トップページ > 取引・表示指導 > 処分事業者等一覧 > 消費者宅を訪問して貴金属の売却を迫る訪問購入業者に業務改善を指示 > 相談事例(株式会社ホールド)
更新日:2017年5月18日
平成28年2月、甲が突然電話がかかってきたので受話器を取ると、感じの良い女性の声で「ホールドと申します。不用品を査定して買い取っている会社です。衣類とかバッグとか何でも買取ります。どんなものでも査定して買取ります。古くなったものでも結構です。」などと言ったので、甲は洋服等を引き取ってもらおうと了承した。電話の女性は、貴金属を買取るということについては一言も言わなかった。もし、貴金属の話をされたら甲は来訪を承諾しなかった。
同日の午後2時を過ぎた頃、甲宅を訪れた男性Aは名刺を差し出しながら「ホールドの者です。いらない物を引取りに来ました。」と言った。
甲は、さっそく、準備していた衣類を見せると、Aは全く関心のない様子で、枚数だけ数えているように見えた。Aは、引取りを約束した衣類では物足りなかったのか、「他に何かありませんか。衣類とかバッグとか、何でもいいので。」などと言った。甲は何点か追加で、奥の部屋に行って自分の洋服を出してきたが、Aはやはり興味がなさそうで、Aは「他にもないか。もっとあるだろう。」と、色々な物をあれもないかこれもないかとしつこく言ってきて、だんだん凄んできた。
Aは「金の指輪や宝石を出せ。」と言ったが、甲もだんだん腹が立ってきて、「何もない。」と何度も断っているのに執拗に要求してきたので、「こっちは別にないから出す気はない。」と言った。
すると、Aは「この家ならもっと何かあるはずだ。」と言った。この頃にはAは威圧的な態度になっていた。甲は、Aの態度を見て、怖さを感じるようになってもう嫌だな帰ってもらいたいと思った。
甲はAに帰ってもらうための意思表示として、「うちもう何もないから。」と強い口調で言ったが、Aは甲が指に着けている指輪を見て、「他にももっとないか。その指輪を売ってくれ。」と高圧的に言った。
平成28年5月、突然電話がかかってきたので、乙が受話器を取ると知らない女性の声で「衣類等の不用品の買取りをしています。本・CDも含め、不用品があれば何でも買取ります。」と言った。乙は洋服とお皿を買取ってもらおうと考え、訪問日の日程調整をした。女性は、電話の最後の方で、「当社は、時計、貴金属、骨董品等も取り扱っているので、よろしければ一緒に買取らせていただきます。」と付け加えた。乙が慌てて、「洋服とお皿だけです。」と否定すると、女性は何事もなかったかのように、「承知しました。それでは、5月○日○時~○時の間に、男性の査定員が一人で洋服とお皿を買取りに訪問させていただきます。」と言った。
翌日、乙宅を訪れた男性は、写真付きの身分証明書を提示するとともに、名刺を差出しながら、「株式会社ホールドのBといいます。ご依頼のあった衣類等を買取りに来ました。」と言ったが、「貴金属を買取る。」とは言っていなかった。
衣類は、1点1点査定すると思っていたが、枚数だけ数えているといった感じだった。乙があらかじめ買取ってもらおうと準備していた衣類や皿の査定が終わったので、すぐに査定額を出して帰るのかと思っていたところ、Bは、いきなり「ブランド物のバッグはありませんか。ブランド物のバッグであれば壊れたものでもいいので出して下さい。」と聞いてきた。そして「他に何かないか。」と言って、次々に靴やコイン、古美術品等を出すように言った。さらに、Bは「貴金属はありませんか。」、「貴金属の写真を撮らないといけないんですよ。」、「写真のデータを本社に送らなければならないのです。」、「写真だけでもいいので撮らせて下さい。」などと言ったので、乙は、「貴金属は絶対に売りません。」とはっきりと断った。
Bは、なおも執拗に繰り返したので、乙は「見せるだけ」ということで、しぶしぶ貴金属を出すことにした。Bは、最初は「見せるだけで良い。」と言っていたが、「貴金属がないと、他のものに値段が付けられないんです。」、「貴金属があれば、洋服も高く買い取れるんですよ。」、「貴金属を買取らないと会社に戻れない。」などと言って、強引に迫ってきた。
乙が貴金属の売却など全く望んでおらず、何度も断っているにもかかわらず、Bは「他にももっとないか。他に隠し持っている貴金属はないか。」と迫った。
平成28年6月、丙の妻が自宅に一人でいるときに突然電話が鳴ったので受話器を取ると、感じの良い女性の声で「靴の古いのありませんか。草履でもサンダルでも何でもいいですから。東南アジアに送るととても喜ばれますので集めています。そういうのありませんか。」などと言った。丙の妻は、人助けにもなるし、渡りに船とばかりに「はい、あります。」と言って、引き取ってもらうことにした。
その日の午後7時過ぎ、丙宅を訪れた男性は、名刺を差し出しながら、「ホールドのCと申します。古い靴を買取りに来ました。」と言ったが、「貴金属類を買取る。」というようなことは言わなかった。
Cはタブレット端末で靴の写真を撮ったりもしていたが、靴の査定が終わると、突然、「腕時計はありませんか。使わなくなった時計とか壊れた時計とかありませんか。」、「万年筆はありませんか。」、「ネクタイピンはありませんか。」などと言い始めた。
さらに、Cは、「他にまだあるでしょ。何でも買取ります。」と勧誘を続けた。「使っていない腕時計はあるでしょう。」、「使っていない万年筆はあるでしょう。」などと言ったので、丙も、そういえば使わないものがあると思って出してしまった。
Cは査定して、価値のありそうなものは「買取る」と言ったが、価値のなさそうなものは適当に褒め言葉を言って「これは取っておいたほうが良いですよ。」と選り分けていった。
丙はもう売りたいものはないのに、Cに粘られ、時間ばかりが過ぎていくので、「話が全然違うじゃないか、早く帰ってくれ。」などと勧誘を止めるよう何度も言ったが、Cは「もう少しですから。」と言ったものの帰らず、さらに「アクセサリーはありませんか。」、「貴金属類はありませんか。見せてくれるだけでいいんです。」、「結婚指輪もあるでしょ。」などと勧誘を続けてきた。
丙は早く帰ってもらいたかったので「家には高価なものはないですよ。売るような貴金属類はないので帰ってください。」と断った。丙の妻も、やはり早く帰ってもらいたくて、見せるだけでいいと言っているので、見せれば早く帰ってもらえるだろうとの思いで、小さくなって指にはまらない指輪を何の気なしに出してしまった。
Cは手放した指輪を取り上げてしまい、丙の妻が「使うかもしれないので返してください。」と返してほしいという仕草をしたが、「もう登録したからダメです。」と全く受け付けようともしなかった。
結局、Cがやっと帰ったのは、午後9時を回っていた。丙は靴7足を渡せば済むと思っていたので、せいぜい5~10分もあれば終わると思っていたのに全くの見当違いだった。
お問い合わせ先
東京都生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課取引指導担当
電話番号:03-5388-3073