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東京都消費生活総合センターからのお知らせ

すぐに役立つ!令和3年度「教員のための消費者教育講座」実施報告

東京都消費生活総合センター 活動推進課

東京都消費生活総合センターでは、小・中・高等学校、特別支援学校の教職員を対象とした「教員のための消費者教育講座」を開催しています。今年度は、当初8月16日から8月20日の日程で5テーマ・15回(オンライン配信・飯田橋会場・立川会場)の講座を開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止措置のため、オンライン配信のみの開催となりました。当センターが制作した消費者教育教材の解説講座や、特別支援学校向けの金銭管理講座などを実施し、延べ366名の先生方に参加して頂きました。

ご参加頂いた先生方の概要

オンライン配信後、169名の先生方からアンケートのご回答を頂きました。集計結果の一部をご紹介します。

1)校種をお選びください。

小学校 4%、中学校 31%、高等学校 29%、中高一貫校 11%、特別支援学校 24%、教員以外 1%

2)担当教科をお選びください。

家庭科 63%、技術科 2%、社会科 6%、全科(小学校) 9%、その他 19%、教員以外 1%

3)当講座に参加した理由は何ですか(複数回答可)

テーマに興味・関心がある 37%、講師に興味・関心がある 5%、授業の内容に関係が深い 19%、教材の情報を得たい 20%、生徒指導に役立てたい 19%

オンライン配信講座の概要

オンライン配信の様子

Microsoft Teamsのオンライン会議システムを使用し、当センター内の会場から映像をリアルタイムで配信し、職場や自宅で視聴して頂きました。

講座案内スライド

「遠隔地から受講ができる」というメリットがある一方、「受講者同士の顔が見えず、相互のコミュニケーションが取りにくい」というデメリットもありました。当センターの今後の講座のあり方について検討するきっかけとなりました。

受講者の感想より

  • 会場まで行かずに学ぶことができるのは、本当にありがたいです。オンラインだと、資料もパソコン上できちんと見ることができ、分かり易くてとても良かったです。
  • 直接参加できず残念でしたが、声もよく聞こえ、講師の方の声も聞き取りやすかったです。

令和2年度改訂 消費者教育WEB教材解説】
情報社会を泳ぎきる! かしこいヒツジへの道」

令和2年度改訂 消費者教育WEB教材
 弁護士 白石 裕美子

若年者のスマートフォン所有率の増加と共に、インターネットに関わるトラブルが増加しています。当講座では、弁護士である講師から、「通信販売トラブル」「架空請求」「オンラインゲームの高額請求」にかかわる問題点と法律的知識について解説して頂きました。高校生や大学生をめぐる最新の相談事例の紹介を通し、被害回復の難しさや、契約前に冷静に考えることの大切さを学びました。

受講者の感想より

  • 成年年齢引下げに伴う数々の問題を教員が理解した上で生徒に伝えることが、問題が起きる前にできる最善の手段ではないかと思います。この講座を機に、生徒に伝えられるよう勉強していきます。
  • 大学サークル内での無料エステの勧誘などの事例が大変参考になりました。生徒が我が事として受け止められるよう多くのヒントをいただきました。
  • 悪質なネット通販業者と契約すると被害回復が難しい、という事例が改めて分かりました。

令和2年度制作 消費者教育DVD解説】
パピ君と学ぶ! キャッシュレス社会の歩き方」

令和2年度制作 消費者教育DVD
 ファイナンシャル・プランナー/生活経済ジャーナリスト あんびる えつこ

新しい決済システムが次々と開発され、クレジットカードの利用が日常生活の一部になっています。当講座では、子供の「お金教育」について長年取り組むファイナンシャル・プランナーである講師から、キャッシュレス社会の現状と注意点について解説して頂きました。また、消費者教育で重要な「学び合い」の実践例として、オンライン上でワークショップ(キャッシュレス編、多重債務編、家計管理編)を実施しました。

受講者の感想より

  • クレジットカードや債務に関する話だけでなく、「希少性の配分」という点から価値観や人生観にもつながる話になり、とても興味深かったです。
  • 動画を用いて分かりやすく説明していただいたので、自分自身の勉強ともなりました。
  • ワークショップが楽しかったです。「授業でやったら」と想像しながら、参加できました。学び合いの意義を改めて感じました。

令和元年度制作 消費者教育DVD解説】
ホントに"いいね!" ? その契約」

令和元年度制作 消費者教育DVD
 東京経済大学 現代法学部教授 村 千鶴子

令和4年4月の成年年齢引下げを目前に控え、若年者に消費者トラブルの回避方法を周知する必要に迫られています。当講座では、弁護士であり、大学教授である講師から、成年年齢引下げの経緯や、最近の消費者トラブル事例について解説して頂きました。大学の教鞭に立ち、日々学生と対話を重ねている経験から、若者がトラブルに遭う背景や特徴について教えて頂きました。

受講者の感想より

  • 大学生とのやり取りが実践的で分かり易く、臨場感いっぱいで楽しい時間でした。
  • 大学生の状況を交えての話が、授業で生徒に話す時のヒントとなり、参考になりました。18歳成年にあたって、中高の教育のあり方についても考えさせられました。
  • 若者の断る力の弱さを再確認しました。

お金の感覚を磨こう! トラブル防止に向けた課題と支援を考える」

オンライン配信中の講師の様子
 相談支援専門員/社会福祉士 江國 泰介

お金をめぐる社会環境が激変する今、支援が必要な若者に対する「お金の教育」が急務の課題となっています。当講座では、グループホームや障害者就労支援拠点で長年知的障害者の支援を続ける講師から、経験に基づいた実践的な金銭管理の方法とトラブル防止策について解説して頂きました。後半は講師にご協力頂き、当センターが特別支援学校向けに制作したWEB教材の使用方法を紹介しました。

受講者の感想より

  • 将来の自立に向けた支援として、お金の感覚を学んでいくことの重要性を改めて感じました。授業で取り上げ、生徒の自立支援を行っていきたいです。
  • 多くの障害者の方を支援してきた先生の話は、実感として感じてきたことが多く、とてもイメージがしやすかったです。
  • 定時制高校には発達障害の傾向がある生徒も在籍しているため、障害がある生徒に金銭感覚を学んでもらうための視点が得られて役に立ちました。

東京都に寄せられる若者の相談事例と解決方法を学ぼう」

オンライン配信中の講師の様子
 東京都消費生活総合センター 消費生活相談員

都内の消費生活センターに寄せられる中高生からの相談件数は年々増加しています。成年年齢引下げ後は、10代からの相談が更に増加することが予想されます。当講座では、当センターの消費生活相談員が、通信販売の定期購入、エステティックに関するトラブル、美容関連の重大危害などの相談事例を紹介し、トラブルの解決方法について解説しました。「若者トラブルのキーワードは3つのS(スマートフォン・SNS・借金)」という話を基に、トラブルに遭いやすい若者の傾向や、トラブルに遭った時の対処方法について学びました。

受講者の感想より

  • 年々、相談の内容が変化し、コロナ禍で騙す方も手を替え品を替えだと思います。生徒に具体的に伝えられる内容でありがたかったです。
  • 生徒に対し、「困った時は、消費生活センターに相談することが大切」と伝えています。今までは、実際にどのように解決しているか分かりませんでしたが、この講義を聞いてよく分かりました。
  • 一度トラブルに巻き込まれると、時間もお金も費やすことになります。予備知識が非常に大切だと感じました。
各講座の受講者数
No. 分野 講座テーマ 受講者数
1 情報 「情報社会を泳ぎきる! かしこいヒツジへの道」 70名
2 金融 「パピ君と学ぶ! キャッシュレス社会の歩き方」 86名
3 契約 「ホントに"いいね!" ? その契約」 74名
4 金融 お金の感覚を磨こう! トラブル防止に向けた課題と支援を考える 69名
5 契約 東京都に寄せられる若者の相談事例と解決方法を学ぼう 67名