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令和2年度に東京都内の消費生活センターに寄せられた相談総数は136,635件で、そのうち「若者相談」(契約当事者が29歳以下である相談)は17,582件であり、全体の12.9%でした。
契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談総数は1,696件で、前年度の1,562件に対して8.6%増加しています。またその内訳は、小学生340件、中学生581件、高校生775件でした。(図1)
【図1】 契約当事者が小・中・高校生の相談件数
小・中・高校生全体でみるとオンラインゲームや映画配信サービスなどのインターネットを通じて得られる「デジタルコンテンツ」が上位を占め、特に小学生の相談では69.4%と多く、中学生の相談でも42.5%になっています。また、「健康食品」と「化粧品」で占める割合が、高校生の相談では約4割、中学生の相談でも約3割となっています。これは、インターネットなどの通信販売で、複数回以上の継続購入であることに気づかなかったといういわゆる定期購入トラブルがほとんどです。「健康食品」はダイエットサプリ、バストアップサプリ、筋肉増強サプリ、青汁など、「化粧品」は脱毛クリーム、ニキビケアクリーム、シャンプー、洗顔料などに関する相談が多くなっています。
このほか、「玩具・遊具」「音響・映像機器」などに関する相談も目立ちます。(表1)
「デジタルコンテンツ」の内訳を見ると、小・中・高校生ともに「オンラインゲーム」の相談が多くを占めています。「オンラインゲーム」では、親が気づかないうちに子どもが親のスマートフォンやクレジットカードを使って課金したことで高額請求を受けたとの事例が多く寄せられています。
このほかでは、「アダルト情報サイト」、セキュリティソフト、副業サイト、漫画サイト、情報商材のアプリ購入などの「他のデジタルコンテンツ※1」、有料サイト利用料の架空請求などの「デジタルコンテンツ@※2」に関する相談も寄せられています。(表2)
デジタルコンテンツ | 236 | 69.4% |
---|---|---|
健康食品 | 32 | 9.4% |
化粧品 | 15 | 4.4% |
玩具・遊具 | 8 | 2.4% |
スポーツ・健康教室 | 5 | 1.5% |
デジタルコンテンツ | 247 | 42.5% |
---|---|---|
健康食品 | 115 | 19.8% |
化粧品 | 65 | 11.2% |
携帯電話サービス | 11 | 1.9% |
玩具・遊具 | 10 | 1.7% |
健康食品 | 180 | 23.2% |
---|---|---|
デジタルコンテンツ | 153 | 19.7% |
化粧品 | 106 | 13.7% |
音響・映像機器 | 15 | 1.9% |
学習塾 | 11 | 1.4% |
教養・娯楽サービスその他 | 11 | 1.4% |
オンラインゲーム | 201 | 85.2% |
---|---|---|
アダルト情報サイト | 19 | 8.1% |
他のデジタルコンテンツ ※1 | 8 | 3.4% |
デジタルコンテンツ@ ※2 | 7 | 3.0% |
映画配信サービス | 1 | 0.4% |
オンラインゲーム | 163 | 66.0% |
---|---|---|
アダルト情報サイト | 34 | 13.8% |
他のデジタルコンテンツ ※1 | 27 | 10.9% |
デジタルコンテンツ@ ※2 | 11 | 4.5% |
映画配信サービス | 6 | 2.4% |
出会い系サイト | 5 | 2.0% |
音楽情報サイト | 1 | 0.4% |
オンラインゲーム | 53 | 34.6% |
---|---|---|
アダルト情報サイト | 32 | 20.9% |
他のデジタルコンテンツ ※1 | 23 | 15.0% |
映画配信サービス | 17 | 11.1% |
デジタルコンテンツ@ ※2 | 16 | 10.5% |
出会い系サイト | 10 | 6.5% |
音楽情報サイト | 2 | 1.3% |
クレジットカードとキャリア決済の請求額が例月より高額であることに気が付いた。小学生の娘に問いただすと、親名義のスマートフォンで3カ月にわたり、ゲームアプリや音楽アプリなどで高額課金を繰り返していたことが分かった。小学生の娘が利用したものなので未成年者契約の取消しが主張できるのか。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、自宅で過ごす時間が増えていることに伴い、オンラインゲームでの課金トラブルが増加傾向にあります。子どもにインターネットに接続できる機器を与える時は親権者の管理(ペアレンタルコントロール、フィルタリングなど)が必要不可欠です。また、親権者はスマートフォン、タブレット端末におけるクレジットカード情報の登録状況やキャリア決済※3の設定状況を確認するとともに、クレジットカードやキャリア決済の暗証番号の管理を徹底しましょう。なお、未成年者が行った契約は取消しができる場合があります。ただし、未成年者による詐術(成年であるかのように事業者をだます行為)があれば取消しはできません。
※3 キャリア決済とは、携帯電話会社のIDやパスワード等による認証で商品等を購入した代金を、携帯電話の利用料金等と合算して支払うことができる決済方法のこと。
未成年の娘が、サンプルのつもりで10円のダイエットサプリをスマートフォンで申し込み、コンビニで支払った。その後、2回目の商品が届き、定期購入だと分かった。高額で支払えないので、そのまま支払わずに放置していたようで、最近になって法律事務所から催告の電話がきた。商品が何度届いたのかは分からないが、未開封のまま押入れにしまっているようだ。請求書は捨てたみたいだが、どうしたらよいか。
「お試し」「初回限定」「モニター」等と初回の安さに注目させ、未成年者がお小遣いで気軽に購入できる金額で広告し、高額なサプリメントや化粧品などの定期購入の契約をさせるトラブルが依然として多く、高止まりしています。請求がきた時は放置せず、保護者や消費生活センターに相談しましょう。また、こうした販売方法があるということを知り、学校や家庭で共有しましょう。申し込みをする時は、サイト内の購入条件や返品・解約のルールをきちんと確認しましょう。
中学生の息子が、無料動画サイトを閲覧中に、アダルト系動画のスタートボタンを押したところ、突然請求画面が出てきて25万円を請求された。間違いの場合はSMSを送り退会してくださいと書いてあったので、SMSを送ってしまったようだ。利用規約には20歳未満は利用禁止と書いてあったが、事前に年齢確認画面や規約への同意画面があったわけではない。どうしたらよいか。
消費者に会員登録や契約をしたと思わせて高額な料金を請求する「ワンクリック請求」と呼ばれる手口です。クリックすることで有料のアダルトサイトへの登録となることが消費者にはっきりわかるように書かれていたわけではないので、契約は成立しているとは言えず、支払い義務も生じません。また、サイト事業者へ連絡すると自分から連絡先を教える結果になります。絶対に連絡しないでください。
令和4年4月の改正民法の施行により、成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられます。施行後は、18〜19歳の被害に対して未成年者取消権が使えなくなるため、消費者被害が拡大する恐れがあります。18歳で急に成人としての責任について自覚が芽生えるものではないため、早い時期から段階的に、繰り返し、社会情勢の変化に対応した実践的・効果的な消費者教育を行っていくことが必要です。