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東京都消費生活総合センターからのお知らせ

令和3年度 小学生・中学生・高校生の消費生活相談概要

令和3年度に東京都内の消費生活センターに寄せられた相談総数は124,095件で、そのうち「若者相談」(契約当事者が29歳以下である相談)は15,948件であり、全体の12.9%でした。

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談件数

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談総数は1,308件で、前年度の1,696件に対して22.9%減少しています。またその内訳は、小学生314件、中学生461件、高校生533件でした。(図1)

図1 契約当事者が小・中・高校生の相談件数

図1に関する棒グラフ

相談内容の内訳

小・中・高校生全体でみると、「インターネットゲーム」「化粧品」「健康食品」が上位3位を占めています。

「インターネットゲーム」では、特に小学生の相談が65.6%と多く、中学生の相談でも36.2%になっています。親が気付かないうちに子供が親のスマートフォンやクレジットカードを使って課金したことで高額請求を受けたとの事例が多く寄せられています。

「健康食品」と「化粧品」は、いずれも、インターネットなどの通信販売で、複数回以上の継続購入であることに気付かなかったといういわゆる定期購入トラブルがほとんどです。これらの相談を合わせると、中学生・高校生ともに3割程度を占めています。「化粧品」は脱毛クリーム、マウスウォッシュ、シャンプー、美容液など、「健康食品」はダイエットサプリ、バストアップサプリ、青汁、筋肉増強サプリなどに関する相談が多くなっています。

次に、「アダルト情報」ですが、小・中・高校生全てで、約3%ずつと一定の割合を占めています。子供がアダルトサイトにアクセスし、動画の再生ボタンを押しただけで、多額の利用料金の請求が表示され、表示された業者の連絡先に連絡したところ、支払いを要求されたなどの相談が多くなっています。

このほか、全体で「玩具・遊具」、中高生で「出会い系サイト・アプリ」、高校生で「紳士・婦人洋服」などに関する相談も目立ちます。(表1)

表1 令和3年度 小学生・中学生・高校生別 相談が多く寄せられた商品・サービス別一覧

小学生(314件)
インターネットゲーム 206 65.6%
化粧品 19 6.1%
健康食品 18 5.7%
玩具・遊具 13 4.1%
アダルト情報 11 3.5%
他の娯楽等情報配信サービス※1 5 1.6%
映像配信サービス 4 1.3%
教養・娯楽サービスその他※2 4 1.3%
歯科治療 4 1.3%
学習塾 3 1.0%
中学生(461件)
インターネットゲーム 167 36.2%
化粧品 88 19.1%
健康食品 68 14.8%
アダルト情報 15 3.3%
玩具・遊具 8 1.7%
出会い系サイト・アプリ 6 1.3%
歯みがき用品 6 1.3%
携帯電話サービス 5 1.1%
学習塾 5 1.1%
他の娯楽等情報配信サービス※1 5 1.1%
高校生(533件)
化粧品 92 17.3%
健康食品 61 11.4%
インターネットゲーム 52 9.8%
紳士・婦人洋服 38 7.1%
アダルト情報 16 3.0%
コンサート 14 2.6%
他の娯楽等情報配信サービス※1 11 2.1%
玩具・遊具 8 1.5%
出会い系サイト・アプリ 7 1.3%
エステティックサービス 7 1.3%
運動靴 7 1.3%
音響・映像ソフト 7 1.3%
  • ※1「他の娯楽等情報配信サービス」は、アダルト情報サイト、音楽配信サービス、映像配信サービス以外のさまざまな娯楽等情報配信サービスに関する相談
  • ※2「教養・娯楽サービスその他」は、懸賞サイトやダビングサービスなど他に分類することができない教養・娯楽サービスに関する相談等

【相談事例】

インターネットゲームの課金トラブル

クレジットカードの利用明細に複数の覚えのない請求があることに気が付いた。小学生の息子に尋ねてもごまかそうとした。私名義のスマートフォンを息子に使わせているが、ペアレンタルコントロールをかけていなかったため、数ヵ月にわたり、インターネットゲームで高額課金を繰り返していたことが分かった。小学生の息子が利用したものなので未成年者契約の取消しが主張できるのか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

ここ数年、新型コロナウイルス感染拡大防止のため自宅で過ごす時間が増えたこともあり、インターネットゲームでの課金トラブルが増加傾向にあります。子供にインターネットに接続できる機器を与える時は親権者の管理(ペアレンタルコントロール、フィルタリングなど)が必要不可欠です。また、親権者はスマートフォン、タブレット端末におけるクレジットカード情報の登録状況やキャリア決済※3の設定状況を確認するとともに、使用時の暗証番号の管理を徹底しましょう。なお、未成年者が行った契約は取消しができる場合があります。ただし、未成年者が詐術(成年であるかのように事業者をだます行為)した場合など取消しができなくなることもあります。

※3 キャリア決済とは、携帯電話会社のIDやパスワード等による認証で商品等を購入した代金を、携帯電話の利用料金等と合算して支払うことができる決済方法のこと。

定期購入と気付かせずに購入させるトラブル

中学生の娘のスマートフォンに商品の発送準備ができたと通知が届いた。何を注文したのか問い詰めると、お試しのつもりで500円の脱毛クリームをスマートフォンで申し込み、コンビニで支払ったことを認めた。すぐに事業者のサイトを確認すると、5回購入縛りのある定期購入で、2回目以降は高額支払いを求められることが分かった。娘本人は1回だけだと思っており、定期購入の仕組みを全く理解していない。解約したいが、どうしたらよいか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

「お試し」「初回限定」「モニター」等と、未成年者がお小遣いで気軽に購入できる金額で広告し、高額な化粧品やサプリメントなどの定期購入契約をさせるトラブルに係る相談が依然として多く寄せられています。請求がきた時は放置せず、保護者や消費生活センターに相談することが大切です。また、こうした販売方法があるということを知り、学校や家庭で共有しましょう。申し込みをする時は、サイト内の購入条件や返品・解約のルールをきちんと確認しましょう。

アダルト情報サイトのワンクリック請求

中学生の息子がスマートフォンを使い、興味本位でアダルトサイトを見たらしい。「18歳以上」であるかの確認ボタンが出たので、クリックしてしまったら、突然、45万円の請求画面が出てきたと言っている。業者の電話番号が書いてあったので、取り消すため当方の携帯電話で連絡したら、携帯電話会社から個人情報を入手して、料金を書面で請求すると言っていたようだ。どうしたらよいか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

消費者に会員登録や契約をしたと思わせて高額な料金を請求する「ワンクリック請求」と呼ばれる手口です。クリックすることで有料のアダルトサイトへの登録となることが消費者にはっきり分かるように書かれていたわけではないので、契約は成立しているとは言えず、支払い義務も生じません。また、サイト事業者へ連絡すると自分から連絡先を教える結果になります。絶対に連絡しないでください。

〜「成年年齢引下げ」を踏まえ若年者の消費者被害を防止するために〜

令和4年4月の改正民法の施行により、成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられました。施行後、18〜19歳の被害に対して未成年者取消権が使えなくなったため、消費者被害が拡大する恐れが大いにあります。18歳で急に成人としての責任について自覚が芽生えるものではないため、早い時期から段階的に、繰り返し、社会情勢の変化に対応した実践的・効果的な消費者教育を行っていくことが必要です。