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東京都消費生活総合センターでは、7月23日から8月8日に、小・中・高等学校、特別支援学校等の教職員を対象とした「教員のための消費者教育講座」を実施しました。今年度は、座学講座10講座(下表No.1〜10)、実験講座3講座(下表No.11〜13)を企画実施し、延べ1,073名の方に受講いただきました。
座学講座のうちNo.1〜No.9の講座は、飯田橋、立川(サテライト中継)で会場受講とライブ配信によるオンライン受講で実施しました。また、昨年好評だった独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)を訪問し見学する講座(No.10)をアンコール講座として実施しました。
当センターの相談課技術支援担当職員による実験講座では、受講者が実験器具を使用し、飯田橋、立川の2会場でそれぞれ実施しました。
講座内容は、インターネットを多く利用する若者に向けた、情報セキュリティや正しいインターネット広告の見方などの情報を学ぶ講座、自立した消費者として身に付けたい金融教育の講座、サステナブルファッションをテーマとした持続可能な社会生活を実感できる講座など、学校での授業にすぐに役立つ実践的なものを実施し、受講者の約9割以上から「充実していた、参考になった」との満足の声をいただきました。(受講者アンケート601通より)
| No. | 分野 | 講座テーマ | 受講者数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 金融 | 【模擬授業体験】家庭科&公民科コラボ授業体験 〜お金の選択肢を身に付け、より良い人生を生きよう〜 | 93 |
| 2 | 情報 | そのクチコミ、ネット広告、本当? 〜ステルスマーケティング&ターゲティング広告の実態と生徒に伝えたいこと〜 | 79 |
| 3 | エシカル消費 | ファッションを持続可能に! 〜ファッションから考える持続可能な未来〜 | 112 |
| 4 | 情報 | あなたの情報管理は大丈夫? 情報セキュリティを学ぶ | 103 |
| 5 | 法律 | 食品の情報を正しく理解し、賢い選択を 〜成長期の生徒にこそ、伝えたい食品表示〜 | 116 |
| 6 | 金融 | 学校向け教材「正しい理解からはじめるキャッシュレス!クレジット入門」活用法 | 125 |
| 7 | 契約 | 東京都に寄せられる若者の相談事例と対処法 | 87 |
| 8 | 概論 | 学校における消費者教育の指導について | 98 |
| 9 | 法律 | 教育現場での著作物の利用ルール 〜著作権法第35条を中心として〜 | 99 |
| 10 | 製品 | 製品安全を考える施設見学(NITEスクエア) | 25 |
| 11 | 住 | 不要な携帯電話、どのように処分したら良い? | 36 |
| 12 | 衣 | 吸水速乾性素材の特徴を理解する 〜他の繊維素材との比較を通して考える〜 | 51 |
| 13 | 食 | いろいろできま酢! “酢のちから” | 49 |
| 受講者(オンライン受講・会場受講)総数 1,073名 | |||
教員講座は、校種・教科・指導経験年数とも、多岐にわたる先生方にご受講いただいております。
「家庭基礎」の消費生活分野の中で、金融教育「投資信託の運用方法について理解しよう!」というテーマのもと、コラボ授業を体験しました。教科の垣根を越えて授業を行うことになった経緯や利点などもお話しいただきました。
受講者からは、教科間の連携方法について学ぶことができた、教材や授業展開のヒントをいただいたなどの声がありました。
インターネット広告の注意点、AIによるターゲティング広告の現状、消費者被害と注意すべきポイントについてお話しいただきました。
受講者からは、口コミや広告の真偽を判断する必要性についてよく分かった、SNSを利用する生徒が多いため、被害者にも加害者にもならないよう注意を促したいとの感想がありました。
環境省職員である講師に、日本における繊維製品の資源循環の現状とサステナブルファッションへ向けた各自の取組の重要性について学びました。
受講者からは、持続可能な衣生活の課題設定や授業に活用したいとの声がありました。
同機構の相談窓口に寄せられた相談事例をもとに、インターネットにおける詐欺、偽セキュリティ警告などの現状と対策や対処法についてわかりやすく伝える手法を学びました。
受講者からは、情報セキュリティについて学んだ対処法を生徒に伝え、いざという時に落ち着いて対処できるよう指導したいなどの感想がありました。
食品表示に関する法律について、制定された経緯、時代に合わせて改訂が繰り返されている背景、栄養成分表示について、着目すべきポイントなどを解説いただきました。
受講者からは、法律改正後の知識のブラッシュアップができたなどの声がありました。
前半は、クレジットカードの概要説明の後、協会が発行している教材の紹介と授業のポイントを紹介いただきました。後半は、不正使用、詐欺被害と被害防止の対策等について学びました。
受講者からは、クレジットカードやキャッシュレス決済の教材解説が分かりやすく、今後の授業に活かしたいという感想を多数いただきました。
センター相談員が、最近の若者の相談事例と対応を紹介、若者が消費者トラブルに遭う原因とトラブル防止のポイントを話しました。
受講者からは、若者に多いインターネットトラブルのチェックポイントや解決方法を知ることができたので生徒に啓発する際の参考にしたいなどの感想がありました。
前半では、学校での消費者教育が重視される背景の解説、後半は、学習指導要領、消費者教育推進法、エシカル消費などの概論を踏まえて、授業で役立つ教材の紹介や消費者教育の最新情報をお話しいただきました。
受講者からは、消費者教育の手法、教材や動画のサイトの紹介が、授業のヒントとなりました、などの感想がありました。
著作権法第35条をもとに、学校教育において適切に著作物を利用する上で注意すべき点、学校教育を離れた場面で著作物を利用する際に注意すべき点、著作権法の視点から見た生成AIの利用についてお話しいただきました。
受講者からは、著作権は難しい分野だと思っていたが、わかりやすく解説していただき、著作物の扱いについて、生徒ともども注意したいと感じたなどの意見がありました。
前半は、NITEの業務紹介、製品安全分野の業務概要、製品事故事例などを説明いただき、後半の施設見学では、実際の事故品や、再現テスト室、X線CT解析試験室を見学しました。
受講者からは、リチウムイオン電池は生徒が日常使用しているハンディファンやモバイルバッテリーに使用されており、その事故動画を見て身近な製品の取扱いにも注意が必要だと実感した、生徒が誤った使い方や危険な使い方をしないよう呼び掛けたいなどの感想がありました。
前半は、小型家電リサイクルの法体系と仕組み、記録媒体などのデータ消去の仕方、各種電池の廃棄方法(分別方法)について学びました。
後半は、実際に携帯電話やデジカメ、パソコンのハードディスクのデータを消去したり、収集ボックスに見立てた容器に各種電池を分別したりしました。
受講者からは、電池の種類を知り、正しく廃棄できれば、大きな事故が防げることを授業を通して児童、生徒に伝えたいとの感想が寄せられました。
前半の講義では、天然繊維、機能性繊維の性質や仕組みについて学び、後半は、さまざまな布を用いて吸水性の違いを2つの方法で計測、接触冷感の生地に触れて温度感の違いを体験しました。
受講者からは、繊維の特性について整理できた、身近にある道具を用いて実験器具を作ることができて授業に取り入れてみたいと思ったなどの感想をいただきました。
前半は、「酢」の製造方法、種類、効果など概要を学び、後半は、「酢」の酸度、pHの測定、「お酢で牛乳が固まるしくみ」を利用したカッテージチーズ作りを行いました。
受講者からは「酢」の種類によってチーズの固まり方が違い、授業で展開したら楽しく学べそうだとの感想がありました。