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平成30年度
小学生・中学生・高校生の消費生活相談概要

平成30年度に東京都内の消費生活センターに寄せられた相談総数は29,384件で、そのうち「若者相談」(契約当事者が29歳以下である相談)は3,352件であり、全体の11.4%でした。

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談件数

契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談総数は1,010件で、前年度の971件に対して4.0%増加しています。またその内訳は、小学生165件、中学生324件、高校生521件でした。図1

【図1】契約当事者が小・中・高校生の相談件数

図1に関する棒グラフ

相談内容の内訳

小・中・高校生からの相談は、インターネットを通じて得られる情報の「デジタルコンテンツ」が多く、小学生の相談の72.1%、中学生の相談の52.5%、高校生の相談の26.5%を占めています。

そのほかの相談では、ダイエットサプリ、バストアップサプリ、筋肉増強サプリ、酵素食品などの「健康食品」、脱毛クリーム、二重瞼化粧品、洗顔料などの「化粧品」が目立ちます。「健康食品」「化粧品」いずれの相談でも、複数回以上の継続購入であることに気づかなかったとの定期購入に関する相談が多く寄せられています。

「コンサート」も目立ちますが、チケットの個人間売買に関する相談が多く寄せられています。表1

相談の最も多い「デジタルコンテンツ」の内訳を見ると、小・中・高校生ともに「オンラインゲーム」と「アダルト情報サイト」の相談が多くを占めています。「オンラインゲーム」では、親が気づかぬうちに子供が親のスマートフォンやクレジットカードを使って課金したことで高額請求を受けたとの事例が多く寄せられています。

このほかでは、有料サイト利用料の架空請求等の「デジタルコンテンツ@」が多く、また、「出会い系サイト」や「映画配信サービス」の料金請求トラブルに関する相談も寄せられています。表2

【表1】平成30年度 小学生・中学生・高校生別 相談が多く寄せられた商品・サービス別一覧

小学生(165件)
商品・サービス名 件数 %
デジタルコンテンツ 119 72.1
玩具・遊具 8 4.8
歯科治療 4 2.4
スポーツ・健康教室 3 1.8
健康食品 3 1.8
中学生(324件)
商品・サービス名 件数 %
デジタルコンテンツ 170 52.5
健康食品 41 12.7
化粧品 23 7.1
携帯電話 6 1.9
家庭教師 4 1.2
コンサート 4 1.2
高校生(521件)
商品・サービス名 件数 %
デジタルコンテンツ 138 26.5
化粧品 59 11.3
健康食品 47 9.0
コンサート 25 4.8
携帯電話サービス 10 1.9
学習塾 10 1.9

【表2】平成30年度 デジタルコンテンツに関する相談の内訳及び割合

小学生(119件)
内訳 件数 %
オンラインゲーム 92 77.3
アダルト情報サイト 19 16.0
デジタルコンテンツ@ ※1 4 3.4
他のデジタルコンテンツ ※2 3 2.5
音楽情報サイト 1 0.8
中学生(170件)
内訳 件数 %
オンラインゲーム 75 44.1
アダルト情報サイト 50 29.4
他のデジタルコンテンツ ※2 22 12.9
デジタルコンテンツ@ ※1 17 10.0
出会い系サイト 4 2.4
映画配信サービス 2 1.2
高校生(138件)
内訳 件数 %
オンラインゲーム 47 34.1
アダルト情報サイト 33 23.9
デジタルコンテンツ@ ※1 20 14.5
他のデジタルコンテンツ ※2 20 14.5
映画配信サービス 9 6.5
出会い系サイト 8 5.8
音楽情報サイト 1 0.7
  • ※1 「デジタルコンテンツ@」は、有料サイト利用料の架空請求に関する相談等
  • ※2 「他のデジタルコンテンツ」は、アダルト情報サイト、出会い系サイト、オンラインゲーム、映画配信サービス、音楽情報サイト、ギャンブル情報サイト、投資情報サイト以外のさまざまなデジタルコンテンツに関する相談

相談事例

オンラインゲームの課金トラブル

小学生の息子が私のスマートフォンでオンラインゲームをして課金していた。クレジットカードの請求を見て初めてそのことに気づいた。たった1日で8万円も利用しているようだ。支払いをしなければならないか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

オンラインゲーム利用については登録の際に年齢確認があり、未成年であれば、利用可能な上限金額が設けられていることが一般的です。上記のようなケースでは、親のスマートフォンで年齢を偽って登録した可能性が考えられ、スマートフォンに紐づいているクレジットカードでの決済に繋がったと思われます。未成年者が行った契約は取消しできる場合がありますが、未成年者が詐術(成年であるかのように事業者をだます行為)を行った場合には取消しはできないので、親権者はスマートフォンやクレジットカードの管理についての注意が必要です。

定期購入と気づかせずに購入させるトラブル

中学生の娘が、インターネットで「10円でお試しできる」というダイエットサプリの広告を見てインターネット上から申し込んだ。昨日、2回目の商品が送られてきて、2回目以降は4千円近くになり、最低6回買わないとやめられない契約になっているとわかった。娘は10円だったのでお小遣いで買えると思って申し込んだが、総額1万5千円も払うことになる契約とは思わなかったと言う。契約を取り消したいので事業者に連絡をしようと思うが、電話番号や住所の表示が見つからず、困っている。

消費者及び教員の方へのアドバイス

インターネット通販などでは、初回の安さなどに注目させ、定期購入と気づかせずにサプリメントや化粧品などを購入させるトラブルが増えています。こうした販売方法があるということを知り、家庭や学校で共有しましょう。サイト内の購入条件や返品・解約のルールをきちんと確認してから申し込みましょう。

アダルト情報サイトのワンクリック請求

私は高校生。母親名義のスマートフォンを使っている。昨日、無料と思ってスマートフォンでアダルト画像をタップしたら、画面がフリーズした。何度も画面をタップしたところ、確認画面になって、「誤操作の場合、退会ボタンを押すように」とあったので押したら、「電話するように」と電話番号が書いてあった。電話したが相手は出なかった。その後SMS(ショートメッセージ)が届き、「誤操作ではないので40万円を請求する。明日までにクレジットカードで決済するように。小さい子がした場合は名義人に請求する」と書かれていた。母親には話していない。どうしたらよいか。

消費者及び教員の方へのアドバイス

消費者に会員登録や契約をしたと思わせて高額な料金を請求する「ワンクリック請求」と呼ばれる手口です。クリックすることで有料のアダルトサイトへの登録となることが消費者にはっきりわかるように書かれていたわけではないので、契約は成立しているとは言えず、支払い義務も生じません。また、サイト事業者へ連絡すると自分から連絡先を教える結果になります。絶対に連絡しないでください。

「成年年齢引き下げ」を踏まえ若年者の消費者被害を防止するために

2022年4月の改正民法の施行により、成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられます。改正法の施行後は、18〜19歳の被害に対して未成年者取消権が使えなくなるため、消費者被害が拡大するおそれがあります。18歳で急に成年としての責任について自覚が芽生えるものではないため、早い時期から段階的に消費者教育を行っていくことが必要です。

困ったときは、消費生活センターにご相談ください。

東京都消費生活総合センター
TEL:03-3235-1155
消費者ホットライン TEL:188局番なし
お近くの消費生活相談窓口につながります。