ここから本文です

東京都消費生活総合センターからのお知らせ

令和4年度
小学生・中学生・高校生の消費生活相談概要

東京都消費生活総合センター 相談課

令和4年度に東京都内の消費生活センターに寄せられた相談総数は130,088件で、そのうち「若者相談」(契約当事者が29歳以下である相談)は17,229件であり、全体の13.2%でした。

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談件数

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談総数は1,264件で、前年度の1,308件に対して3.4%減少しています。またその内訳は、小学生270件、中学生430件、高校生564件でした。(図1)

【図1】 契約当事者が小・中・高校生の相談件数

図1に関する棒グラフ

相談内容の内訳

小・中・高校生ごとにみると、いずれも「インターネットゲーム」「化粧品」「健康食品」が上位5位の中に入り、相談の多くを占めています。

特に「インターネットゲーム」は、小学生の相談全体の69.6%を占め、中学生の相談でも42.1%になっています。ほとんどの相談は、子供が親に言わずに親のスマートフォンやクレジットカードを使って課金し、高額な請求を受けたという内容でした。

「化粧品」と「健康食品」は、どちらも、お試し価格や数百円などを強調した広告にひかれ、1回限りのつもりで商品を購入したところ、2回目の商品が届き、実は複数回の継続購入の契約だったことに気付くというような定期購入に関するトラブルがほとんどです。これらの相談を合わせると、中学生・高校生ともに全体の2割以上を占めています。「化粧品」は脱毛クリームやマウスウォッシュ、美容液など、「健康食品」はダイエットサプリなどに関する相談が多くなっています。

次に、「アダルト情報」ですが、小・中・高校生全てで、それぞれ数%と一定の割合を占めています。子供がアダルトサイトを見ていて、いつのまにか有料登録になったと画面表示され、慌てて事業者に連絡したところ、高額な支払いを要求されたというような相談が多くなっています。

このほか、全体で「玩具・遊具」小・中学生で「映像配信サービス」中学生で「コンサート」高校生で「紳士・婦人洋服」・「エステティックサービス」・「出会い系サイト・アプリ」などに関する相談が多くなっています。(表1)

【表1】 令和4年度 小学生・中学生・高校生別 相談が多く寄せられた商品・サービス別一覧

小学生(270件)
商品・サービス 件数 構成比
インターネットゲーム 188 69.6%
玩具・遊具 12 4.4%
アダルト情報 12 4.4%
化粧品 9 3.3%
健康食品 7 2.6%
映像配信サービス 4 1.5%
遊興施設利用 4 1.5%
ソフトウェアライセンス 3 1.1%
他のネット通信関連サービス※1 2 0.7%
他の娯楽等情報配信サービス※2 2 0.7%
教養・娯楽サービスその他※3 2 0.7%
中学生(430件)
商品・サービス 件数 構成比
インターネットゲーム 181 42.1%
化粧品 66 15.3%
健康食品 40 9.3%
アダルト情報 14 3.3%
映像配信サービス 10 2.3%
コンサート 7 1.6%
玩具・遊具 6 1.4%
歯みがき用品 4 0.9%
他の娯楽等情報配信サービス※2 4 0.9%
携帯電話 3 0.7%
出会い系サイト・アプリ 3 0.7%
医療サービス 3 0.7%
エステティックサービス 3 0.7%
高校生(564件)
商品・サービス 件数 構成比
化粧品 78 13.8%
インターネットゲーム 52 9.2%
紳士・婦人洋服 42 7.4%
健康食品 39 6.9%
エステティックサービス 28 5.0%
出会い系サイト・アプリ 18 3.2%
コンサート 17 3.0%
アダルト情報 13 2.3%
玩具・遊具 11 2.0%
医療サービス 11 2.0%
  • ※1 「他のネット通信関連サービス」は、インターネット接続回線以外のモバイル向けでないインターネット通信に関連したサービスに関する相談
  • ※2 「他の娯楽等情報配信サービス」は、アダルト情報サイト、音楽配信サービス、映像配信サービス以外のさまざまな娯楽等情報配信サービスに関する相談
  • ※3 「教養・娯楽サービスその他」は、懸賞サイトやダビングサービスなど他に分類することができない教養・娯楽サービスに関する相談等

相談事例

インターネットゲーム課金の取消し

小学校高学年の子供に専用のスマホを与えている。子供のスマホは高額な決済ができないので、親のスマホを操作し利用限度額を引き上げて、インターネットゲームで次々と課金をしたようだ。未成年者契約の取消しを事業者に申し出たが、対応してもらえなかった。なんとかならないか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

子供が、親の気付かないうちにインターネットゲームで高額な課金をしてしまうトラブルの相談が多く寄せられています。子供にインターネットに接続できる機器を与えるときは、親権者の管理(ペアレンタルコントロール、フィルタリングなど)が必要不可欠です。子供が親の目が届かぬところで、ゲーム等で課金をしてしまわぬように、機器へのクレジットカード情報の登録状況やキャリア決済※4の設定状況を確認し、暗証番号等の管理を徹底しましょう。未成年者が行った契約は取消しができる場合があります。ただし、未成年者が成年であるかのように偽って事業者をだました場合など、取消しができなくなることもあります。

※4 キャリア決済とは、携帯電話会社のIDやパスワード等による認証で商品等を購入した代金を、携帯電話の利用料金等と合算して支払うことができる決済方法のこと。

後から気付いた定期購入のトラブル

中学生の娘が動画共有SNSの広告を見て、美容液を購入した。お試しの安い価格で買えるとのことだったので、1回だけ試すつもりだった。ところが、後から自分が申し込んだのは4回受取が条件の定期購入の契約で、2回目以降の代金は中学生には払えない高額なものだと知り怖くなった。事業者の連絡先にキャンセルの電話をずっとしているが、電話が繋がらない。どうしたらよいか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

SNS等では、多くの広告をいやおうなしに見ることになります。その中には、初回は未成年者が気軽に購入できる金額で「お試し価格」「モニター価格」等と表示されているため、高額な化粧品やサプリメントなどの定期購入契約を意図せず申し込んでしまったというトラブルの相談が多く寄せられています。2回目以降の商品が届き、代金を請求された場合は、すぐに保護者や消費生活センターに相談してください。

普段から、こうした販売方法があるということを知るためにも、契約トラブル等について学校や家庭で話し合いましょう。申込みをするときは、サイト内に記載されている購入条件や解約のルールまできちんと確認し、最終確認画面をスクリーンショットで保存しておくと、トラブルが生じた場合に役に立ちます。

アダルト情報サイトのワンクリック請求

高校生の息子がスマホで、たまたまアダルトサイトを開いた。年齢確認画面が出て、「18歳以上」のボタンを押したところ、突然「有料会員登録完了」の表示が出たらしい。画面に記載のあった事業者の電話番号に登録取消しの連絡をすると、すでに有料会員登録が済んでいるので、コンビニで電子マネーを買って35万円支払うように指示があった。支払わなければならないか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

これは、「ワンクリック請求」と呼ばれる手口です。クリックするとアダルトサイトへの有料登録となることがはっきり分かるように記載されていたわけではないので、契約の成立と言えないにもかかわらず、消費者に契約をしたと思わせて高額な料金を請求するものです。このような場合は、事業者に連絡せず、無視するのが得策です。連絡をすると事業者に連絡先を教えることになるので、絶対に連絡しないでください。

〜「成年年齢引下げ」に伴う若年者の消費者被害を防止するために〜

令和4年4月の改正民法施行により、成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられました。そのため18〜19歳の消費者被害に対して未成年者取消権が使えなくなっており、今後、若年者の被害が増加する恐れがあります。成年年齢に達すると同時に、成人としての責任を踏まえて行動できるようになるわけではないため、実践的・効果的な消費者教育を早い段階から行っていくことが大事です。