなどの紙類、洗剤類)などを多めに買っておき、古い物から順に消費し、減った分を補充することで常に少し多めの状態にしておきましょう。まず3日分を目標に1週間やその先も見据えてキープ。わが家ではいつも1か月分がある状態にしています。

また、ライフラインが途絶えても調理できるように卓上カセットコンロなども備えておきましょう。災害時にも栄養バランスの良い、おいしいと感じるいつもの食事をしたいものです。

水の備蓄と幸せ備蓄

水の備蓄は、1日1人3リットルが目安といわれていますが、期限切れ前の入れ替えが面倒、置く場所がないと苦労されている人もいると思います。その解決方法を紹介すると、冷蔵庫の製氷室があるなら常に氷をいっぱいにし、製氷用の水タンクも補水すると断水時の貴重な水として使えます。また、わが家では、飲み物は水に限らず家族が好きな飲み物をそれぞれにケースで買っています。水の備蓄ということにとらわれず、好きな物がたくさんあることを幸せに感じる備蓄に切り替えてはいかがでしょうか。

電気

被災生活で苦労することの一つが停電です。夜間の地震に備えて懐中電灯、ヘッドライト、ランタンなどの明かりを備えておきましょう。庭やバルコニーにソーラーライトを設置しておくと防犯や停電時の明かりとして重宝します。また、連絡や情報収集に欠かせないスマホの充電も考えておきましょう。電池式や手回し式の他に、カセットボンベや水と塩で充電する発電機など、さまざまなタイプがあります。

体に負担のない備え方を

避難のときは重たい物は持ち出せないと覚えておいてください。特に命の危険が迫っているときはなおさらです。つい入れ過ぎてしまうリュックより、ポケットがたくさん付いているベスト(エマージェンシーベスト)に必要最小限の物を入れて着て逃げることをお勧めしますが、自分に合った体に負担のない持ち出し方を考えておきましょう。入れる物は個人が必要とする物などを優先に備えます。

災害時に役立つアイテム

簡易トイレ、ティッシュ、タオル、ヘッドライト、応急手当用品(三角巾、包帯)、ゼリー飲料、モバイルバッテリー、手帳と筆記用具、笛、折りたたみ給水袋、ポリ袋、手袋、マスク、小銭、個人が必要とする物(義歯とケース、眼鏡、処方箋、補聴器、おむつなど)

危険を事前に把握し「情報の備蓄」を

あらかじめ自分の住んでいる地域の災害の危険性と避難場所を、ハザードマップで確認しておきましょう。区市町村の窓口やホームページから入手可能です。

もし、スマホを使っているなら「東京都防災アプリ」をダウンロードしておくとより詳しい情報を得ることができます。危険度マップ、被災後に受けられる支援情報、大切な人との連絡手段などさまざまな機能があります。

ところで、平成27年に全戸に無料配布された「東京防災」を持っていますか?今年この冊子が「東京くらし防災」と2冊セットでリニューアルされる予定です。この2冊には基本的な防災知識のほか、都民に役立つ防災情報が書かれています。読書の秋ですし、今年こそは防災の冊子を手に取って防災の知識を深めてはいかがでしょうか。

近所に友達を3人以上つくりましょう

昔から『遠い親戚より近くの他人』という言葉があるように、頼れる人が近くに3人以上いると安心です。災害時は情報不足、自分の居場所、今後の生活など不安なことが多いですし、窃盗や詐欺などの犯罪が起きやすいので、相談できる人がいると心強いです。日頃から地域と関わりを持ち、良好な関係を築いていくことも防災の一つと意識して、地域を大切にして毎日を楽しく過ごしましょう。

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