ここから本文です
東京都消費生活総合センターでは、7月24日から8月9日に、小・中・高等学校、特別支援学校等の教職員を対象とした「教員のための消費者教育講座」を実施しました。今年度は、座学講座10講座(下表No.1〜10)、実験講座3講座(下表No.11〜13)を企画実施し、延べ1,096名の方に受講いただきました。
座学講座のうちNo.1〜No.8の講座は、飯田橋、立川(サテライト中継)での会場受講と同時ライブ配信でのオンライン受講で実施し、No.9【模擬授業体験】は飯田橋、立川の2会場で実施しました。また、今年度は独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)を訪問し見学する講座(No.10)も実施しました。
当センターの技術支援担当職員による実験講座では、受講者が実験器具を使用し、飯田橋、立川の2会場でそれぞれ実施しました。
講座内容としては、インターネットを多く利用する若者に向けた、情報モラルや正しい広告の読み取りなどを学ぶ講座、自立した消費者として身に付けたい金融教育の講座、エシカル消費やSDGsをテーマとした持続可能な社会生活を実感できる講座など、学校での授業にすぐに役立つ実践的なものを実施し、受講者の9割弱から「充実していた」との声をいただきました。(受講者アンケートより)
No. | 分野 | 講座テーマ | 受講者数 |
---|---|---|---|
1 | SDGs | SDGs時代に目指すべき探究の姿 〜サステナビリティ概念の歴史的変遷を踏まえ〜 | 64 |
2 | 法律 | 「消費生活」に関する授業で押さえておきたい法律の基礎知識 | 133 |
3 | 契約 | 東京都に寄せられる若者の相談事例と対処法 | 128 |
4 | 情報 | 【令和5年度東京都作成Web教材】ちえとまなぶのず〜っと役立つお金の話 〜キャッシュレス決済に挑戦してみよう! 〜 | 121 |
5 | エシカル消費 | 食品ロスを減らすための冷凍食品活用術 | 127 |
6 | 金融 | 人生100年時代を生き抜くために大切なこと 〜生活設計とリスク管理〜 | 104 |
7 | 情報 | ネット社会の歩き方 〜情報を科学的に理解する〜 | 105 |
8 | 情報 | 広告を学び、読み解く力を高める 〜高等学校での授業の実践〜 | 97 |
9 | 金融 | 【模擬授業体験】高2公共「資産形成における金融の選択」 | 66 |
10 | 製品 | 製品安全を考える施設見学(NITEスクエア) | 29 |
11 | 実験 食 | 安全でおいしい水、あなたはどれを選びますか? 〜水道水、浄水、ミネラルウォーターについて〜 | 43 |
12 | 実験 衣 | 衣類を清潔で美しく保つために 〜商業クリーニングの解説としみ抜き体験〜 | 42 |
13 | 実験 住 | 追跡!電気の流れ 〜電気供給の仕組みと安全使用の心得〜 | 37 |
受講者(オンライン受講・会場受講) 総計 1,096名 |
教員講座は、校種・教科・指導経験年数とも、多岐にわたる先生方にご受講いただいております。
SDGsの本質と歴史的変遷、持続可能な社会の実現に向けた探究活動や総合学習へのつながり等の授業実践例をご紹介いただきました。
受講者からは、SDGsという世界的な視点が求められる教育の形や、SDGsから探究の指導に繋がっていく部分などが授業のヒントになったとの感想が寄せられました。
消費者契約に関する法律(民法、消費者契約法、特定商取引法)を分かりやすく解説し、契約の成立と解約、クーリング・オフについて事例を交えて説明いただきました。
受講者からは、各法律を関連付けて理解することができた、消費者トラブルに救済の方法があることや生徒への指導方法などを伺い、授業に生かしていきたいなどの感想がありました。
センター相談員が、最近の若者の相談事例を紹介し、消費者トラブルに遭う原因と対処法、トラブルに遭わないための注意点などを説明しました。
受講者からは、定期購入など身近な事例が多く、授業の参考にしたいとの感想をいただきました。
都作成のWeb教材を実際に操作しながら、教材を使った指導を行う上でのポイント、特別な支援を要する生徒への指導の留意点などをお話しいただきました。
ゲームを通してキャッシュレス決済を学べるので、授業に取り入れてみたいなどの声が多く寄せられました。
前半は冷凍食品の概要について、後半は食品ロスと食品ロス削減に向けての冷凍食品の活用について学びました。
受講者からは、冷凍食品が食品ロスの削減に役立っていることを知った、冷凍食品の利用を授業に取り入れてみたいなどの感想がありました。
中学校、高等学校の学習指導要領で触れることとされている民間保険についてや、保険を含む生活設計におけるリスク管理等について、生徒への伝え方を教材を使って学びました。
受講者からは、実践的な講座運営を学ぶことができた、将来の生活設計と資金計画はセットで考えていくことを生徒に伝えていきたいといった感想をいただきました。
前半は、ネット社会の現状、情報モラルの意義と指導法、教材の活用方法について学びました。後半は、校種ごとに班を分けて、情報モラルについてどの教材を使ってどのようなことを生徒に伝えるかを論議するグループワークを行いました。
受講者からは、多くのWeb教材の紹介があり、生徒への情報モラルの伝え方を具体的に学べた、他校の教員と意見交換できたのが良かったという感想がありました。
広告についての概要や現状、広告に関する法律と事例について解説いただき、広告を見る際の注意ポイントなどを学びました。
受講者からは、インターネット広告を多く目にする生徒に、広告を正しく読み取る注意点について分かりやすく伝えることのできる内容で役に立ったとの感想が寄せられました。
講師が「公共」の授業で行っている『ロールプレイングで学ぶ金融商品の選択』の模擬授業を行いました。金融商品の「購入側」と「販売側」に分かれどれが詐欺商品かを見破るというゲームを体験し、金融商品の選択において留意すべき点、若者が購入・契約の判断に至る心理、投資詐欺への対応を学びました。
受講者からは、リアリティのある資料や生徒が馴れ親しんだゲームに近いルールなど、生徒が金融を自分ごとに引き寄せられる実践的な授業展開になっていて勉強になったなど、今後の授業の参考になったとの意見がありました。
NITEの紹介、製品安全分野の業務概要、製品事故事例などの説明後、NITEスクエアに展示されている実際の事故品、再現テスト室でのガストーチを使った再現実験、CT解析試験室でのリチウムイオン電池のX線解析を見学しました。
受講者からは、普段見られない施設や実験を見ることができ、製品安全への理解が深まったなどの感想が寄せられました。
実験では、パックテストを用いてそれぞれの水の残留塩素や硬度を測定しました。その後、活性炭、イオン交換樹脂を用いて浄水効果を確認しました。
受講者からは、水について考える機会がなかったが、実験を通して身近な水への理解を深めることができたなどの感想がありました。
様々な性質の洗剤等を用いて、素材の違う布についた落としにくい汚れを落とす実験をしました。
受講者からは、洗濯や洗剤に対する理解が深まり、授業で実習を行う際の参考にしたいとの声が多くありました。
実験では、過電流による分電盤の遮断機の動作確認や、IH調理器の通電によるコードの温度上昇測定を行いました。
受講者からは、電気の仕組みや漏電の怖さ、コードの取扱い方次第で大きな事故に繋がることなど様々な内容が理解できた、授業だけでなく学校や家庭での電気の取扱いにも役立てたいとの感想をいただきました。