ここから本文です

東京都消費生活総合センターからのお知らせ

令和5年度
小学生・中学生・高校生の消費生活相談概要

東京都消費生活総合センター 相談課

令和5年度に東京都内の消費生活センターに寄せられた相談総数は129,681件で、そのうち「若者相談」契約当事者が29歳以下である相談)は16,398件であり、全体の12.6%でした。

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談件数

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談総数は1,098件で、前年度の1,264件に対して13.1%減少しています。またその内訳は、小学生276件、中学生381件、高校生441件でした。図1)

図1 契約当事者が小・中・高校生の相談件数

図1に関する棒グラフ

相談内容の内訳

小・中・高校生ごとにみると、いずれも「インターネットゲーム」の相談が1位で非常に多く、続いて中・高校生で「化粧品」健康食品」が上位5位に入っており、これらで相談の多くを占めています。

特に「インターネットゲーム」は、小学生の相談全体の77.5%を占め、中学生の相談でも42.3%になっています。相談の多くは、子供が親に無断でインターネットゲームに課金してしまい、高額な請求を受けたという内容でした。

「化粧品」と「健康食品」は、SNS等でお得な初回お試し価格などの広告を見て、1回限りのつもりで商品を購入したところ、2回目の商品が届き、実は複数回購入が条件の定期購入契約だったという相談がほとんどです。この2つの相談で、中・高校生ともに相談全体の1割以上を占めています。化粧品」は歯磨き粉や美容液など、また「健康食品」はダイエットサプリなどに関する相談が多くなっています。

次に、アダルト情報」ですが、小・中・高校生全てで、一定の割合を占めています。子供がアダルトサイトにアクセスしたら、突然、登録完了画面が表示され、慌てて業者に連絡したところ、高額な請求を受けたなどの相談が多くなっています。

このほか、小・中・高校生全体で電子書籍などの「他の娯楽等情報配信サービス」、小・中学生で「玩具・遊具」、タレントファンクラブや動画サイトの投げ銭などの「教養・娯楽サービスその他」、中・高校生で「コンサート」、高校生で「紳士・婦人洋服」などに関する相談が目立ちます。表1)

表1 令和5年度 小学生・中学生・高校生別 相談が多く寄せられた商品・サービス別一覧

小学生(276件)
商品・サービス 件数 構成比
インターネットゲーム 214 77.5%
玩具・遊具 7 2.5%
教養・娯楽サービスその他※2 7 2.5%
アダルト情報 5 1.8%
映像配信サービス 4 1.4%
他の娯楽等情報配信サービス※1 4 1.4%
スポーツ・健康教室 3 1.1%
筆記用具 2 0.7%
学習塾 2 0.7%
菓子類 2 0.7%
中学生(381件)
商品・サービス 件数 構成比
インターネットゲーム 161 42.3%
化粧品 32 8.4%
健康食品 21 5.5%
アダルト情報 14 3.7%
他の娯楽等情報配信サービス※1 7 1.8%
教養・娯楽サービスその他※2 7 1.8%
コンサート 6 1.6%
玩具・遊具 6 1.6%
パソコン 5 1.3%
映像配信サービス 5 1.3%
高校生(441件)
商品・サービス 件数 構成比
インターネットゲーム 70 15.9%
化粧品 39 8.8%
紳士・婦人洋服 22 5.0%
健康食品 18 4.1%
コンサート 11 2.5%
エステティックサービス 11 2.5%
アダルト情報 10 2.3%
他の娯楽等情報配信サービス※1 10 2.3%
医療サービス 10 2.3%
役務その他サービス 9 2.0%
  • ※1 「他の娯楽等情報配信サービス」は、アダルト情報サイト、音楽配信サービス、映像配信サービス以外の様々な娯楽等情報配信サービスに関する相談
  • ※2 「教養・娯楽サービスその他」は、懸賞サイトやダビングサービスなど他に分類することができない教養・娯楽サービスに関する相談等

相談事例

インターネットゲーム課金の取消し

小学生の子供が親のスマホを勝手に操作して、インターネットゲームで高額な課金をしたようだ。未成年者が保護者の同意を得ずに行ったことだが、引き落としされてしまった。返金を求めたいので、どう対処すればよいか教えてほしい。

消費者及び教員の方へのアドバイス

子供が、親に無断でインターネットゲームに高額な課金をしてしまったというトラブルの相談が多く寄せられています。子供にスマホやゲーム機などのインターネットに接続できる機器を与えるときは、親の管理(ペアレンタルコントロール、フィルタリングなど)を行ってください。親の知らないところでゲーム等に課金をしないように、機器へのクレジットカード情報の登録状況やキャリア決済※3の設定状況を確認するとともに、パスワードや暗証番号等の管理を徹底しましょう。

未成年者が行った契約は取消しができる場合があります。ただし、未成年者が成年者であるかのように偽った場合などは、取消しが認められないこともあります。

※3 キャリア決済とは、携帯電話会社のIDやパスワード等による認証により、商品等を購入した代金を携帯電話の利用料金等と合算して支払うことができる決済方法のこと。

定期購入のトラブル

中学生の娘がSNSで広告を見て化粧水を購入した。いつでも自由に解約できるという条件の定期購入契約で、初回お試し価格で買えることから、1度のみ試すつもりだったらしい。申込みの際、定期購入の解約は次回発送予定日の10日前までに電話すればできると理解し、それ以外の規約はよく読まず契約したという。1回目の商品到着後すぐに、解約しようと事業者に電話しているが、混み合っていてつながらない。2回目以降の代金が高額なので、どうしたらよいか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

SNS等の広告の中には、未成年者が気軽に購入できるような金額で「初回お試し価格」モニター価格」等と強調表示されているものもあります。定期購入の条件付きで高額な契約と気づかず申し込んでしまったが解約できず、困っているという相談が多く寄せられています。2回目の商品が届き、代金を請求されて初めて定期購入だったと知った場合、また解約の電話がつながらない場合などは、すぐに保護者や消費生活センターに相談してください。

こうした販売方法があることを知るためにも、契約トラブル等について学校や家庭で話し合いましょう。申込みをするときは、サイト内に記載されている購入条件や解約方法をきちんと確認することが大事です。最終確認画面をスクリーンショットで保存することも、トラブルが生じた場合に有効です。

アダルト情報サイトのワンクリック請求

高校生の息子がスマホでアダルトサイトを開いた。年齢確認の画面が出て、18歳以上」のボタンを押すと同時に、会員登録完了」の表示と料金を請求する画面が出たらしい。登録の取消しをしようと画面に出ている事業者の電話番号に連絡をすると、料金を払わなければ弁護士を立てて裁判で請求すると言われたが、支払わなくても大丈夫か。

消費者及び教員の方へのアドバイス

これは、「ワンクリック請求」と呼ばれる手口です。画面に、クリックするとアダルトサイトへの有料登録になるとはっきり記載されていたわけではないので、契約成立とは言えないにもかかわらず、消費者に契約したと思わせて高額な料金を請求するものです。このような場合は、連絡をすると事業者に連絡先を教えることになるので、無視して絶対に連絡しないでください。

〜「成年年齢引下げ」に伴う若年者の消費者被害を防止するために〜

令和4年4月民法が改正され、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成年になると、親の同意なく契約することができますが、一方で、未成年者取消権を行使できなくなります。成年年齢に達すると同時に、自動的に成人としての責任を踏まえて行動できるようになるわけではないため、実践的・効果的な消費者教育を早い段階から行っていくことが大事です。